(3) される動物たちの恐怖
現在の畜産業は人間にはお金になりますが、動物にとってはそれこそ地獄です。人間は、約25年生きられる牛を2年でし、需要の増加に伴い、人工受精などの人工生産方法を発達させました。柔らかい肉を食卓に乗せるため、10年は生きられる鶏は生後35日でされます。彼らは生まれてから死ぬまで、一度も温かい母の胸に抱かれることもなく死んでいきます。一生狭い鉄網の中で、自由に身動きさえ取れず、24時間明るい白熱灯の下で、卵を産む機械へと転落した産卵用の鶏たちは、もはや鶏の姿とは到底思えないほどです。硫黄の火の下で絶叫する悪魔の姿のように、鶏たちは耐えがたいストレスを受ける環境でもがき苦しみます。彼らが生まれてから食べる飼料には、成長促進に必要な各種ビタミンと、劣悪な環境で発生する疫病にかからないように抗生剤が添加されています。
場へ輸送する車が養鶏場に到着すると、作業員たちはゴミをかき集めるように鶏を車に詰め込みます。そして加工工場ではゴミ収集車のように荷台を傾け加工場に放り込みます。パニック状態に陥った鶏はベルトコンベアに乗って一羽ずつ逆さ吊りにされると、鋭いメスで首を半分だけ掻き切られます。しばらくの間血を流しながらもがき苦しむと、その後は工程に沿って毛が抜かれ、足が切られ、首が切られ、内臓を抜き出した後、洗浄され包装されます。これが、人間が食べる鶏の一生です。鶏だけでなく牛、豚の場で起きる残忍な動物虐待の現状を見た人なら、みな肉を食べることを考えなおすことでしょう。
牛の場合、ずるずると加工場へ引きずっていき、尖ったハンマーで頭が叩かれます。場の残忍な光景は、文字で表現するには心苦しいほどです。される場所のすぐ隣で待機している牛たちの目元には、本当に涙を流した跡が鮮明にあります。順番が来ると人の手によって連れて来られ、鉄ハンマーで頭を殴られ、穴が開いた頭蓋骨に針金を差し込んで神経が切断されるまで、牛は極度の恐怖感に襲われます。
ラインから抜けだそうとする豚に対する、容赦のない暴力は到底口にもできないほど残忍です。一台来てはもう一台と、豚をぎっしり積んだトラックが場に入って来ます。豚は本能的にここが危険な場所だということが分かるのか、誰も降りようとはしません。そうすると作業員が車の後ろに回って、金串で豚を突いて降ろそうとします。次の場所では、電気ショックが加わるベルトコンベヤーに乗りたがらない豚は、大きな鉄パイプで頭を殴られ、その場で頭蓋骨が砕けて即死してしまいます。動物の恨みのこもった悲しい悲鳴が場に響き渡ります。ベルトコンベヤーの終わりでは、豚の首に電気ショックが加えられ、同時に首の動脈が切開されます。すると大量の血を流しながら身もだえし、続けて鉄鎖で足を結ばれ、ほぼ気絶状態で逆さ吊りにされ、列をなして熱湯に入れられます。もちろん動物たちにも痛さを感じる感覚器官があるので、その苦痛が脳を通して全身に伝達されるのです。目に見えない恐怖と苦痛がたっぷり宿っている肉、これが、人々がおいしいと言って食べている肉の実態です。
韓国農林水産食品部の統計によると、2011年度には牛140万頭が飼育されていましたが、2010年度には292万頭と2倍以上に膨れ上がりました。豚の場合もこの10年間で、飼育数が10万匹以上ずつ増えています。鶏は4千700万羽が増え、鴨は2倍以上増えました。また、2010年度の公的な報告によると、牛は75万頭が屠畜され、豚は1千462万匹、鶏は約7億3千万羽が屠畜されたと言います。