エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

「絵本の読み聞かせセラピー」の勧め

2014-06-14 10:15:19 | エリクソンの発達臨床心理

 

 
体験と言葉がピッタリ=「感じの一致」≒オトマトペ

 「その子ならでは」の要素とは、生育歴で繰り返し繰り返し現れることだ、とエリクソンは言います。これは、この繰り返しにその子の発達課題が示されているからだ、と考えられます。また、この...
 

 今まで、繰り返し、1)イメージ、2)話し言葉、3)出来事・現実、の3つが一致するほど、心が育つことを述べてきました。その、1)イメージの基になるのが、私どもが感じる「感じ a sense」なのですね。根源的信頼感は、エリクソンはもともと a sense of basic trustと呼びました。その「a sense」です。

 私がいつもお薦めしている「絵本の読み聞かせセラピー」は、この3つの一致を促すもので、子どもにとっても、おとなにとっても、とっても大事なセラピーです。

 この「絵本の読み聞かせセラピー」を私がするきっかけになったのが、松井直さんがNHKでやった「大学講座 絵本のよろこび」(2002年12月~2003年1月)です。私はこの講座を通して、絵本に目が開かれましたね。「素晴らしい」の一言でした。発達に関して、エリクソンと同様の視点を、松井さんが絵本の読み聞かせに見出しておられることに感動しました。

 絵本の読み聞かせは、子どもが感じていることを、絵本を読み聞かせることで、深く強くします。感性が育つのです。感性を育てることは、何にもまして大事です。レイチェル・カーソンが明確にしてくれていますが、「知ることは、感じることの半分も大事じゃない」のですね。それほど「感じること」は大事なんですね。絵本の読み聞かせは、この「感じること」を育ててくれます。

 しかし、もちろんそれだけではありません。子どもが感じていることに「声の言葉」、私の、いつもの言い方ですと、≪話し言葉≫を結びつけます。感じと一つになった言葉ほど、イキイキ、ピチピチした命に漲っているものはありませんでしょう? 子どもはこのように、ウソとゴマカシが付け入ることのない「声の言葉」を覚えるのです。

 その「声の言葉」は命の塊ですから、必ず出来事・現実を生み出します。言葉が体現していくものなんですね。言葉が現実になれば、最初に感じた「感じること」が一層強まりますよね。するとますます、「感じること」と「声の言葉」と「出来事」が強力に結びついています。こうして、子どもの心も、大人の心も、豊かで、悦びに満ちたものになるわけです。

 もしも、子どもとの関係で課題を感じているあなた、今日から時間と場所を子どもさんと約束してから、その約束に大人が忠実に従って、「絵本の読み聞かせセラピー」やってみませんか?

 

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