「ミニ回診」で医師と患者のコミュニケーションと満足度を改善との内容が発表されていた。
小児科の場合は、その多くが急性の為、何度も病棟に足を運ぶ。ちょっと落ち着いていても、少なくとも、1日に2回は、普通は、3回は、病棟に行っている。日曜も祝日もである。親御さんからの要請があれば、もちろん、行っている。けいれんや喘息であれば、1日に何度も病室へ行っている。
外来や院外の健診や予防接種や看護学校の講義などで、直ぐに行けない時に、要請がある時は、直ぐに対応できない。それで、けいれんや呼吸困難の時は、大変である。他の医師に依頼して、行くことになる。しかし、いつも診てきている小児科医の方が状況が把握しやすいのは、当たり前のこと。いつも診ている主治医だと、聴診器を当てなくても、(小さな小児の場合は、そのまま状態が出るので)顔色や食欲や動きなどで、経過が把握できることが多い。
病室に行っても、親子共に、疲れ切っていて、朝遅くまで、お昼も、よく寝ていることが度々ある。又、室外に買い物に行ったいたり、電話を掛けに行っていたり、検査でいない時もある。付き添いの人が代わっていて、状況を聞いても、知らない場合もあるし、検査データを持って行って説明しようとしても、親御さんがいない時は、又、後ですることになる。
医師も、自分のペースがあり、歯を磨いたり、トイレに行ったり、入浴したり、食事をしていることもあり、もちろん、夜は、寝ている訳で、夜、起こされない様にと、気になる患者さんの場合は、帰る直前に、病室に行って、状況を確かめている。
点滴をしている場合は、私は、早朝、「おしっこは、普段と比べて多いですか、少ないですか?」と「よく眠れましたか?」と質問している。又、行った度毎に、ちゃんとご飯を食べたかどうか、質問している。
ミニ回診と言う言葉、初めて耳にした。このミニ回診、時間がない場合、患者さんの立場に立てば、あまり変化がない患者さんの場合でも、顔色を診て、ちょっと話をして、1分前後でそこを後にしても、コミュニケ一ションを取る意味で、大変いい方法だと思う。
いい臨床医は、病棟に、しばしば足を運んでいると思う。特に、小児科医は、親御さんを安心させる為にも、それが必要な気がしている。
以下は、その内容。
医師と患者のコミュニケーションと満足度を短時間で効率よく向上させる方法として「ミニ回診」が有効であり、今後も研究に値するとの研究結果が出た。
「ミニ回診」は医師と患者のコミュニケーションと満足度を短時間で効率よく改善する方法として有効であり、今後大規模に研究する価値がありそうだ。このような報告が病院医療協会(SHM)の年次総会、Hospital Medicine 2007で発表された。
「医師と患者のコミュニケーション効率は質の高いケアを提供するうえできわめて重要である」と、研究を発表した主著者であるクリーブランド・クリニック・ラーナー医科大学(オハイオ州)臨床助教授のVesselin Dimov, MDはMedscapeに語った。「対面は必要なことだが、同時に時間がかかる。我々の目標は、大型三次医療センター教育病院の病棟のホスピタリストグループで、医師と患者のコミュニケーションと満足度を効率的に改善するミニ回診という方法を編み出すことであった」。
医療訴訟の多くは、たいがい医療従事者と患者とのコミュニケーション不足に原因がある、と著者らは指摘している。ホスピタリストにとって、コミュニケーションは極めて難しい問題になりうる。ホスピタリストは常に初めて会う患者とのコミュニケーションに直面し、タイミングよく患者の信頼を得て親密な関係を築き、ハイレベルな医療の提供と外来主治医へのスムースな引継ぎをしなければならないからである。
今回のパイロット計画で、クリーブランドクリニックの研究者らはホスピタリストと患者のコミュニケーションを改善する補助手段としてミニ回診の可能性を調べた。
「ミニ回診とは短時間の回診(1回約1分)を繰り返し行うことである。この間、医師は患者に体調に変化がないか聞き、その日の検査結果や予定などを話した」とクリーブランドクリニック病院医療部総合内科スタッフであるDimov博士は話す。「ミニ回診は定期回診に加えて実施した」。
急性期入院患者病棟のミニ回診は平日業務の最後に、亜急性期の重症患者を治療する施設では1日の始めに実施した。26名のホスピタリストから2名をミニ回診の担当に割り当て、最後にその成果を同僚らと比較した。定期回診は両病棟で別々に実施した。
入院患者病棟ではミニ回診で15人を見回るのに平均20分、亜急性期患者の治療施設では30人を見回るのに平均30分かかった。
患者が病院および亜急性期患者治療施設を退院した後、ホスピタリストと金銭的にも何ら関係のない電話調査員が電話をかけ、入院中の感想と受けた医療に対する満足度について質問した。
2カ月間の試行期間終了時、病棟の医療従事者がミニ回診した患者の満足度スコアは他の病棟の医療従事者が巡回した患者の満足度より有意に高かった。患者、医師ともにミニ回診によりコミュニケーションと患者ケアが良くなったと感じた。
「外来患者診療をやりながら入院患者をみなければならないプライマリケアの医師のかわりにホスピタリストが患者に近い存在になることによって、患者満足度が向上する」とクリーブランドクリニック病院医療部長Franklin Michota, Jr., MDはMedscapeに語った。Michota博士はこの研究に加わっていないが、独立的な立場でのコメントを求められこう語った。「しかし、病棟の医療従事者はさまざまな業務に追われてパンク寸前の状態にあり、毎日ベッドサイド業務に十分な時間を割くことができない。ミニ回診は、時間効率のよい方法で患者を満足させることがコンセプトのようだ」。
また、少数の患者を対象にした単一施設の研究であることが今回の研究の限界であるという。ミニ回診で本当に大多数の患者を満足させられるのかどうかはまだ分からない。
「ホスピタリストは働き過ぎでギリギリの状態にある。この問題は深刻さを増しているが、本研究はそれに対する独自なアプローチだと思う」とMichota博士は言う。「迅速なミニ回診によって、医師が患者のすぐ側にいるということを患者に安心感を与えることができる。また、医師はその日のうちに対処しておかなければならない疑問や心配を聞くことができる。いずれにせよ、1日2回以上の回診は病棟の医療従事者が当然やるべきことだろう」。
今後の展開に関して、Michota博士は患者1人に対して病棟の医療従事者が1日に回診する頻度の全国標準を調べることに興味がある、と述べた。
「ミニ回診は、短時間で効率よく医師と患者のコミュニケーションと満足度を向上させる方法であり、大規模に研究するに値する」とDimov博士は締めくくった。「今回の結果を検証するため、さらに多くの病棟の医療従事者と患者を集めて予備調査を拡大するつもりである」。
この調査計画に対する補助金の提供はなかった。Michota博士をはじめ財政的関係を報告した著者はいない。
Hospital Medicine 2007: Abstract. Presented May 23-25, 2007.
小児科の場合は、その多くが急性の為、何度も病棟に足を運ぶ。ちょっと落ち着いていても、少なくとも、1日に2回は、普通は、3回は、病棟に行っている。日曜も祝日もである。親御さんからの要請があれば、もちろん、行っている。けいれんや喘息であれば、1日に何度も病室へ行っている。
外来や院外の健診や予防接種や看護学校の講義などで、直ぐに行けない時に、要請がある時は、直ぐに対応できない。それで、けいれんや呼吸困難の時は、大変である。他の医師に依頼して、行くことになる。しかし、いつも診てきている小児科医の方が状況が把握しやすいのは、当たり前のこと。いつも診ている主治医だと、聴診器を当てなくても、(小さな小児の場合は、そのまま状態が出るので)顔色や食欲や動きなどで、経過が把握できることが多い。
病室に行っても、親子共に、疲れ切っていて、朝遅くまで、お昼も、よく寝ていることが度々ある。又、室外に買い物に行ったいたり、電話を掛けに行っていたり、検査でいない時もある。付き添いの人が代わっていて、状況を聞いても、知らない場合もあるし、検査データを持って行って説明しようとしても、親御さんがいない時は、又、後ですることになる。
医師も、自分のペースがあり、歯を磨いたり、トイレに行ったり、入浴したり、食事をしていることもあり、もちろん、夜は、寝ている訳で、夜、起こされない様にと、気になる患者さんの場合は、帰る直前に、病室に行って、状況を確かめている。
点滴をしている場合は、私は、早朝、「おしっこは、普段と比べて多いですか、少ないですか?」と「よく眠れましたか?」と質問している。又、行った度毎に、ちゃんとご飯を食べたかどうか、質問している。
ミニ回診と言う言葉、初めて耳にした。このミニ回診、時間がない場合、患者さんの立場に立てば、あまり変化がない患者さんの場合でも、顔色を診て、ちょっと話をして、1分前後でそこを後にしても、コミュニケ一ションを取る意味で、大変いい方法だと思う。
いい臨床医は、病棟に、しばしば足を運んでいると思う。特に、小児科医は、親御さんを安心させる為にも、それが必要な気がしている。
以下は、その内容。
医師と患者のコミュニケーションと満足度を短時間で効率よく向上させる方法として「ミニ回診」が有効であり、今後も研究に値するとの研究結果が出た。
「ミニ回診」は医師と患者のコミュニケーションと満足度を短時間で効率よく改善する方法として有効であり、今後大規模に研究する価値がありそうだ。このような報告が病院医療協会(SHM)の年次総会、Hospital Medicine 2007で発表された。
「医師と患者のコミュニケーション効率は質の高いケアを提供するうえできわめて重要である」と、研究を発表した主著者であるクリーブランド・クリニック・ラーナー医科大学(オハイオ州)臨床助教授のVesselin Dimov, MDはMedscapeに語った。「対面は必要なことだが、同時に時間がかかる。我々の目標は、大型三次医療センター教育病院の病棟のホスピタリストグループで、医師と患者のコミュニケーションと満足度を効率的に改善するミニ回診という方法を編み出すことであった」。
医療訴訟の多くは、たいがい医療従事者と患者とのコミュニケーション不足に原因がある、と著者らは指摘している。ホスピタリストにとって、コミュニケーションは極めて難しい問題になりうる。ホスピタリストは常に初めて会う患者とのコミュニケーションに直面し、タイミングよく患者の信頼を得て親密な関係を築き、ハイレベルな医療の提供と外来主治医へのスムースな引継ぎをしなければならないからである。
今回のパイロット計画で、クリーブランドクリニックの研究者らはホスピタリストと患者のコミュニケーションを改善する補助手段としてミニ回診の可能性を調べた。
「ミニ回診とは短時間の回診(1回約1分)を繰り返し行うことである。この間、医師は患者に体調に変化がないか聞き、その日の検査結果や予定などを話した」とクリーブランドクリニック病院医療部総合内科スタッフであるDimov博士は話す。「ミニ回診は定期回診に加えて実施した」。
急性期入院患者病棟のミニ回診は平日業務の最後に、亜急性期の重症患者を治療する施設では1日の始めに実施した。26名のホスピタリストから2名をミニ回診の担当に割り当て、最後にその成果を同僚らと比較した。定期回診は両病棟で別々に実施した。
入院患者病棟ではミニ回診で15人を見回るのに平均20分、亜急性期患者の治療施設では30人を見回るのに平均30分かかった。
患者が病院および亜急性期患者治療施設を退院した後、ホスピタリストと金銭的にも何ら関係のない電話調査員が電話をかけ、入院中の感想と受けた医療に対する満足度について質問した。
2カ月間の試行期間終了時、病棟の医療従事者がミニ回診した患者の満足度スコアは他の病棟の医療従事者が巡回した患者の満足度より有意に高かった。患者、医師ともにミニ回診によりコミュニケーションと患者ケアが良くなったと感じた。
「外来患者診療をやりながら入院患者をみなければならないプライマリケアの医師のかわりにホスピタリストが患者に近い存在になることによって、患者満足度が向上する」とクリーブランドクリニック病院医療部長Franklin Michota, Jr., MDはMedscapeに語った。Michota博士はこの研究に加わっていないが、独立的な立場でのコメントを求められこう語った。「しかし、病棟の医療従事者はさまざまな業務に追われてパンク寸前の状態にあり、毎日ベッドサイド業務に十分な時間を割くことができない。ミニ回診は、時間効率のよい方法で患者を満足させることがコンセプトのようだ」。
また、少数の患者を対象にした単一施設の研究であることが今回の研究の限界であるという。ミニ回診で本当に大多数の患者を満足させられるのかどうかはまだ分からない。
「ホスピタリストは働き過ぎでギリギリの状態にある。この問題は深刻さを増しているが、本研究はそれに対する独自なアプローチだと思う」とMichota博士は言う。「迅速なミニ回診によって、医師が患者のすぐ側にいるということを患者に安心感を与えることができる。また、医師はその日のうちに対処しておかなければならない疑問や心配を聞くことができる。いずれにせよ、1日2回以上の回診は病棟の医療従事者が当然やるべきことだろう」。
今後の展開に関して、Michota博士は患者1人に対して病棟の医療従事者が1日に回診する頻度の全国標準を調べることに興味がある、と述べた。
「ミニ回診は、短時間で効率よく医師と患者のコミュニケーションと満足度を向上させる方法であり、大規模に研究するに値する」とDimov博士は締めくくった。「今回の結果を検証するため、さらに多くの病棟の医療従事者と患者を集めて予備調査を拡大するつもりである」。
この調査計画に対する補助金の提供はなかった。Michota博士をはじめ財政的関係を報告した著者はいない。
Hospital Medicine 2007: Abstract. Presented May 23-25, 2007.