ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

青春のロシア・アヴァンギャルド

2017-01-30 21:58:41 | Art

ロシア・アヴァンギャルドの詩人について、前記しましたが、大分以前に画家についてのメモがありましたので、ここに書いておきます。

「モスクワ市近代美術館」所蔵の、およそ100年前のロシアの若き画家たちの作品70点(うち、ニコ・ピロスマニの作品は10点、特設コーナーとなっていました。)の展示です。


 (農婦、スーパーナチュラリズム:カジミール・マレーヴィチ:1920年代初頭)

 さて、「ロシア・アヴァンギャルド」とはなにか?
 20世紀初め、帝政への不満からロマノフ王朝の崩壊、ソ連誕生という革命の機運の高まる時代にあって、若きロシアの画家たちは西欧のマティス、ピカソに学び、さらにその先を行く前衛芸術を目指したものの、スターリンの登場とともに衰退する。亡命する者、この運動の代表的な画家であった「カジミール・マレーヴィチ」は具象に戻る。「いずれにせよ、画家たちは政治と無縁ではなかった。」とは、トルストイの言葉である。

 ではこの「ロシア・アヴァンギャルド」に、何故グルジアの画家「ニコ・ピロスマニ」が登場するのか?その時期の若きロシアの画家たちがピロスマニに夢中になったのは、そのボヘミアン的生き方への憧憬と尊敬があったのではないか?モスクワ市近代美術館は、1999年に開館。「ロシア・アヴァンギャルド」の作品を中心に収蔵、展示。初代館長を務めたグルジア出身の彫刻家、ズラーブ・ツェレテーリ氏が海外から買い戻した個人コレクションが基になっている。この初代館長のもたらした幸運だったのか?


 (小熊を連れた母白熊:ニコ・ピロスマニ:1910年代)

 ニコ・ピロスマニ(1862年~1918年)は19世紀末から20世紀初頭にかけて活躍したグルジアの画家。彼はグルジア東部のミルザーニの村で生まれ、後にトビリシに出て、グルジア鉄道などで働いたが、その後、独学で習得した絵を描くようになる。
 彼はプリミティヴィズム(原始主義)あるいは素朴派(ナイーブ・アート)の画家に分類されているが当人にはいかがなものであったのか?彼はグルジアを流浪しながら絵を描いてその日暮らしを続けた。一旦はロシア美術界から注目され名が知られるようになったが、そのプリミティヴな画風ゆえに非難もあった。
 失意の彼は1918年、貧困のうちに死去したが、死後グルジアでは国民的画家として愛されるようになり、ふたたびロシアをはじめとした各国で注目されることになる。

 「百万本の薔薇」という歌をご存知の方も多いことでしょう。このモデルとなった画家が「ニコ・ピロスマニ」であり、フランスの女優「マルガリータ」が彼の町を訪れた時に、彼女を深く愛したピロスマニは、その愛を示すために彼女の泊まるホテルの前の広場を花で埋め尽くしたという。この実話はロシアの詩人アンドレイ・ヴォズネセンスキーの詩によって有名になり、ラトビアの作曲家が曲をつけ、モスクワ生まれの美人歌手が歌い、世界的にヒットした悲恋の歌です。日本では「加藤登紀子」によって歌い継がれています。

20世紀初頭のロシア、ソビエトの詩

2017-01-30 21:35:43 | Poem

「世界文学15・ロシア三・集英社ギャラリー・1990年第一刷」より。



マヤコフスキーの手がけたポスター 「寒いのは嫌だろう。飢えたくもないだろう。食ってみたいだろう。一杯飲りたいだろう。──だから直ぐにでも突撃作業班(ウダルニク)に加われ」というコピーがマヤコフスキーの作。

20世紀のロシア文学は、1917年から始まったロシア革命と切り離して考えることは不可能だろう。詩人に限らず、人々の大量亡命がはじまる。あるいは流刑地での死、迫害による沈黙など。
その時代には、1909年パリでの「未来派宣言」、1916年スイスから始まる「ダダの運動」、続いて1924年フランスに興る「シュールレアリスム」、ドイツの「表現主義」などなど、この時代に文学と芸術のすべての萌芽が集中しました。

その影響として「ロシア・アヴァンギャルド」が誕生する。
しかし、エセーニンは、1925年に縊死、マヤコフスキーは、1930年にピストル自殺など、詩人にとって(いや、すべての芸術家にとって)困難な時代であった。1932年、すべての文学者は「ソビエト作家同盟」に統合され、30年代の恐怖政治が待ちかまえていた。

  さようなら、友よ、握手も言葉も交わさないが、
  悲しんで眉を濡らしてくれるな、――
  この生のなかで死ぬのは新しいタイプのことじゃあない
  けれど生きることだってもっと新しいことじゃあない。
       (セルゲイ・エセーニン)

  この生のなかで
         死ぬのは難しくない
  生き続けてゆくほうが
         はるかに難しいのだ。
       (マヤコフスキー 『セルゲイ・エセーニンへ』)

『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』

2017-01-27 16:50:28 | Movie
映画『くまのアーネストおじさんとセレスティーヌ』予告編


これは、フランスのアニメーション映画です。

熊のアーネストおじさんと、ネズミの少女セレスティーヌの、異なる種族を超えた愛情物語でした。
何気ない物語ではあるが、画面の色彩がやさしい。

ディズニー・アニメには見られない静かな色調でした。

蝋梅いろいろ

2017-01-13 21:51:39 | Stroll
「蝋梅」は冬の季語であった。
いつでも蝋梅を見はずすのは、春の季語である「梅」よりも早く咲くせいです。
今年は念入りに調べて、蝋梅を観にゆきました。ちょっとだけ早かったけれど……。

「ソシンロウバイ」」





「マンゲツロウバイ」





「ロウバイ」には、様々あるようですが、さて正しいだろうか?