少しだけ、グロッキー話に逆戻り。
このところ三冊の本を同時に読んだためグロッキーだと書いてきたが、それぞれは絶望の書では勿論、ない。
実際のところ「ミッション建国」(楡周平)には国が崩壊した後、日本が生き延びる道が提案されているのだが、目先のあれこれに踊らされた町長選挙ばかり見せつけられるし、嫌な予言は的中するしで、すっかり失望してしまい、「ミッション建国」が示す道の実現可能性など考えもしなかった。だが、ここ一両日のニュースで昨年のニュースを思い出し、それが正に本書が示す「生き延びる道」なので希望を見出している。(下線部は筆者による)
<皇太子ご夫妻、岩手県入り=復興状況を視察> 時事通信 6月20日(月)21時3分配信より一部引用
皇太子ご夫妻は20日、東日本大震災の復興状況視察のため、新幹線で岩手県入りされた。
ご夫妻の被災地訪問は昨年10月の福島県以来で、岩手県を訪れるのは2013年11月以来、約2年半ぶり。
「ミッション建国」が指摘する嫌な予言が的中するなら、逆に、本書が示す「生き延びる道」も当たるのではないかと考えたので、まず本書の嫌な予言を記しておく。
「ミッション建国」は ’13年6月から’14年3月まで産経新聞にて連載されていたものだが、本書の最後にヤスさんが暗示する未来が今まさに現実となっているので、暗澹たる思いばかりが先走った。
『 』「ミッション建国」より引用
『日銀の金融緩和はこれまでも行われてきたことだが、彼が行ったのは、自ら語っているように異次元のものだ。問題はこれが重大なモラルハザードに繋がりかねないという点でね』
『何を新産業の柱にするかも決まらんうちに、日銀にばんばん国債を買い取らせ、金融緩和を行ったらどうなる。金を市場に注ぎ込んでも、活性化する産業が今の日本のどこにあるかね。国内産業は、とっくの昔に雇用の拡大など見込めぬ構造になっているんだ。社会の末端まで、万遍なく金が回る時代じゃない。それでどうして消費が伸びるのかね。まして消費税を8%に、さらに10%に引き上げるというんだ。景気が回復すると思うかね』
『禁じ手を使ったんだ。景気の腰折れなどあってはならない。政府はさらに国債を日銀に買い取らせ、金融緩和を続ける。そうなれば、まさに負の連鎖だよ。~略~』
『当然、国債の信用力は低下する。暴落が始まる』
『これまで国債を購入していた銀行、生保はたちまち経済危機に陥る。金融破綻か、あるいはが外貨に買い取られるかは分からんが、いずれにせよ大量の解雇者が出るだろう。そして、最大の被害者は金融機関に金を預けていた国民だ。事実上自分達が買い支えてきた国債の価値が著しく棄損されるんだ。払い戻されるのは、ペイオフ対策の一千万円。それ以外の預貯金は、まったく受け取れなくなってしまうことになるだろうね。』(参照、「その日はいつか」)
戦前急場を凌ぐ為に国債の大量発行と日銀の直接引き受けを実施した高橋是清は、口を酸っぱくして出口戦略の重要性を説いていたが(「繋がっている歴史から学ぶ」)、現在の金融政策にその出口戦略があるようには思えない不安はヤスさんでなくとも感じているのではないだろうか、そんな時に流れたのが、このニュースだった。
<三菱UFJの国債特別資格返上、決断の背後にマイナス金利> Business 2016年 06月 8日 18:15 ロイターより一部引用
[東京8日ロイター] 国債市場を支えてきた三菱東京UFJ銀行の特別参加者(プライマリー・ディーラー)からの離脱は、日銀のマイナス金利政策によって市場構造が大きく変化している現状を浮き彫りにした。プライマリー・ディーラー制度の導入から12年。同行に追随する動きが広がれば、制度の存続を揺るがす事態に発展しそうだ。
このニュースを受け株が乱高下するなかで「ミッション建国」を読んだので、当然と云えば当然の’’流れ’’ではあるが、それを言い当てていた本書が云う「崩壊」に現実味を感じ暗澹たる思いばかりが募ったが、本書が指し示す未来に現実味があるとするならば、そこに書かれる「生き延びる道」にも現実的希望が持てるのではないだろうか。
本書は、地方の人口問題と介護問題を解決する手段として、スマートアグリにかなり期待を寄せている。
地方に産業が生まれれば若者は地方から流出しないし、地価と物価の高くない地方ならば子供を産み育てやすいのではないだろうか、まして人口増加を図ろうとするならば、第一次産業(農業)は重点的に力を入れなければならない分野なので、スマートアグリに活路を見出すべきだ、と政策提言型小説である本書は強く提案していて、既にそれに着手している地域として、岩手県の陸前高田と福島県の川内村の野菜工場をあげているのだが、これを思い起こさせるニュースが去年あった。
<皇太子ご夫妻、福島の復興状況視察 > 2015/10/8 21:11日経新聞より一部引用
皇太子ご夫妻は8日、東日本大震災の復興状況視察のため、福島県を日帰りで訪問された。ご夫妻の被災地訪問は2013年11月の岩手県以来。
ご夫妻は震災と東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興を担う人材育成を目指して今年4月に開校した同県広野町の県立ふたば未来学園で授業を見学。
このあと、いわき市の「とまとランドいわき」を訪れ、トマトの栽培温室内を見学された。同社は太陽光発電による植物栽培により、単位面積当たりのトマト生産量は日本でもトップクラス。
(参照、写真出展 宮内庁ホームページ http://www.kunaicho.go.jp/page/gonittei/photo/11516
JR東日本が農業に参入― 福島県いわき市に植物工場を建設しトマトを生産 ここをクリック! )
本書でも、スマートアグリは被災地復興と地方の活性化の柱として描かれているのだが、日頃は遅々として進んでいない復興状況ばかりが目につき、新たな事業が立ち上がっていることも、それに継続性があることも伝わってはきていない。
しかし、被災地として苦しみながらも新たな事業を立ち上げ、将来的には日本のアグリビジネスを牽引するようになるであろう場を、皇太子ご夫妻は訪問し励ましておられることに、皇太子様の「時代に即した新たな公務」の姿勢を拝見した思いでいる。
スマートアグリはこれからの分野であり、あまりに時代を先取りした応援を皇族方がなさることは難しいだろうが、農業という古くて新しい分野を復興の旗頭にして頑張る人々を応援されることが、いずれ日本を救う道筋の発展に繋がるとすれば、国民として、これほど有難いことはない。
そして、こんな動きもでてきている。
<三井住友銀がコメ生産=秋田に新会社、7月設立> 時事通信 6月15日(水)13時0分配信より一部引用
三井住友銀行は15日、農地を所有して農産物を生産する農地所有適格法人(旧農業生産法人)を、秋田県の農業法人などと共同で7月末に設立すると発表した。新会社は来春、秋田県内でコメの生産を始める。農地所有適格法人に銀行が出資するのは初めて。
4月に改正農地法が施行され、銀行の出資が認められた。三井住友銀と秋田銀行が銀行法の上限に当たる5%をそれぞれ出資する。株式の過半は「大潟村あきたこまち生産者協会」(秋田県大潟村)が保有し、コメの生産・販売などを手掛ける。三井住友銀は資金面で新会社を支えるほか、国内外の販路開拓にも連携して取り組む。
本書は、再生の前には崩壊するしかないと云っている。
『グレート・リセットだ』
『これまでの国家構造、社会制度を見直し、再構築する。国民が同じスタートラインについて、新しい国を築く時が来るんだ』
『そこまでの事態に直面しなければ、国民の意識は変わらんよ。政治家も官僚もね』
『確かに混乱は起る。不遇をかこつ人間も数多く出る。だがね、それでも日本が消えて失せるわけじゃない。企業活動が続きもすれば、難局を打開する人を担うのは政治だ。再構築された仕組みの下で社会が動き出すにつれ、日本は復活し、新しい道を歩み始めることになる』
『グレート・リセットは、社会の再構築の大チャンスなんだ。』
崩壊がより良い再生のために必要不可欠ならば、せめて「グレート・リセット」のとき、明確なビジョンを国民は欲しい。
ヤスさんは、そのビジョンを古い体質に染まらない若き青年局長に託したが、政治がどうしようもなく風任せな部分があることを考えると、新しいビジョンを継続的に側面から支援する存在は精神的支柱として必要だ。
皇太子様は、官民問わず若手の研究者や技術者を応援するための視察を「時代に即した新しい公務」の一環として取り入れておられるという。
本書が云うように、国を救うビジョンの一つが農業再生・スマートアグリならば、五穀豊穣の祈りを司る皇太子様が訪問されることで、まだ一般的には知られていないこの分野に光が当てられることは正に「時代に即した公務」だといえ、本当に有難いことだと思っている。
グレート・リセット
だが、真に大切なことは繋がっていく!
追記
JR東日本が提携したのが、皇太子ご夫妻が視察された「有限会社とまとランドいわき」である。
このところ三冊の本を同時に読んだためグロッキーだと書いてきたが、それぞれは絶望の書では勿論、ない。
実際のところ「ミッション建国」(楡周平)には国が崩壊した後、日本が生き延びる道が提案されているのだが、目先のあれこれに踊らされた町長選挙ばかり見せつけられるし、嫌な予言は的中するしで、すっかり失望してしまい、「ミッション建国」が示す道の実現可能性など考えもしなかった。だが、ここ一両日のニュースで昨年のニュースを思い出し、それが正に本書が示す「生き延びる道」なので希望を見出している。(下線部は筆者による)
<皇太子ご夫妻、岩手県入り=復興状況を視察> 時事通信 6月20日(月)21時3分配信より一部引用
皇太子ご夫妻は20日、東日本大震災の復興状況視察のため、新幹線で岩手県入りされた。
ご夫妻の被災地訪問は昨年10月の福島県以来で、岩手県を訪れるのは2013年11月以来、約2年半ぶり。
「ミッション建国」が指摘する嫌な予言が的中するなら、逆に、本書が示す「生き延びる道」も当たるのではないかと考えたので、まず本書の嫌な予言を記しておく。
「ミッション建国」は ’13年6月から’14年3月まで産経新聞にて連載されていたものだが、本書の最後にヤスさんが暗示する未来が今まさに現実となっているので、暗澹たる思いばかりが先走った。
『 』「ミッション建国」より引用
『日銀の金融緩和はこれまでも行われてきたことだが、彼が行ったのは、自ら語っているように異次元のものだ。問題はこれが重大なモラルハザードに繋がりかねないという点でね』
『何を新産業の柱にするかも決まらんうちに、日銀にばんばん国債を買い取らせ、金融緩和を行ったらどうなる。金を市場に注ぎ込んでも、活性化する産業が今の日本のどこにあるかね。国内産業は、とっくの昔に雇用の拡大など見込めぬ構造になっているんだ。社会の末端まで、万遍なく金が回る時代じゃない。それでどうして消費が伸びるのかね。まして消費税を8%に、さらに10%に引き上げるというんだ。景気が回復すると思うかね』
『禁じ手を使ったんだ。景気の腰折れなどあってはならない。政府はさらに国債を日銀に買い取らせ、金融緩和を続ける。そうなれば、まさに負の連鎖だよ。~略~』
『当然、国債の信用力は低下する。暴落が始まる』
『これまで国債を購入していた銀行、生保はたちまち経済危機に陥る。金融破綻か、あるいはが外貨に買い取られるかは分からんが、いずれにせよ大量の解雇者が出るだろう。そして、最大の被害者は金融機関に金を預けていた国民だ。事実上自分達が買い支えてきた国債の価値が著しく棄損されるんだ。払い戻されるのは、ペイオフ対策の一千万円。それ以外の預貯金は、まったく受け取れなくなってしまうことになるだろうね。』(参照、「その日はいつか」)
戦前急場を凌ぐ為に国債の大量発行と日銀の直接引き受けを実施した高橋是清は、口を酸っぱくして出口戦略の重要性を説いていたが(「繋がっている歴史から学ぶ」)、現在の金融政策にその出口戦略があるようには思えない不安はヤスさんでなくとも感じているのではないだろうか、そんな時に流れたのが、このニュースだった。
<三菱UFJの国債特別資格返上、決断の背後にマイナス金利> Business 2016年 06月 8日 18:15 ロイターより一部引用
[東京8日ロイター] 国債市場を支えてきた三菱東京UFJ銀行の特別参加者(プライマリー・ディーラー)からの離脱は、日銀のマイナス金利政策によって市場構造が大きく変化している現状を浮き彫りにした。プライマリー・ディーラー制度の導入から12年。同行に追随する動きが広がれば、制度の存続を揺るがす事態に発展しそうだ。
このニュースを受け株が乱高下するなかで「ミッション建国」を読んだので、当然と云えば当然の’’流れ’’ではあるが、それを言い当てていた本書が云う「崩壊」に現実味を感じ暗澹たる思いばかりが募ったが、本書が指し示す未来に現実味があるとするならば、そこに書かれる「生き延びる道」にも現実的希望が持てるのではないだろうか。
本書は、地方の人口問題と介護問題を解決する手段として、スマートアグリにかなり期待を寄せている。
地方に産業が生まれれば若者は地方から流出しないし、地価と物価の高くない地方ならば子供を産み育てやすいのではないだろうか、まして人口増加を図ろうとするならば、第一次産業(農業)は重点的に力を入れなければならない分野なので、スマートアグリに活路を見出すべきだ、と政策提言型小説である本書は強く提案していて、既にそれに着手している地域として、岩手県の陸前高田と福島県の川内村の野菜工場をあげているのだが、これを思い起こさせるニュースが去年あった。
<皇太子ご夫妻、福島の復興状況視察 > 2015/10/8 21:11日経新聞より一部引用
皇太子ご夫妻は8日、東日本大震災の復興状況視察のため、福島県を日帰りで訪問された。ご夫妻の被災地訪問は2013年11月の岩手県以来。
ご夫妻は震災と東京電力福島第1原子力発電所事故からの復興を担う人材育成を目指して今年4月に開校した同県広野町の県立ふたば未来学園で授業を見学。
このあと、いわき市の「とまとランドいわき」を訪れ、トマトの栽培温室内を見学された。同社は太陽光発電による植物栽培により、単位面積当たりのトマト生産量は日本でもトップクラス。
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JR東日本が農業に参入― 福島県いわき市に植物工場を建設しトマトを生産 ここをクリック! )
本書でも、スマートアグリは被災地復興と地方の活性化の柱として描かれているのだが、日頃は遅々として進んでいない復興状況ばかりが目につき、新たな事業が立ち上がっていることも、それに継続性があることも伝わってはきていない。
しかし、被災地として苦しみながらも新たな事業を立ち上げ、将来的には日本のアグリビジネスを牽引するようになるであろう場を、皇太子ご夫妻は訪問し励ましておられることに、皇太子様の「時代に即した新たな公務」の姿勢を拝見した思いでいる。
スマートアグリはこれからの分野であり、あまりに時代を先取りした応援を皇族方がなさることは難しいだろうが、農業という古くて新しい分野を復興の旗頭にして頑張る人々を応援されることが、いずれ日本を救う道筋の発展に繋がるとすれば、国民として、これほど有難いことはない。
そして、こんな動きもでてきている。
<三井住友銀がコメ生産=秋田に新会社、7月設立> 時事通信 6月15日(水)13時0分配信より一部引用
三井住友銀行は15日、農地を所有して農産物を生産する農地所有適格法人(旧農業生産法人)を、秋田県の農業法人などと共同で7月末に設立すると発表した。新会社は来春、秋田県内でコメの生産を始める。農地所有適格法人に銀行が出資するのは初めて。
4月に改正農地法が施行され、銀行の出資が認められた。三井住友銀と秋田銀行が銀行法の上限に当たる5%をそれぞれ出資する。株式の過半は「大潟村あきたこまち生産者協会」(秋田県大潟村)が保有し、コメの生産・販売などを手掛ける。三井住友銀は資金面で新会社を支えるほか、国内外の販路開拓にも連携して取り組む。
本書は、再生の前には崩壊するしかないと云っている。
『グレート・リセットだ』
『これまでの国家構造、社会制度を見直し、再構築する。国民が同じスタートラインについて、新しい国を築く時が来るんだ』
『そこまでの事態に直面しなければ、国民の意識は変わらんよ。政治家も官僚もね』
『確かに混乱は起る。不遇をかこつ人間も数多く出る。だがね、それでも日本が消えて失せるわけじゃない。企業活動が続きもすれば、難局を打開する人を担うのは政治だ。再構築された仕組みの下で社会が動き出すにつれ、日本は復活し、新しい道を歩み始めることになる』
『グレート・リセットは、社会の再構築の大チャンスなんだ。』
崩壊がより良い再生のために必要不可欠ならば、せめて「グレート・リセット」のとき、明確なビジョンを国民は欲しい。
ヤスさんは、そのビジョンを古い体質に染まらない若き青年局長に託したが、政治がどうしようもなく風任せな部分があることを考えると、新しいビジョンを継続的に側面から支援する存在は精神的支柱として必要だ。
皇太子様は、官民問わず若手の研究者や技術者を応援するための視察を「時代に即した新しい公務」の一環として取り入れておられるという。
本書が云うように、国を救うビジョンの一つが農業再生・スマートアグリならば、五穀豊穣の祈りを司る皇太子様が訪問されることで、まだ一般的には知られていないこの分野に光が当てられることは正に「時代に即した公務」だといえ、本当に有難いことだと思っている。
グレート・リセット
だが、真に大切なことは繋がっていく!
追記
JR東日本が提携したのが、皇太子ご夫妻が視察された「有限会社とまとランドいわき」である。