エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

真実なトラウマ治療の条件

2016-08-08 02:17:27 | 間奏曲

 

 

 
ユングが教えてくれる、「無力な個人にできること」
   私どものカイロス ヴィジョンの基盤と「超越」2013-08-06 02:36:13 | エリクソンの発達臨床心理&...>続きを読む ......
 

 Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self   consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること  意識、脳科学、治療』の翻訳。 発達トラウマ障害(DTD)の子どものセラピーは、安全、信頼、希望のあるセラピーの関係を育まれると、いまここを生きている実感が持てます

 最終章の第7章、p.281のブランクから。

 

 

 

 

 

 

 安全で、信頼できる、希望を注ぎ込んでくれるセラピー関係には、定評ある力があるのにもかかわらず、そういうセラピー関係さえできれば、ほとんどのケースで回復するのに十分だ、と思ったら、大間違えだと私どもは確信しています。私どもの見方からすれば、支援的なセラピーだけでは、真実なトラウマ治療」には及びません。症状を軽減することに明確には焦点が当たっていませんし、過去のトラウマの記憶と深い悲しみを直に折り合いをつけることもできていないからです(ベニシュ、イメルとワムポルド、2008)。それに比較べて、クライアントの時間、思考、身体感覚、情緒に対する感じに関係する変性意識、TRASCの症状を、治療の初期段階でなくしていくことは、賢明のように思えます。それも、クライアントが自分の意識に起きた変化に、進んで、体験的に、心を開いていけるほど、TRASCの症状がなくなる訳です。治療の初めにこの症状がなくなる経験をしていると、将来、心の底のトラウマも回復できるとという希望も持てるものですよ。それは、エリカが述べているように、そのような意識的な変化そのものは、苦痛であったとしても、変わりません。

 

 

 

 

 

 良い関係が出来るだけでは、不十分、というのがラニウス教授らのご意見です。それはそうかもしれません。しかし、関係を良いものにしようという関わり、その思いがないと、先には進みませんからね。とにかく、TRASCの症状は辛い、辛すぎる。

 私の感覚では、確かに関係が出来るだけでは、TRASCの症状がなくならない。TRASCの症状を失くしていくためには、それなりの工夫、手立てが必要です。演劇セラピーでも良し。マインドフルネスでも良し。箱庭でも良し。何らかの手立てを用いて、TRASCの症状を軽減しておかないと、確かにセラピーが続きませんからね。

 

 

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