水泳の運動特性ってやっぱり複雑です。
全身のいろんな動きが呼応してやっと泳げるようになります。
いったんその技能を身につけると,運動はほぼ自動的にできるようになりますが,まだその技能を身につける前の段階の子にとっては,「泳げるようになる」ということは,やっぱり簡単なことではありません。
そして,泳げない子がたくさんいたとしても,課題は一様ではありません。
その子,その子によって泳げない原因はそれぞれです。
→手の動きができていない
→足の動きができていない
→呼吸ができていない
→体の動きができていない
などなど。
さらに「手の動きができていない」の中でも
→手を入水する場所が違う
→水中での動かし方ができていない
→手の平の形がよくない
→右手はできているが,左手ができていない
などと,さらに細かく課題は分かれます。
こんな子たちを泳げるようにするために,先生は一斉指導で手や足の動きなど,おおまかには指導できますが,やはり一人一人に対応して,ポイントをおさえた指導を届けるというのも,限界があります。
やはり,水泳には個別指導が一番だと思います。
では,どのようにして個別指導を進めるか。
教え合うシステムをつくる!
クラスの「泳げる子」たちの出番です。
二人組,三人組をつくり,つきっきりで教えてあげるようにします。
この「ミニティーチャー」たちが,それぞれの子の課題を見抜き,適切なアドバイスをしてくれるよう,はたらきかけます。
「なぜ泳げないかを発見すること」
「それを,上手に本人に伝えること」
「どうすればよくなるか,練習の方法を工夫すること」
「たっぷり泳ぐ時間をとること」
教える側の子たちには,上のようなことを伝えます。
「ただ繰り返し泳いでもだめだよ。水泳を一緒に『学習』しなきゃ,泳げるようにはならないよ」
そこがポイントです。
こういった水泳を教える活動も,大事な水泳学習である,そしてそれは自分の泳ぎにもつながるものがあるということを気付かせることです。
それに気付いた子たちは,自分の水泳時間を惜しむことなく,必死に友だちを教えてくれるようになります。
そして,自分の上達と同じように,友だちの上達を喜んでくれます。
こういう「システム」を,クラスの中にたくさん存在させることですね。
もちろん,この教え合う活動を授業いっぱいするわけではありません。
それでは,上手な子たちの運動量が少なくさすがに不満がありますので,授業の中の15分間などと,枠を決めてするといいでしょう。