牛の放牧に必要な牧草地造成のため、1960年代末には中央アメリカの森林の25%以上が、70年代末にはメキシコ等の中央アメリカの農地の65%が、家畜のための牧草地として耕作地にされました。前アメリカ副大統領アル・ゴア氏は自身の本『不都合な真実』で「牧草地確保のため熱帯林の伐採・放火等の山林政策の失敗が、地球温暖化に追い打ちをかけている」と強調しました。
800tの動植物が生息できる、1ha(3000坪)の熱帯雨林を伐採して得られる牛肉はたったの200㎏です。これはハンバーガーを1,600個しか作れません(ハンバーガー1個に必要な肉の量を125gと仮定)。要するに1個のハンバーガーを作るために500㎏(大きな牛1頭)の動植物が生息できる環境と約1.5坪の森が破壊されることになります。
肉食による森林の破壊で土壌汚染と砂漠化現象が発生し、過去になかったダストウィンドというホコリをたくさん含んだ風が吹き荒れています。このような全世界的な森林の破壊は、毎年韓国ほどの面積が失われる規模で進行しています。
第3点は、畜産廃棄物の問題です。最近、畜産農家が急速に専業化・企業化し、大量の高濃度水質汚染物質を発生させています。家畜の糞尿発生量は全体の汚・排水発生量の1%に過ぎませんが、水質汚染負荷量は26.2%(家畜糞尿BOD負荷量は生活排水の94倍)に達するなど、環境汚染の誘発率が高いのです。また家畜が消化できない抗生剤を始めとする薬品は、肥料となって農地にまかれたり、地下水や河川を致命的に汚染させ、農地に露出して土壌を汚染し、抗生剤と農薬と化学肥料などが複合的に植物に影響を与えます。