第二部 : 小さい角の勢力
1、聖書が言う小さい角の9つの特徴
ダニエル書7章の研究:第一部の後半部で言及したように、海から出てきた四つの獣の中で、ダニエルの注意を最もひいたのは、第四の獣でした。ダニエル書7章は第四の獣から起こる変化を描写しています。7章7,8節はダニエルが啓示の中でみた第四の獣と、そこから出る小さい角の正体を説明するみ使いの説明です。
ダニエルが見た啓示:「その後わたしが夜の幻のうちに見た第四の獣は、恐ろしい、ものすごい、非常に強いもので、大きな鉄の歯があり、食らい、かつ、かみ砕いて、その残りを足で踏みつけた。これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた。わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった」(ダニエル7:7,8)。
「彼はこう言った、『第四の獣は地上の第四の国である。これはすべての国と異なって、全世界を併合し、これを踏みつけ、かつ打ち砕く。十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す。彼は、いと高き者に敵して言葉を出し、かつ、いと高き者の聖徒を悩ます。彼はまた時と律法とを変えようと望む。聖徒はひと時と、ふた時と、半時の間、彼の手にわたされる」(ダニエル7:23~25)。
2、ローマ帝国の分裂
ダニエル書7章23節にあるように、「第四の獣は地上の第四の国」を意味しますが、これは第一部で学んだように、ローマ帝国であることに間違いありません。ローマ帝国を象徴した四つの獣の頭には十の角がありましたが「これは、その前に出たすべての獣と違って、十の角を持っていた」(7節)それはローマが十の国に分断されることを象徴します。「十の角はこの国から起る十人の王である」(24節)。こうして、非常に強力であったローマ帝国も、定められた運命の時が訪れると十の国に分かれるようになりました。
歴史を勉強した人であるなら、ローマ帝国が弱体化してくると、ヨーロッパの北からゲルマン系の部族たちが南下して、西部ヨーロッパを襲い、その結果ローマは十の部族国家に分断された史実を覚えておられることでしょう。ローマの滅亡と共に、ダニエル2章に出てきた巨大な金の像の十の足指の時代が開かれたことになります。ローマの分裂した十の部族国家は、次の通りです。オストロゴス(東ゴート)族、ビジゴス(西ゴート)族、フランク族、バンダル族、アラマン族、スエビー族、アングロ・サクソン族、ヘルーリ族、ロンバルド族、そしてブルグント族。
しかし7章8節と24節には、「わたしが、その角を注意して見ていると、その中に、また一つの小さい角が出てきたが、この小さい角のために、さきの角のうち三つがその根から抜け落ちた。見よ、この小さい角には、人の目のような目があり、また大きな事を語る口があった」(8節)。「十の角はこの国から起る十人の王である。その後にまたひとりの王が起る。彼は先の者と異なり、かつ、その三人の王を倒す」(24節)。天の神様の預言は正確に成就されました。十の部族の中で三つの部族は、小さい角の勢力によって歴史から完全に消え去ってしまい、七つの部族だけが今日に至るまで、ヨーロッパで強力な現代国家の形態を維持しています。(消え去った三つの部族:ヘルーリ族、バンダル族、オストロゴス族、).