この時期になると『野菊の墓』の物語を思い出すことが多い。
『野菊の墓』を読むのは何回目だろうか。
15歳の政夫さんと17歳の民子さんの悲恋物語だが、
短編なので直ぐ読めてしまう。
今回すぐ目に飛び込んできたのは、
「柱が残らず椎の木」というところ。
椎の木って柱材になるのかなんて思って読んでいくと、
民ちゃんの野菊と政夫さんのリンドウだけでなく、
この本にはたくさんの植物が出てきていることに改めて気づいた。
桐・アケビ・ノブドウ・松・イチョウ・エビヅル・棉、
そして春蘭・蕎麦・菊・オダマキ・千日草・天竺ボタン、
椎の木はもちろん桃に梨にモチノキなど。
松戸や市川は、
今より沢山の自然があったのでしょうね。
(明治39年1月に書かれている本です。)
民ちゃんの野菊は、
いつも畔に咲いている薄紫色の、
この野菊が民ちゃんの野菊だと私は思っているのです。
それで、
沢山咲いてくると、
この小説を思い出すのです。
『野菊の墓』の野菊は、
関東ヨメナではないかなんて『野菊図鑑』には書かれてましたが、
野菊の判別は難しいですね。
野菊の花、
しばし楽しんでから草刈をしようと思います。
写真は白っぽく写ってしまいましたが、
もっと薄紫色です。
なお、
この文庫には『野菊の墓』だけではなく、
伊藤佐千夫の小説がいくつかあるのですが、
『野菊の墓』しか読んでません。
いつもそれだけで本を閉じてしまうのです。