生命哲学/生物哲学/生活哲学ブログ

《生命/生物、生活》を、システム的かつ体系的に、分析し総合し統合する。射程域:哲学、美術音楽詩、政治経済社会、秘教

脳死とは/ウイルスは生きものか

2014年07月30日 17時16分44秒 | 生命論
2014年7月30日-3
脳死とは/ウイルスは生きものか

  「両者〔「呼吸を行う能力の不可逆的な喪失(したがって心拍能力の喪失も)」と「意識喪失」の二者だろう〕は、基本的な脳幹の機能であり、たまたまこの二つは脳幹の両端の機能を表している。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。


  「英国では、過去に脳死判定に関してメディア最大の誤った放送が行なわれたことがあり、「パノラマ事件」として有名である。イギリスBBC放送のテレビ番組「パノラマ」で1980年10月13日に放送されたもので、脳死と判定された後に意識を回復した例が紹介されたが、除外すべき上で筋弛緩薬の使用を防止処理として取り上げていたことが判明し、最終的に中断したが撤回し、全面謝罪で落ち着いた。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 247頁)。


  「少なくとも日本を含めて国際的に発表されている脳死判定基準に則って施行されれば、脳死の判定は確実に施行しうる。したがって、「脳死からの奇跡の生還」に類似した記述を今後行なう場合は、しっかりとした検証が必須である。ちなみに英国基準は30年以上にわたって改正されておらず、日本でも米国でも30年近く判定基準は変わっていないが、もしの報告例は1件もない。」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。

☆☆☆☆☆☆☆

  「ウィルスは生物かという問いかけが、福岡伸一氏の著作『生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書)の中にある。ウィルスは、栄養を摂取することもなく、呼吸もしない、もちろん二酸化炭素を出すこともなく老廃物を排出することもない。つまり、一切の代謝を行なっていない。(無生物でない根拠は自己複製機能のみ。)」
(武下浩・又吉康俊 2011/8: 248頁)。

 栄養物質ではなく、植物のように光エネルギーを取り入れればよい。光合成には他に様々な物体が必要だが、それらもエネルギーの或る状態と見なし得る。
 ウイルスは、寄主のシステム(このシステムの作動には、たとえばATPを介したエネルギー供給が必要である)を借りているが、真核生物体でも寄生性のものはいる。


  「ウイルスは様々な点で一般的な生物と大きく異なる。

  1. ウイルスは非細胞性で細胞質などは持たない。基本的にはタンパク質と核酸からなる粒子である。(→ウイルスの構造)
  2. 大部分の生物は細胞内部にDNAとRNAの両方の核酸が存在するが、ウイルス粒子内には基本的にどちらか片方だけしかない。
  3. 他のほとんどの生物の細胞は2nで指数関数的に増殖するのに対し、ウイルスは一段階増殖する。またウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する。
  4. ウイルスは単独では増殖できない。他の生物の細胞に寄生したときのみ増殖できる。
  5. ウイルスは自分自身でエネルギーを産生しない。宿主細胞の作るエネルギーを利用する。

 なお4の特徴はウイルスだけに見られるものではなく、リケッチアやクラミジア、ファイトプラズマなど一部の真正細菌や真核生物にも同様の特徴を示すものがある。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス

 ウイルスはATP合成も蛋白質合成もしない(できない)というのは、細胞膜または細胞壁といったものを持たないことの結果であろう。

 では、大腸菌はファージに寄生されると、構造は解体する。その前に大腸菌のなかで産生されるもの(ウィルス物体)は、大腸菌ではない。大腸菌とは異なる種類の、なんらかの生きているシステムまたは生きていないシステムが作動したと考える(システム的捉え方)。

 ウイルスの活動は、「自己」複製だけだとしよう。
 たとえば大腸菌の細胞システムの力、「複製」結果となるように順序が定まったいくつかの分子的反応が遂行されるように、一定の種類の原子や分子などが適切に空間配置され(空間構造化)、そのことで、形態的に境界を持つ」物体の外部に存在する他者のシステムとエネルギーを利用する。
 要は、「複製」のための材料と機構を他者に依存していて、寄生の機会も成り行き任せであろうとも、《自律的》に利用していると言えなくもない。

  〈ウイルス粒子が見かけ上消えてしまう暗黒期が存在する〉とは、何だろうか?

  「暗黒期においてはウイルス粒子は脱殻を行い、ウイルスタンパク質や核酸の合成を行なう。子孫ウイルスの出現により再びウイルス粒子の検出が可能となる。感染後に子孫ウイルスが細胞外に放出されるまでの期間を潜伏期と呼び、細胞膜表面で成熟して放出されるウイルスの暗黒期は潜伏期と一致する。分裂により増殖する生物ではその形態が観察できなくなる期間はなく、暗黒期の存在はウイルスをリケッチアやクラミジアと分ける大きな特徴である。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期
 
 ここでの検出とはいかなる方法のものか?。「検出不可能」の基準は?。「形態が観察できなくなる」とは、電子顕微鏡でもできないということか?。解像度を挙げれば、見えるのか? あるいは、ウイルスのDNA鎖またはRNA鎖が、鎖として検出できないのか?。つまり、複製元のDNA鎖もバラバラになる??

  「ウイルスは基本的にタンパク質と核酸からなる粒子であるため、ウイルスの複製(増殖)のためには少なくとも
  1. タンパク質の合成
  2. ウイルス核酸の複製
  3. 1. 2.〔→1と2〕を行〔な〕うために必要な、材料の調達とエネルギーの産生
が必要である。しかしほとんどのウイルスは、1や3を行うのに必要な酵素の遺伝情報を持たず、宿主細胞の持つタンパク合成機構や代謝、エネルギーを利用して、自分自身の複製を行〔な〕う。ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。
〔略〕
 ウイルスは1つの粒子が、感染した宿主細胞内で一気に数を増やして放出(一段階増殖)する。また感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。
ウイルスの増殖は以下のようなステップで行〔な〕われる。

 細胞表面への吸着 → 細胞内への侵入 → 脱殻(だっかく) → 部品の合成 → 部品の集合 → 感染細胞からの放出」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス

 「感染したウイルスは細胞内で一度分解されるため、見かけ上ウイルス粒子の存在しない期間(暗黒期)がある。」と、〈分解されるため、見かけ上〉存在しないとは、解像度の問題なのか。そうだとして、では、どうやって、ウイルス体は元と同一の構造体を作れるのか?。部品の集合は、「自然と」起きるのか?。放出は、分解酵素が作用して?

 「ウイルス遺伝子には自分の遺伝子(しばしば宿主と大きく異なる)を複製するための酵素の他、宿主細胞に吸着・侵入したり、あるいは宿主の持つ免疫機構から逃れるための酵素などがコードされている。」
の詳細を知りたいところ。

  「メガウイルスなど細菌に非常に近い構造を持つウイルスの発見により、少なくとも一部のウイルスは遺伝子の大部分を捨て去り寄生に特化した生物の一群であることが強く示唆されている。また、レトロウイルスとトランスポゾンの類似性は、これまた少なくとも一部のウイルスは機能性核酸が独立・進化したものである可能性を強く示唆している。つまり、「ウイルス」として纏められている物は多元的であり、人為分類群である可能性が非常に高い。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス

◇ 文献 ◇
武下浩・又吉康俊.2011/8/9.解説「脳死」.XI+249+13pp.悠飛社.[本体1,800円+税][ob490.154]

ウィキペディア[日本語版].ウイルス.http://ja.wikipedia.org/wiki/ウイルス.[受信:2014年7月30日。]

ウィキペディア[日本語版].暗黒期.http://ja.wikipedia.org/wiki/暗黒期[受信:2014年7月30日。]

風間 虹樹 KAZAMA Nijiki の絵画活動

2014年07月30日 12時38分43秒 | 美術/絵画
2014年7月30日-2
風間 虹樹 KAZAMA Nijiki の絵画活動
                                    記事や絵画画像は「風間虹樹」で検索してください。
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[略歴]
2008年 第18回全日本アートサロン絵画大賞展 佳作(作品展示は翌年)。
2009年 個展《生命宇宙祭典》/北斗病院、帯広。
2010年 平原社美術協会 会友推挙。
     日本芸術センター第4回絵画公募展 審査員賞。
2011年 モダンアート協会 会友推挙。
     個展《いのち。乱舞、、、》/神戸芸術センター。
2012年 第62回記念モダンアート展 奨励賞。
     アートムーブ2012絵画コンクール展 SoHoアートギャラリー賞。
     個展《いのち。いのち、、、》/神戸芸術センター。
2013年 モダンアート協会 准会員推挙。
     平原社美術協会 会員推挙。

[詳述]
1948年 尼崎生まれ。大阪と京都と帯広の育ち。

2006年
 4月下旬、絵画をはじめる。
 第81回平原社展(NCギャラリー、帯広、?/?-?)。

2007年
 第82回平原社展(ホシビル、帯広、?/?-?)、佳作賞。
 第35回サロン・デ・ボザール展(東京都美術館、2007/11/24-29)。

2008年
 第35回サロン・デ・ボザール展 巡回展(京都市美術館、2008/2/?-?)。
 〔〔帯広市主催〕わたしの作品展?(藤丸、帯広、2008?/?/?-?)〕
 第17回全日本アートサロン絵画大賞展(国立新美術館、東京、?/?-?)。
 第83回平原社展(藤丸?、帯広、?/?-?)。
 マーナ・ブーンゲ『生物哲学の基礎』(シュプリンガー・ジャパン、東京)のジャケット挿画を担当(2008年7月26日出版)。(2012年9月30日、丸善出版から再版)。
 第83回道展[北海道美術協会展](札幌市民ギャラリー、10/23-26、10/28-11/2、11/4-11/9)。

2009年
 第27回郷土美術展(帯広百年記念館、1/16-18、1/20-25)。
 第61回道展移動展(藤丸、帯広、1/22-27)。
 第18回全日本アートサロン絵画大賞展(国立新美術館、東京、?/?-?)、佳作。
 個展《生命宇宙祭典》(北斗病院ふれあいろ~ど、帯広、?/?-?。北斗クリニックふれあいの杜、?/?-?)。
 第59回モダンアート展(東京都美術館、4/23-5/7)。
 第84回平原社展(帯広市民ギャラリー、7/16-21)、佳作賞。
 第22回上野の森美術館日本の自然を描く展 1期(上野の森美術館、東京、8/5-9)。
 '09モダンアート明日への展望(横浜市民ギャラリー、9/1-6)。
 第22回上野の森美術館日本の自然を描く展 札幌展(札幌市資料館 ギャラリー、10/7-12)。
 第84回道展[北海道美術協会展](札幌市民ギャラリー、10/22-25、10/27-11/1、11/3-8)。
 抽象三人展(ギャラリーたぴお、札幌、11/23-28)。

2010年
 第28回郷土美術展(帯広百年記念館、1/15-17、1/19-24、1/26-31)。
 道展第62回帯広移動展(帯広市民ギャラリー、2/4-9)
 第19回全日本アートサロン絵画大賞展(国立新美術館、東京、2/4-8、2/10-15)。
 平成21年度 おびひろ市民ギャラリー第3回企画展「視た風・聴いた風」(帯広市民ギャラリー、3/4-9、3/11-16、3/18-23)
 第37回北海道抽象派作家協会展(札幌市民ギャラリー、4/13-18)。
 現代美術インディペンデントCASO展2010(CASO、大阪、6/30-7/23)。
 第60回モダンアート展 地方分散本展(京都市美術館、7/20-25)。
 モダンアート展 新人展(埼玉県近代美術館、8/24-29)。
 第85回平原社展(帯広市民ギャラリー、7/22-8/3)、会友推挙。
 日本芸術センター第4回絵画公募展(神戸芸術センター、2010/12/16-?、-2011/1/23)、審査員賞。

2011年
 アートムーブ2011絵画コンクール展(大阪市立総合生涯学習センターギャラリー、5/13-16)。
 個展《いのち。乱舞、、、》(神戸芸術センター、6/19-7/10[無休])。
 第61回モダンアート展 地方分散本展(京都市美術館、5/24-29)、会友推挙。
 第86回平原社展(帯広市民ギャラリー、7/7-12、7/14-19)、会友推挙。
 日本芸術センター第5回絵画公募展(神戸芸術センター、12/1-18[無休])。

2012年
 アートスペース亜蛮人闇鍋展(アートスペース亜蛮人、大阪、1/1?-23?)。
 第62回記念モダンアート展(東京都美術館、4/1、4/3-15)、奨励賞。
 アートムーブ2012絵画コンクール展(大阪市立総合生涯学習センターギャラリー、5/11-14)、SoHoアートギャラリー賞。
 個展《いのち。いのち、、、》(神戸芸術センター、5/25-6/16[無休])。
 2012京展 日本画部門(京都市美術館、5/29-6/3、6/5-10、6/12-14)。
 2012京展 洋画部門(京都市美術館、5/29-6/3、6/5-10、6/12-14)。
 現代美術-茨木2012展(茨木市生涯学習センターきらめき、5/28、5/30-6/3)。
 茶臼山作品展(I)(茶臼山画廊、大阪、6/5-10)。
 第5回真夏のアートフェスティバル(ギャラリー菊、大阪、7/19-8/11)。
 抽象への誘い展 part II ~abstractの魅力~(ギャラリー菊、大阪、9/10-15)。
 第65回尼崎市展(尼崎市総合文化センター美術ホール、10/13-15、10/17-21)。
 第31回関西モダンアート展(奈良市美術館、10/30-11/4)。
 日本芸術センター第6回絵画公募展(神戸芸術センター、12/6-19[無休])。
 千里朝日阪急ビル玄関ホールに〈いのち。いのち、、いのち、、、〉を展示(豊中市、2012/12/26~2013/2/28[無休])。

2013年
 TRANSNATIONAL ART 2013(江之子島文化芸術創造センター、大阪、1/29-2/3)。
 関西モダンアート作家小品展(ギャラリー菊、大阪、3/11-16)。
 第63回モダンアート展(東京都美術館、4/2-14、4/16)、准会員推挙。
 日韓展 ~明日への挑戦~(ギャラリー菊、大阪、4/29-5/4)。
 アートムーブ2013絵画コンクール展(江之子島文化芸術創造センター、大阪、5/14-19)。
 第63回モダンアート展 京都展(京都市美術館、5/14-19)。
 2013京展 洋画部門(京都市美術館、7/3-7、7/9-15、7/17-19)。
 第59回全関西美術展 洋画部門(大阪市立美術館、7/9-15、7/17-21)。
 形象のはざまに・・・展(勝毎サロン、帯広、7/11-16。大樹町生涯学習センター、?/?-?。豊頃町えるむ館はるにれギャラリー、?/?-?)。
 第88回平原社展(帯広市民ギャラリー、7/11-16、7/18-23)、会員推挙。
 第6回真夏のアートフェスティバル(ギャラリー菊、大阪、8/11-17、8/19-24)。
 関西モダンアート作家小作品展(NEW OSAKA HOTEL 心斎橋、10/8-11/4)。
 第66回尼崎市展(尼崎市総合文化センター美術ホール、10/12-20)。
 第64回奈良県美術展覧会(奈良県展)2013(奈良県文化会館、奈良、11/2-4、11/6-8)。
 モダンアート協会北海道支部展(札幌市民ギャラリー、11/20-24)。

2014年
 関西モダンアート作家小品展(ギャラリー菊、大阪、3/3-8)。
 第64回モダンアート展(東京都美術館、4/1-6、4/8-16)。
 明日への挑戦 展(ギャラリー菊、大阪、4/21-26)。
 第32回上野の森美術館大賞展[後期](上野の森美術館、東京、5/2-8)。
 第19回アートムーブコンクール展(大阪府立江之子島文化芸術創造センター、大阪、5/13-18)。
 第64回モダンアート展 京都展(京都市美術館、5/13-18)。
 第32回上野の森美術館大賞展 関西巡回展(京都府京都文化博物館、京都、5/27-6/1)。
 第60回全関西美術展 日本画部門(大阪市立美術館、6/24-19、7/1-6)
 第89回平原社展(帯広市民ギャラリー、7/12-17、7/19-24)。

放射能耐性菌の選抜/幹細胞の増殖、ヒト、ヒドラ、ハエ

2014年07月30日 12時21分10秒 | 放射能
2014年7月30日-1
放射能耐性菌の選抜/幹細胞の増殖、ヒト、ヒドラ、ハエ


  「大腸菌に放射線を照射し、生き残ったものを選抜し、さらにその生き残った大腸菌に放射線を照射して、また選抜する――この作業を数十回繰り返すことで、放射線に耐性を持つようなミュータント(変異型)大腸菌をつくることができるのだ。〔略〕
 ミュータント大腸菌の株は、もとの大腸菌に比べて放射線耐性が最大で4,500倍も向上した(3,000Gyのガンマ線を照射後の生存率が4,500倍になった)。〔略〕
 放射線耐性ミュータント大腸菌のDNAを調べたところ、それぞれの株のゲノムにおいて40から70カ所に変異が起きていた。ミュータント大腸菌の株の間でとりわけ目立ったのは、DNA二本鎖切断の修復に関わる遺伝子の変異だった。
 この遺伝子が変異したことで、放射線によるDNA二本鎖切断を修復する能力がパワーアップしたと考えられた。そこで実際に、ミュータント大腸菌に高線量の放射線を照射してDNA修復能力を調べた。すると予想通り、放射線照射によってズタズタになったDNA断片は、短時間のうちにくっついて修復されることが分かった。〔略〕
 さらに、もとの放射線に弱い大腸菌株にこの変異遺伝子ひとつを入れても、放射線耐性がある程度向上することも確かめられた。ただし、このDNA二本鎖切断を修復する遺伝子だけでは、放射線耐性向上を部分的にしか説明できなかった。」(堀川大樹 2013/9: 42-43頁)。


  「ヒドラでは幹細胞は常に増殖し続け、活性も変わらない。増殖した幹細胞が分化し、古くなった分化済みの細胞と置き換わり続けることができるのだ。〔略〕
飼育実験では、四年の間にヒドラの体の中の細胞が少なくとも六〇回置き換わったものと推測されている。〔略〕
 ドイツの研究グループは、ヒドラの幹細胞の中で_foxO_遺伝子とよばれる遺伝子が常に働いていることを見つけた。この遺伝子が働くと、ヒドラの幹細胞を増殖させたり、その活性が高まることもわかった。人工的に操作してこの遺伝子を働かなくさせると、幹細胞の増殖が低下した。
 ハエになどでも、_foxO_遺伝子の働き具合によって、寿命が左右されることが報告されている。さらに、一〇〇歳以上の長寿のヒトには、_foxO_遺伝子の相同遺伝子(_FoxO3a_)に変異があることが知られている。この変異が、幹細胞の活性化を引き起こしているかは不明だ。〔略〕
 幹細胞を増殖させ、活性化するような遺伝子の働きをコントロールする薬剤を開発することで、人類は不老不死の夢を手に入れることができるかもしれない。」
(堀川大樹 2013/9: 119-120)。

 或るDNAを働かさせている(結果は蛋白体産生?)のは、それに関わる細胞システムを構成する或るシステムである。あるいは、その下位システムの構成と構造と法則性によって成立する機構 mechanism である。

 ヒ素をDNAに使うことができる或る種類の細菌がいるというのは、たぶん間違いらしい(堀川大樹 2013/9: 78-86頁)。3μM(マイクロモーラー)のリンがあれば、40mM(ミリモーラー)のヒ素の培地でも、GFJA-1という細菌は増殖できる(堀川大樹 2013/9: 84頁)。報告された実験系には、微量のリンが含まれていたと推論される。


堀川大樹.2013/9/15.クマムシ博士の「最強生物」学講座 私が愛した生きものたち.190pp.新潮社.[本体1,200円(税別)][ob460.4ホ][Rh20140729]