私が教師を初めてすぐに感じたことの一つに,こういうことがありました。
「教師とは,子どもと向き合い,子どものことを考える仕事なのに,こんなにも親が身近に見えるものなのか。親と向き合っているみたいだな。」
向き合っている子どものうしろに,その保護者が見える。
という感じです。
もちろん全ての学校,クラス,子どもが同様にではありません。
程度の差はあります。
その保護者からのクレームというのは,つらいものです。
「クレーム」とはいってもその幅は広く,本当に的を得たためになるものもあるし,「意味不明」のような,まさしく「クレーマーによるクレーム」というものもあります。
とりあえずここでは広く「クレーム」と使わせてもらいます。
そして,このクレームとは,他の人(他の保護者や職場の同僚)には知られたくないと思いがちです。
自分への非を指摘するものですから,できれば狭い範囲で処理してしまいたいと思うのが自然でしょう。
若い先生は「自分の力でなんとかしなきゃ!」と,気を張ってしまうものです。
逆に年配の先生は「こんなの,他の先生に知られるのは不本意だな…」と,内密に処理しようとするかもしれません。
しかし,それは一つの落とし穴です。
クレームは広く公開する!
思い切ってこうしましょう。
私も,初任(たっくさんのクレームを受ける未熟者)などのころは,できるだけクレームを隠そうとしました。
仕事のできない教師と思われたくなかったからです。
しかし,隠せば隠すほど,問題は大きくなることが多かったのです。
・クレームを言ってきた保護者がいつまでも納得してくれない…
・問題そのものが改善に向かわない…
・致命的な問題を,あとから管理職が知った時には怒られる…
こんな事態を避けるためにも,クレームは広く公開するべきです。
自分にとってはつらいことですが,受けたクレームを,同僚の先生にすぐ教える,管理職に報告する,学級の保護者に向けて知らせる,ということを積極的にしましょう。
そうすることで,
・同じ経験をしたことのある同僚の先生がアドバイスをくれる
・担任で対処しきれない問題の場合は管理職が入ってきてくれる
・同じことを感じていた保護者が少し安心してくれる
・クレームを言ってきた保護者が,その反応に少なからず納得してくれる
・そういった謙虚な姿勢をもつ教師に,多くの人が好意をもってくれる
となります。
これらのことから,クレームで指摘された問題は改善へと向かうことが多くなることは間違いありません。
自分の傷口を開いて見せるのは痛いですが,開くことでどう治療すればいいかがよく見える,といった感じでしょうか。
さらに。
先生がクレームを必ず広く公開する姿勢をもっていると,下手なクレームは来なくなります。
いわゆる,ただの「言いたがり」だけのクレーム防止にも効果的です。
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