今、出発の刻(たびだちのとき)

車中泊によるきままな旅
<名所旧跡を訪ねる>

松峯山 金剛輪寺(滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺)

2013年09月04日 | 神社・仏閣


西明寺から車で15分程進むと金剛輪寺に着く。湖東三山の北から2番目の位置になる寺である。

金剛輪寺の歴史
滋賀県愛知郡愛荘町にある天台宗の寺院。山号は松峯山(しょうほうざん)。
地名から松尾寺ともいう。本尊は聖観音、開基(創立者)は行基とされる。

行基がこの地に一寺を建立したのは、文献によって天平9年(737年)とも言い、あるいは天平13年(741年)とも伝える。
その後、平安時代前期の嘉承年間(848-851年)には天台宗の僧・円仁(慈覚大師)によって再興されたと伝え、寺では円仁を中興の祖としている。


この日は雲一つない快晴、気温も30℃をこえている。
石畳に敷き詰められ、緑に囲まれた参道には木洩れ日が美しく、清涼感が漂う。







周囲の景色を楽しみながら進む。



参道の左右に千体地蔵がならび、緑の風景に風車の赤色が加わる。



遠くの石段の上に二天門が見えてきた。 



二天門(重要文化財)
様式上、室町時代末期の建築。
元来は楼門(2階建て門)だったが、近世に2階部分が取り払われている。







三重塔(重要文化財)
寺伝では鎌倉時代の寛元4年(1246年)の建立。
様式的には南北朝時代~室町時代の建築とみられる。
織田信長の焼き討ちはまぬがれたものの、近世以降は荒廃し、塔の初層と二重目がかろうじて残るだけで、三重目はなくなっていた。
現状の塔は欠失部分を補って1975年から1978年にかけて復元されたものである。




塔の扉が開かれ、大日如来が安置され拝観することができた。



復元されたとは思えないほど見事な塔である。 
 


遠くに見える塔も美しい。 






本堂(国宝)



入母屋造、檜皮葺の和様仏堂で、中世天台仏堂の代表作として国宝に指定されている。
須弥壇の金具に弘安11年(1288年)の銘があり、堂自体もそのころの建築と思われる。
本尊を安置する厨子も本堂の「附」(つけたり)として国宝に指定されている。




本尊の聖観音立像は、滋賀県内の多くの天台寺院の本尊と同様、秘仏である。
この像は一見、未完成像かと思われるほど、体部の彫りが荒々しく、行基の作であるかどうかは別としても、専門仏師でない行者の制作である可能性もあるという。




天正元年(1573年)、織田信長の兵火で湖東三山の1つである百済寺は全焼し、金剛輪寺も被害を受けるが、現存の本堂、三重塔は寺僧の尽力で焼失をまぬがれたという。
本堂をはじめとする中心堂宇は総門や本坊のある地点から数百メートルの石段を上ったはるか奥にあるため、見落とされ、焼き討ちをまぬがれたのではないかという説もある。



参道の千体地蔵には風車が添えられている。このような風車の風景は数年前に青森県にある恐山を訪れたとき以来の経験だ。



参道の横にもこのように並べられている。



参道は緑に覆われているが、秋にはこれが「血染めの」と表現されるほどの紅葉になるようである。
こちらの紅葉の美しい季節には、北海道では雪の季節となるため車の旅が難しくなる。


撮影 平成22年7月24日

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