「貧困家庭の子ども等は、個人保険に加入している子ども等の4倍も、抗精神病薬を飲んでいます」と、ヴァン・デ・コーク教授は言います。これは、この抗精神病薬を服薬することになった精神病は、遺伝的であるというよりも、環境要因が強く働いている、すなわち、発達トラウマ、愛着障害だ、ということになるでしょう。
ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第13章 Healing from trauma : Owing your self 「トラウマから癒されること :本当の自分を生きること」p.228の、第3パラグラフから。
私が第2章で議論したプロザックの研究は、発達トラウマのクライアントは、戦闘に巻き込まれた退役軍人よりも、薬に善く反応する傾向になることを示しています。それ以来、他の研究は、食い違いを示してきましたね。この観点からすると、国防省と在郷軍人局は、大量の薬を、戦闘員と帰還兵に処方しても、他のセラピーをすることはしなかったことは、気がかりなことですね。2001年~2010年の10年の間に、在郷軍人局は、15億ドル(1,800億円)のお金を、セロクエルとリスパーダルに使い、国防省は、9,000万ドル(100億円)のお金を、同時期に、セロクエルとリスパーダルに使ったけれども、2001年に出た研究報告書によれば、リスパーダルは、PTSDの治療に、偽薬程度の治療効果しかない、と示されていたのですけれどもね。同様に、2001年~2010年の10年の間に、在郷軍人局は、721億ドル(8兆円)、国防省は441億ドル(5兆円)のお金をそれぞれベンゾディアゼピン系の薬に使っています。ただし、臨床医は、この薬をPTSDのある市民に処方することを避けるのが普通です。というのも、この薬は依存性があるだけじゃぁなくて、PTSDの症状には薬効がないからです。
こう読んできますと、発達トラウマに効く薬がないことが分かります。それと同時に、効かない薬に、国の予算が膨大に浪費されてきたこと、予算の無駄遣いであったことも分かります。これは何も、アメリカの話だけじゃあなくて、日本でも全く同じです。
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