ルターは「人生は終わった」という魔坂の中で、「天にも昇る感動、悦び」を味わったのでした。
Young Man Luther 『青年ルター』p214の9行目途中から。
人生の縦糸と横糸の二律背反がこんがらがるのは、このように、人間がもともと2つにバラバラになりやすいところに見出せます。The two regna、すなわち、「二王国説」は、神の恵みという現実面と、ケダモノのような自然主義的側面がありますが、これは、人間の心の葛藤のことですし、同時に実存的な二律背反のことでもあります。Die zwo Prosonen oder zweierlei ampt 「(ドイツ語で)2つの人格、あるいは、2様の働き」とは、キリスト者がこの世で守らなければならない、2つの人格と、2つの天職になります。
人間は、本来バラバラになりやすいものらしい。ルターはそれを「二王国説」によって、認めてしまいました。「神の領域」(あの世)と「王の領域」(この世)です。それは、ルターが人の弱さをよくよく知っている証拠なんですけれども、これは危険な考え方でしたね。
それはナチスの時代に明確になりました。バルトやボンヘッファーは、この「二王国説」に反対し、この世の課題にも、神様が深く関わることを認めて、政治的課題にも深く献身したわけですね。
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