ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

私は負けない 村木厚子

2013-12-29 14:47:31 | Book
 

サブタイトルは「郵便不正事件はこうして作られた」となっています。
構成と聞き手は江川紹子さんです。

まずは目次から。これを紹介することにも意味があることだと思うから。


はじめに  村木厚子

第一部
第一章 まさかの逮捕と二十日間の取り調べ  村木厚子
第二章 一六四日間の勾留  コラム……冤罪の温床となっている人質司法  村木厚子
第三章 裁判で明らかにされた真相  コラム……特捜神話に毒されたマスメディア  村木厚子
第四章 無罪判決  コラム……検察への、国民の監視が必要  村木厚子
終章  信じられる司法制度を作るために  村木厚子

第二部
第一章 支え合って進もう  夫・村木太郎インタビュー
第二章 ウソの調書はこうして作られた 上村勉×村木厚子対談(進行…江川紹子)
第三章 一人の無辜を罰するなかれ  周坊正行監督インタビュー

おわりに  村木厚子

《解説》真相は今も隠されたまま 江川紹子

巻末付録 1郵便不正事件関連年表
     2上村勉・被疑者ノート(抜粋)


  *     *     *


冤罪事件というものが、たくさんあるとは知っていましたが、
この事件の経緯を読んでいますと、改めて検察の狡猾さと強かさがはっきりと見えました。
村木さんと江川さんの書かれた言葉は、これからこのような事件を知った時に、
必ず思いだすことでしょう。

無罪でありながら、検察側が強引に作りだす「有罪」というストーリー。
その線に沿って「調書」は作り出される。
「ノー」と言えば、あらゆる脅しが待っている。

もっとも印象に残った言葉。上村氏の被疑者ノートから。
(平成21年5月28日 取調官=國井)

一人で誰にも知られることなく発行するつもりだったから、
一番知られたくない決済権者の村木本人から倉沢へ渡すというのは
どう見てもおかしいと認めなかった→どうしても村木と私をつなげたいらしい。
だんだん外堀からうめられている感じ。逮捕された私から村木の
関与の供述が得られれば検察のパズルは完成か。(中略)
いつまでも違った方向を見ていると拘留(勾留?)期間が長期化しそうで恐い。
しかし、現次点で村木の関与は思い出せない。どうしたものか。



私の力不足ゆえ、この書の紹介が稚拙であることをお許し下さい。  


 (2013年10月25日・中央公論社 初版発行)

俳句航海日誌 清水昶句集 ③

2013-12-19 17:06:51 | Haiku



秋晴れが凄いわ体操でもしてみたら   2003/9/4


呑んでばかり、本を読んでばかり、あるいは俳句を詠んでばかり、パソコンの前に座ってばかり……
こういうおのこは妻にとって時には、うっとおしい存在である。
秋晴れの朝、妻はこう言いたいものである。
それをおのこの側が見事に詠ってしまった。昶さんは一枚上手であった!


バリカンの白髪散らすや秋の風   2008/8/15


ついでに、そのぼさぼさの髪も切りませうか?笑。


かなかなかなかなかなかなかな帰へり道   2002/9/16


書きうつすのに苦労しましたが、さらに翻訳します(笑)。
かなかな、かな? かなかな、かな? あれ?「かな」が1個残ったなぁ。
……そうやって帰り道に指折り数えている内に……


かなかなや最終バスに乗り遅れ   2002/9/29


……ということになってしまったなぁ~。


昼酒を酌み厳粛に蠅叩   2003/5/29


天野忠の詩「端役たち」を思いだしてしまった。

いずれにしても、ほとんど無用と思われる「蠅叩」に、見事な役割を与えた天野忠の詩であり、
清水昶の俳句であった。
「蠅叩」は昼酒を呑むおのこが、厳粛に持つものであろうか(笑)。
雪積む季節に持つものでもないのだけれど、見事な演出によって、おのこの生きる滑稽さが表現されている。
昶さんでなければ、この句はうまれないだろうなぁ(笑)。 


ふらここに乗る老人の憂鬱かな    2005/1/9


昔の白黒映画に、「いのち短し恋せよ乙女」と歌いながら、
ふらここを揺らしていたおのこがいた。映画のタイトルは失念。
少女が漕ぐふらここは明るい風景になるが、
老いたおのこが、「漕ぐ」ではなく「乗る」風景は寂しいものがある。
2011年5月に、70歳で亡くなられた清水昶さんには、少し早すぎる風景ではないか?

キャプテン・フィリップス

2013-12-13 22:15:10 | Movie
映画『キャプテン・フィリップス』予告編


感想はのちほど。

……というわけで、追記します。

「キャップテン・フィリップス・オフィシャル・サイト」



監督:ポール・グリーングラス
脚本:ビリー・レイ
原作:リチャード・フィリップス  ステファン・タルティ『キャプテンの責務・英語版』

製作国:アメリカ合衆国
言語:英語 ソマリヤ語



これは、実際にあったお話です。
2009年に発生した「マースク・アラバマ号」乗っ取り事件で
ソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップスの回想録『キャプテンの責務』が元になっています。

12月14日に観てきました。
からだが震えるほど怖いシーンが続出、それでも逃げ出すことなく、
最後まで観ていられたのは、キャップテン・フィリップスが英雄としてではなく、
一個の真面目で愛情深い人間として描かれていたからでしょう。
「死ぬかもしれない。」と予感した時には、妻に「愛している。」と遺書を書き、
救出された時には、ドクターの前で子供のように震えていた。

キャプテン・フィリップスのコンテナ船「マースク・アラバマ号」は、
私の記憶違いでなかったら、「救援物資」を運ぶ船ではなかったか?
そして、貧しい漁師から、海賊にならざるをえなかったソマリアの若者たち。
富める国と、貧しい国とが一つの海峡で出会うしかなかった。