ダーウィンにしろ、フロイトにしろ、支払い猶予期間の「偶然」とその時の「創造の病」を経て、従来とは全く異なる視点を手に入れることができました。
ダーウィンは人類の生物的な起源を取り扱いました。彼の業績は、同時に罪でもありましたが、人類を自然の一部とする理論でした。この理論を完成するために、いや この理論を完成するためという目的のためだけに、ダーウィンは自分の神経症を脇へ追い遣ることができたのです。しかし、フロイトは自分の神経症を、自分の守り神として感謝するまでは、取っ組み合いをし、自分に自由をくれない天使として、任命しなくてはなりませんでした。フロイトがこの天使と取っ組み合いをすることは、自分の父親のコンプレックスを解消することでした。父親のコンプレックスによって、最初フロイトは、子供のころに神経症の原因を見つけようと横道に逸れてしまいました。それでも、フロイトは、自分と父親の関係を理解するや、人類の中に、普遍的な父親像があることを確立することができましたし、また、人類の中にある母親のイメージにも到達することができましたし、結局はエディプスコンプレックスに至ったのです。エディプスコンプレックスを形作ったことによって、フロイトは思想史の中で最も物議をかもす人物になりました。『夢解釈』の中で、フロイトは精神分析を、社会の中でも、個人の中でも、健常者でも、精神病の人でも、無意識の中にある動機を学ぶ学びとして、方向付けたのでした。当時に、フロイトは自分の創造性の翼を、自己分析によって、羽ばたかせましたし、厳密な観察眼を、鍛え抜かれた直観と物書きの力とに結び付けることもできたのです。
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