(Columbia CS9072)
一昨日はドーハムをはじめとするアメリカジャズメンのブラジルへの楽旅のアルバムをアップしましたが,ブラジル音楽へのジャズメンの傾倒はこの後どんどん顕著になりますよね。特に,ゲッツをはじめとするサックスプレイヤーのブラジル音楽との交流は皆さんご存知のとおりでアメリカ本国でのボサノバ流行の原動力になったことは良く知られています。Paul Winterという米国のアルトサックス奏者もそんな役割を果たしたキープレイヤーです。
彼をブラジル/リオで迎え撃ったブラジル産のミュージシャンが今日の主役,Carlos Lyraです。優れた作曲の才能と,ギター,ボーカル,どれをとっても一級品です。ジョビンやジョアンと比べると知名度は落ちるかも知れませんが,その才能は折り紙付きです。前作でウィンターが好んで彼の楽曲を取り入れていたこともあり、リオで共演,録音が実現したボサノバ界では知らない人がいないほどの超有名盤です。メンバーも豪華でPaul Winter(as), Carlos Lyra(vo, g), Sergio Mendes(p), Sebastiăo Neto(b), Milton Banana(ds)という豪華な布陣です。特にA-1の"Você E Eu"はこのアルバム全体の雰囲気を象徴するかのような名演です。ジョビンの”イパネマの娘”に匹敵する名曲でもあります。セルメンの乾いたピアノで始まるイントロが素晴らしく,リラの甘い声で綴られる美しいメロディは“これぞボサノバ”と感じること間違いなし。個人的にはA-3の"Maria Ninguêm”も甲乙付け難い名品だと思います。
所有盤はやっと手に入れたコロンビアの2eyeオリジナルステレオ盤です。とにかくボサの歴史的名盤であることは間違いないでしょう!