「全員」というのが肝心で,そこに難しさがあります。
もちろんクールな見方をすれば,「全員が泳げることを目標にする必要もないだろう」なんて意見もあるでしょう。
でも,「クラスみんなで,一つの目標に向かう」
そのための手段としても,今回の水泳を位置づけてみたい。
そう思って取り組むのは担任の,または子どもたちの判断一つです。
必ずしもできる必要はない。
しかし,もしできれば素晴らしいことだ。
そういうものでしょう。
水泳に関する子どもたち一人一人の意欲はそれぞれです。
「プール大好き!」という子は大勢います。
でも中には「プールは好きじゃない」という子だっていて当然です。
「泳ぎが上達したい!」という子は,これまた大勢います。
でも中には「別に泳げなくてもいい」なんてへそ曲がりな子だっているかもしれません。
そんな中で,「全員達成」という目標を掲げてクラスみんなで取り組んでいくには
クラス全体のテンションを上げる!
ことが大前提となります。
前回の「妥当な目標を掲げる」からの二つ目です。
目標を掲げたら,それに向かうエネルギーを十分に蓄えて,ベクトルをそろえる。
そうして初めて目標に向かって力強く突き進む組織となります。
ただ単に,水泳の一時間目に先生が
「よーし,今年はクラス全員25m泳げるようになろう。そのために…」
なんて話すだけでは,子どもたちのハートは十分に温まりません。
10時間以上ある水泳学習を,息を長く,熱く取り組んでいくには,それだけの強烈なテンションが必要です。
子どもたちのテンションを高める一番の方法は,やっぱり「目標を達成したい」という言葉を子どもたちから引き出すことでしょう。
学級会で話し合うなどして,活動自体の子どもたちの主体性を高めることです。
先生が「やりましょう!」というのより,クラスのリーダー格の子が「やろうぜ!」というほうが,クラス全体の熱は上がります。
それを,先生はうまく引き出す役になりたいですね。
また,
「目標を達成した先には,なにか目的がある!」
というのもテンションを上げるためには大事です。
クラス対抗水泳大会がある
町内水泳記録会がある
PTA新聞の取材がある
お祝いクラスパーティーがある
なんてものがあれば,子どもたちの目の色が変わります。
新聞やパーティーは,ちょっと動機が不純かもしれませんが,子どもってやっぱり「損得」で動くというのは本当のところです。
それはそれで,教育にもおおいに利用していいと思います。