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為になるかも知れない本(その104)

2007-06-01 06:38:17 | Weblog
 医学部での大学生活をする上で、次の5項目の注意点を挙げたい。

1、基礎医学に強くなること(病態生理に強くなる)!
 生理学・生化学・解剖学は、医学の基礎である。これ等を自分の頭で有機体にする能力が要求される。この三者は、人間の正常編といっとところで、それを充分に理解してないとその応用の異常編が理解できなくなる。生化学→薬理学→臨床薬理学、解剖学→発生学→奇形症候群、解剖学→組織学→病理学と切っても切れない関係がある。生化学が出来てないと、(GOT、GPT、LDH、クレアチニン、尿素窒素など)、検査デ一タが読めないし、解剖学を知らなければ、外科系では致命的である。
 神経内科の助教授が、「神経を知ろうと思ったら、解剖が半分だよ」とまで言われた。又、心臓外科医の教授は、「僕の様にかなりの年限、手術をしてきていても、動脈か静脈か神経か、それさえ分からないことがある」とさえ言われた。
 専門の初めの2カ年の間に、基礎を頭に叩き込んでおくことがどうしても大切で、それが上手く出来れば、臨床医学は面白く(もちろん、基礎医学も、理解しようとすると面白くなってくるが)、忘れず、応用が効き、病態生理の強い医師になれると思う。

2、予習&復習をし、休みを利用する!
 専門では、どの科目にしても、スゴイ量である。当然、講義で全てを教えることは不可能である。今までに全く知らなかったことを短い期間でどんどん消化していかなければいけない。実習で夜遅くなることも多い。毎日レポ一トで締め付けられる。ポリクリで患者さんに接する様になると、精神的に疲れる。追試があれば、更にきつい。それに、国家試験のコの字も大学はせず、進級も国試も、年々難しくなるばかり。それで、長い春休み、夏休み、冬休みをフルに利用して(その時には、自分で週休2日制にして、1週間に2日間、充分に休めていると思って)、普段と同じ様に勉強することである。その時、まとめること、いい本を選ぶことが大切である。まかり間違っても、生理学・生化学・解剖学を、薄い本だけで済ます様なことは、絶対に避けるべきである。試験に合格しても、絶えず、振り返って又勉強することが大切である(私の場合、医科生理学展望とハ一パ一の生化学の本の改訂版を、臨床医学をしている時に、再読した)。

3、実習(研修)を積極的にする!
 体で覚えたことは、なかなか忘れない。長い春休み、夏休み、冬休みを利用して、出来るだけ実習(研修)することが必要である。本の上での勉強と、実際に目で見、体を使っての勉強では、印象が全く違う。将来の進路を考えた上で、自分なりに計画を立てて実行することである。大学を上手に利用すること、又、大学で経験できないことでも、学生の時に出来ることは、他の施設に頼んで、許される限りしていた方がいいと思われる。
 自分の場合、生化学教室、病理学教室、大学病院、徳之島診療団、開業医、南海病院(健保病院)、県立宮崎病院、国立療養所などを利用した。

4、時は今、素直に、そして謙虚に!
 教養課程では、「教養は、医学と関係ないから」、専門課程では、「基礎は臨床とあまり関係ないから」、卒業前では、「卒業してからが本当の勉強だ」、研修中は、「何でも出来る時代ではない。専門だけで充分」、それから数年後には、「医者になりゃ、あんな高度な知識は要らんよ」、かくして自分の非を認めない様な医師となる。絶えず自分を省み、謙虚な心、素直な心を持ち、人の意見を聞く耳を持って、絶えず精進して行くべきである。

5、人の心を察する様に努めよ(相手の立場に立って考える習慣を)!
 同世代の人達よりも成績がいいことに価値観を置き、人と競争することに慣れ(大学入試は、定員に余る受験生を消去する為にある)、周りからは秀才と言われ、受験の為に多くのことを犠牲にしてきた人間(自分がそうであった)が、人の心を察することが出来る人間になる様に言われても、直ぐにそうなれる訳がない。秀才、必ずしも、病んだ患者さんにとっては、いい医者ではない。
 ハ一バ一ド大学のC.W.エリオット総長は、卒業式の時に、ナ一スに次の様に言われた。
 「君達はあまりにも自分自身のことを考え過ぎている。あまり自分のことを考え過ぎるな。他人のことを配慮することが習慣化された人間になって欲しい。そうして、正しいと思ったことは、勇気を持ってやってくれ。そうすれば、君達は、報いられるであろう」と。



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