After Hours/Dusko Goykovich
(enja 2020, US release)
1ヶ月の沈黙を破るにふさわしいアルバムをと, 自分の壁一面のレコード棚と向き合っていてパッとてにとったのがこのアルバムです。モノクロの大写しのラッパ吹きの白人,ジャケ的には何ら感性に訴えることのないジャケ写です。おまけにカット盤。購入してからもほんの数度しかターンテーブルに載ったことのない一枚です。久々に聴いてみると朗々と鳴るラッパと明快なタッチのピアノにジャズの楽しさを再認識したようなフレッシュな印象を持ちました。
ダスコ・ゴイコビッチ,ユーゴ人です。サッカーのストイコビッチのようにこの国には良くあるファミリーネームのようですね。~ビッチと聞いただけで東欧,ユーゴの雰囲気が支配し,ヨーロッパにあり異色の文化を感じてしまうのは自分だけでしょうか。年代的には1931年生まれと言いますから,アメリカのハードバッパーたちとほぼ同じ世代であることがわかります。アメリカで活躍したのは,彼らよりややおくれて60年代半ばのメイナードファーガソン楽団でのプレイ以降であろうと思います。ファーガソン譲りのハイノートと確かな技術に裏打ちされた滑らかなフレージングのプレイが素晴らしいです。そして,お気に入りのスパニッシュピアニスト「テテ」のピアノが見事な融合を見せてくれますね。オリジナルを3曲提供しているダスコの作曲家としての魅力も捨て難いものが有りますが,A-2, Thad Jonesの"A Child Is Born"やポーターのB-2”I Love You"等既知曲でのコントロールの効いたプレイが印象に残ります。
所有盤はEnjaの米国再発盤ですが,ダスコとテテのコラボ,申し分のないいい録音盤です。購入リストに入れていい1枚と思います。