日本の心・さいき

日本の文化を通じて、世界平和を実現させましょう。

時間帯への集約化を?

2007-06-11 20:12:21 | Weblog
「小児科医の集約化よりも、ある時間帯への患児の集約化を」


 小児科と産科の集約化が、全国的に、どんどん進んでいる。小児科と産科では、集約化にしても、その意味合いがちょっと違うと思う。産科のお産は、産科医でないと出来ない。しかし、小児の場合は、内科系の医師であっても、ある程度までは、出来る。そして、小児が時間外に来院するケ一スが非常に多い(が、一刻を争う場合は、少ない)。この違いである。
 集約化して、5人で、24時間365日、いつでもどうぞって感じで、小児救急を2年7ヶ月間、したことがある。その総合病院では、当直が、内科医一人、外科医一人、小児科医一人の体制であった。当直の小児科の先生は、翌日も、普通に仕事。当然、昼間眠くなって、昼過ぎに、医局で小児科の先生(T大小児科から派遣して頂いていた)がよく眠っている光景が見られていた。5日に1日当直と言うのは、若くても土台無理であり、最低、当直できる小児科医が7名必要である。その病院では、小児科医の数をもっと増やす計画であったが、T大学の都合で、派遣が出来なくなってしまった。(今は、その病院、F大から派遣されて、小児科医6名で小児救急を積極的にしている)
 一人で、24時間365日、夜の20時~21時まで集めて、佐伯の病院の時も(一人で、8年半余)、開業していた時も(一人で8年半余)、佐伯で20年近く小児救急に携わってきた(深夜も)。意外なことに、新生児以外は、深夜受診が極めて少なかったのである。一人でしていることを患児側に知らせ、毎晩時間を決めて一人の医師がしていることを知らせてきていた。いつも顔なじみの患児の喘息での吸入やクル一プの吸入では、前もって指示をしていたので、起こされることは少なかった(初診だと、診ない訳にいかなかったが)。(しかし、私の場合は、生活パタ一ンが朝型だったので、朝6時からの急患は、快く診ていたが)これが出来る為には、自分の様に、かなりの変人でないと出来ない?!しかし、これをすると、家庭も壊れるし、睡眠不足で医療訴訟に陥り易いし、決して勧められる話ではない。現に、私は、弁護士を通じて訴えられたりもした経験を持っている(命懸けで一生懸命にしてきていても、関係ない。忙しいことや睡眠不足で言い訳することは、出来ない。小さなトラブルは、圧倒的に時間外の初診に多いが、今でもある)。
 今の病院では、夕方17:00~(平日は、時間内料金)と夜19:30~、毎日集めて診療している。今年の8月になれば、それを2ヶ年間、ずっと続けたことになる。初めの1年間は、小児科医は、自分一人であった。何故、それが出来たか?答えは、当直の先生に深夜は診てもらっていたからである。
 深夜にいつも小児科医が診るとなると、患者さん側は、深夜もしているとなって、本当に終始がつかなってしまう。深夜は、小児科医は診ないのだと言う意識を周りの親御さんに持ってもらうことが是非とも必要なのである。それが可能であれば、大都会でなければ、小児科医二人でも、何とか出来る地域は、けっこう多いのではと思っている。その時、本当に困った時は、必ず、小児科医から診てもらえるという安心感も同時に住民に与えておく必要があると思っている(私は、一刻を争う場合は、他の医療機関が診ない場合は、かかりつけでなくても、深夜でも、居留守を使うことなどせずに、必ず診ると言って来ているし、今も、これを自分のポリシ一にしてきている)。
 二人いると、本当に楽である。一人が充分に時々休めるし、お互いの都合も、調整できるからして。しかし、小児の救急に関しては、小児科医二人だけでなく、他の科の先生方(当直医)の協力も当然必要となる。
 小児科医の集約化と言うよりも、私の経験から、時間帯を決めての患児の集約化(夜の時間帯を決めて、その時間帯に、出来るだけ来てもらって、その時だけ、小児科医が診る。一刻を争う場合を除いて)を勧める方が得策の様な気がしているし、それの方が、広く出来て、患児さんの為にもなると思っているし、小児科医の負担も、かえって少なくなる場合が多いと思っている。

とある病院に詳しい人の話、・・・ある県の市民病院は、周辺の住民の希望で、小児科医を増やして、7名で小児救急を24時間365日することになった。一応、時間外は、メインの小児科医一人とサブの小児科医一人を付けて待機。深夜、あちこちからくまなく来る。忙しい。そして、医師は、皆疲れ切っている。しかし、もうこれ以上、医師は増やせない。
  とある小児科だけの個人病院、・・・そこの収支を見て驚いた。年間の入院数も、外来数も、この数年間は確実に減少傾向。多くなっているのは、時間外患児数だけ。特に深夜の数が目立って年々多くなっている。ある医師が言っていた、そこの当直に行ったら、深夜30分毎に来て一睡も出来なかったと。で、その医師は、当直明けも、続けて普通の様に勤務している(その病院の常勤の医師は、午前中だけではあるが)。
  とある県では、小児科医の集約化で遠くからそこに通わないといけなくなって、署名運動が起きている。しかし、肝心の医師確保が出来ないので、目途は全く立っていない。
  地方の自治体病院の多くは、採算で苦しんでいる。医療圏の広い地方の病院の小児科は、特にやっかいだ。子どもも次第に少なくなっているし、田舎であればある程、それが加速度的に進んでいる。寂しいことだが、集約化にもれた病院の小児科は、いつかは潰れる運命にあるのだなあ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

為になるかも知れない本(その115一2)

2007-06-11 12:30:38 | Weblog
一研修医の心構え一
 「二人の為に世界はあるの・・・」と言う歌が流行したことがある。研修病院等と称すると、ややもすると研修医の為に存在する病院のように誤解するむきがあり、自分達は当然学ぶ権利があり、病院当局は教育する義務があるかの如くに、自分等に万事都合よく解釈したがる傾向がある。
 その為に、自ら学び取る気概に乏しく、教えてくれるのを待つと言った甘ったれた考えを持ち、気を付けないといわゆるspoon feeding childの幣に陥る危険がある。
 研修医を受け入れている総合病院の多くは、その地域医療のメジカルセンタ一的な病院である。したがって、研修医に対するトレ一ニングも多くの使命の内の一つであるが、決して、その総てではない。
 授業料を払って研修を受けるのならいざ知らず、月給をもらって研修のみを受けることが出来るほど、この世は甘くないのである。
 要は先にも述べたように、研修医自身で意気と熱意を持って、「よ一し学びとってやるぞ」いった気持ちで頑張れば、必ずや打って響くように病院当局の教育スタッフも、これに応じてくれることは自明の理であり、後輩をより立派な医師に育て上げるべく最善の努力をしてくれるであろう。
 こういったヒュ一マンリレ一ションというか、ム一ドというか、そういうことが一番重要のように思われる。
 どうかこれから研修を受けられる皆さん方は、以上のような心構えを持って研修に取り組まれることをお願いしたい。この熱意さえあれば、必ずや、実りある研修生活を送ることが出来ると、私は確信している。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

為になるかも知れない本(その115一1)

2007-06-11 07:49:18 | Weblog
一よい臨床医になる為には一
 大学病院というと何となく、前記の諸条件をすべて満たしていると思いがちである。しかし、各条件をよく読んでいると、決してそうでもない。自分が希望する科に実力のある指導医が各分野に広く存在する点はいいが、果たして親切かどうか。大学では研修医の数が多過ぎる為、そこまで手が廻らないというのが実情であろう。又、各科相互の連絡が良好とはいえない場合が多い。研修医に対する外来、入院、手術といった患者の割合が極めて少ない。これは常勤医の数が多いので宿命的と言えよう。多額の給与はもちろん望むべくもない。
 しからば大学病院以外の総合病院では、どうであろうか。ごく少数の病院を除けば、いろいろ不備な点が更に多くなっている。しかし、非常に割り切った私見をあえて述べさせてもらうならば、将来有能な第一線臨床医として立ちたい方には、総合病院で研修を受けられることを勧めたい。
 ことに、いわゆるメッサ一ザイテというか、外科系の場合にその感が深い。大学病院では前述のように、手術の件数の割に医師数がむやみに多い為、僅かなケ一スのコ一ヒキ、糸結びをやる位で進歩がない。数年経つと、学会や文献のお陰で、「口は立つようになるが、腕はいっこうに立って来ない」であろう。
 内科系においても、外科系ほどではないが、同様のことが言えるであろう。年間十例内外の入院患者を担当していても、臨床経験は必ずしも深くはならない。もちろん自分で受け持たなくても勉強は出来る。しかし、自分が担当し、その時に本を読んだことは、(医師になって年数が経っていない程)一生忘れない貴重な経験となるものである。
 一律に総合病院といっても、かなりの程度の違いがある。即ち、前記の項目を出来るだけ多く満たしているような病院を選ぶべきである。出来れば、既に研修を受けられた先輩の方々に実情を聞いてみるのがいい。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

為になるかも知れない本(その115)

2007-06-11 07:18:44 | Weblog
 次の内容は、「研修病院の選び方」と題して、川崎市立病院院長、慶応大学内科客員教授でもある勝正孝先生の書かれた内容である(卒業前にもらった)。

一理想的な研修病院一
 いかなる研修病院が最も理想的であるかは、研修を受ける医師の希望と心構えとによっていろいろ異なってくるので、一概には言えないが、ごく一般的には、次の事が言えるように思われる。
(1)自分が研修する科に、実力があり、しかも親切な指導医がたくさん(各専門分野に)いること。
(2)総合病院であって、各科に余り凸凹がなく、しかも各科相互のコミュニケ一ションの良いこと。
(3)第一級の診断、治療のできる最新施設を有すること。例えば、中検、手術室、レントゲン、RI、リハビリテ一ション、特殊医療施設(総合内視鏡、CCU、ICU、腎センタ一、高圧酸素室等)が充実していること。
(4)病歴室、図書室、フォトセンタ一、研究室、教材室等が整備していること。
(5)入院、外来ともに症例が多く、多彩な患者の診察が可能で、手術、分娩等の件数が多いこと。各種の専門外来を実施していること。
(6)CPC、症例検討会、病理示説会、死因検討会、抄読研究会等が全病院及び各科で定期的に活発に行われていること。剖検数と剖検率の高いこと。
(7)学会活動が活発で研修医にも学会発表の機会があり、さらに論文作成まで指導してもらえること。
(8)給与が多額であり、研修医用の宿舎のあること。
 大体以上のような病院であろう。しかし、上の条件すべてを満たす研修病院は、現在のところ、日本には一つもないと言う研修医もいれば、ほぼ満足すべき病院はかなりあると思う人もいる。当然、本人の考え方によって違ってくる訳である。全てを求めて徒に条件の足らざる所を嘆くよりは、足らざる所を自分の努力によってこれらを捉えるくらいの気持ちを持てば、必ずや新しい分野が開けてくるものである。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする