暑い!暑い!おそろしいほど暑い!
……と騒いだところで、梅雨明け後の暑さは居座りはじめたばかり。
さて、どうしようか?出掛ける気にもなれないし。
それで、熱い俳句を選んでみました。拙ない感想などを添えて。
炎昼いま東京中の一時打つ 加藤楸邨
夏の午後一時と言えば、温度が最も高い時間である。
東京のビジネス街の昼休みが終わる時間にも当たる。
屋外での人の動きがはたと途絶える時間に
暑苦しい東京の時計という時計が午後一時を打つのである。
時計の音はどこから聴こえるのか?死者が打つのか?
電柱のどこへも行けぬ炎暑かな 大野朱香
立ったまま動けない電柱である。
炎暑から逃げる術もないのである。
哀しくて、やがて面白き……。
静脈の浮き上り来る酷暑かな 横光利一
思わず我が腕の静脈を眺めてしまった。
冷房の効いた部屋にいて、パソコンに向かっている私には表れない症状かもしれぬ。
横光利一の句に「梅雨晴れや手枕の骨鳴るままに」という句がある。
横光さんは、気象の変化を体の部位にて感じる方なのだろうか?
蓋あけし如く極暑の来りけり 星野立子
まさに極暑の蓋が開くのだ。地獄の釜の蓋が開くように。
念力のゆるめば死ぬる大暑かな 村上鬼城
あああ。暑さに耐えるには念力に頼るしかないのか?