五歳から、大人たちや姉たちに混じって始めた「百人一首」は、
取り札が平仮名で書かれているので、なんとか参加できた。初めて一枚を取った時に
は、姉たちや大人たちに「いいこいいこ」された。その懐かしい日々を思い出しながら、
改めて読んでみようと思った。意味もわからずにいたあの頃から永い歳月が流れた。
さらにもう一つの思い出は、高校生の時に一回だけ「百人一首のクラスマッチ」があったこと。一クラス五人の選手が選ばれる。私は補欠選手になったけれど、選手の一人が辞退したために、正選手になった。そして決勝戦まで仲間を引っ張った。なぜか?百首を全部暗記していたため。リズムのある言葉は暗記しやすかった。
さてさて始めてみたが、歌は覚えていたが、解釈には以下の資料に頼った。
参考文献 「吉原幸子 百人一首 平凡社」
「白洲正子 私の百人一首 愛蔵版 新潮社」
「佐佐木幸綱 口語訳詩で味わう百人一首 さ・え・ら書房」
「江橋崇 百人一首・ものと人間の文化史189 法政大学出版局」
1
秋の田の かりほの庵(いほ)の 苫(とま)をあらみ
わが衣手(ころもで)は 露にぬれつつ (天智天皇 626~671)
農作業のための仮小屋は苫(とま)と申します。
菅(すげ)や茅(かや)を粗く編んだものですから
そこから夜露が滴り落ちて、私の着物が濡れてしまうのです。
2
春過ぎて 夏来にけらし 白妙(しろたへ)の
衣ほすてふ 天の香具山 (持統天皇 645~702)
香具山は奈良県檀原市南東部ある山。「耳成山みみなしやま」「畝傍山うねびやま」とともに大和三山と称されている。春が過ぎ、夏がきて♬あの山に白い夏の衣装が干してあります。風にはためきながら……
(続く、100首までやってみます。暇人です。)