
医療の崩壊が現実になろうとしている。特に、産科だ。もう、既に起きているかな。
当院の病院の産科の先生、ここでもう、15年と2ヶ月になる。ずっと(殆ど)一人で頑張ってきている。昨日の夕方、その先生と少し話をした。
先生は、ここに来る前は、別の所で、8年半していたとのこと。医局のドアを開けてベランダに出て、医局の前に見える広々とした海を二人で見ていると、先生は、指さして、向こうに見える所が○○市で、そこにある病院で精一杯昼も夜もよく働きましたよと懐かしそうに話す。そこでは、年間400~500以上のお産を扱っていたと言う。睡眠不足のままで、外来、手術、病棟と忙しかったなあと話す。しばらくして、研修1年後のドクタ一が来るようになったが、一年間しっかりと鍛えてやっと使えるかなあと思った時に、次のドクタ一と交代になってしまう。若いドクタ一をしっかりと見てないといけないので、それでかえって苦労したこともあったと言われる。この病院に来て、自分が○○市にいなくなったら、大学から二人もちゃんとした産婦人科医が直ぐに派遣されて来たと言われる。
私と同じ団塊の世代。医大の援助がなければ、もう、体力的に、お産はこの先、出来ないなあと寂しそうにポツリと小さな声で言われた。
産科医一人で頑張っている病院、まだ、地方では多い。そうでなくても、産科医の少ない時代。一人だと、大学も派遣しづらいとのこと。
団塊の世代も、いつまでも、元気であるはずはない。
今日は、朝、5時半に病院から電話があった(朝の4時から、私の拘束になっている)。吸引分娩している子が生まれたので、診て欲しいとの電話があったのだ。直ぐに行くと、産科の先生が、元気に仕事をされていた。
マスコミは、一人でこんなに頑張っている人を取り上げることは、まずない。足りない時は、大騒ぎするのに。