エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

乗っ取り

2015-11-06 02:26:32 | エリクソンの発達臨床心理

 

 

 
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 乗っ取り。ハイジャック、バスジャック…。飛行機、船、トラック、バスなど乗り物を武器で脅して乗っ取ることだそうですね。本来は、全てをハイジャックと呼ぶのだそうですね。よど号のハイジャックでは、あの日野原重明先生も載ってたそうですね。また、まだ記憶に新しい9.11もハイジャックされた飛行機がニューヨークのツインビルに突っ込んだのでした。いずれにしても、重大な犯罪であることに変わりはありません。

 でも、ハイジャックよりもヒドイと思う乗っ取りがあります。さっき、NHKの「ハートネットTV」をご覧になった方は、お分かりだろうと思います。それは「子ども虐待(child abuse)」です。ネグレクトも、心理的虐待も、性的虐待も、身体的虐待も、乗っ取りです。ネグレクトを最初に持ってきたことに、どうぞ注意してくださいね。つまり、仕事や研究で、子どもに寂しい思いをさせるネグレクトも、乗っ取りだ、ということです。

 でも、何の乗っ取りだと思います。さっき「ハートネットTV」をご覧にならなかった人は、「何のこと?」と思われるかもしれませんね。それは、人生の乗っ取りです。ネグレクトも、心理的虐待も、性的虐待も、身体的虐待も、「親が子どもの人生を乗っ取ることだ」ということです。ネグレクトを最初に持ってきたことに、どうぞ注意してくださいね。つまり、仕事や研究で、子どもに寂しい思いをさせるネグレクトも、「親が子どもの人生を乗っ取ることだ」、ということです。

 虐待があると、子どもは自分、≪本当の自分≫を生きることができません。子どもは、親に都合のいい≪偽りの自分≫、≪良い子≫を生きることを強いられます。親が自分の自尊感情を仮初めに上げるために、その都度、物やペットみたいに、コントロールされ、支配されるわけでしょ。この手の親(教員も、この手の人が少なくない)は、子どもをコントロールできた時だけ、一瞬、自尊感情が上がる(かのような錯覚に陥る)からです。依存症、アル中と同じ心理です。ですから、通常の意識では、子ども依存症である、子ども虐待は、止められません。毎日毎日、来る日も来る日も、親が強制する≪偽りの自分≫、≪良い子≫を子どもは演じざるを得なくなりますから、子どもは子どもとして生きられません。温もりのある関わり、大事にされる関わり、タッチが極端に足りないまま、大人になってしまいます。でも、魂は、20才になっても、40才になっても、60才になっても、80才になっても(「子ども虐待された人は、寿命が20年縮まる」と言われますから、つまり途中で自殺や病死をしてしまいますから、80になる人は稀でしょう)、心はいつまでたっても、赤ちゃんです。子どもは人生を乗っ取られてる訳ですから、赤ちゃんの時から自分を生きてないからです。人生の核は、心でしょ。心の核は≪本当の自分≫なんですからね。子ども虐待は、「親が子どもの人生を乗っ取ること」ですし、子どもの≪本当の自分≫を殺し続けることなんですね。

 ですから、子ども虐待をされてきた人は、その親には「さようなら」を実行して、改めて≪本当の自分≫を赤ちゃんの時からやり直すことです。それは、≪悦びを共にする≫ことしか方法がありませんから、≪陽気で楽しい≫ことを、どなたかと一緒にやり続ける、しかも、約束してやり続けることしかありません。でも、そこには必ず突破の道があるのですから、その道を行けばいい!

 

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