今晩は、ユング(Jung, C.G.)の第2夜です。
ユングは、本当の自分はどうやって育つと教えてくれるのか?
昨日、教師の役割としてユングが薦めているのは、教師自身が自分の人格を掛けて、本物の心理教育をすることだ、と申し上げましたね。それはつまり、子どもが親に対して無意識に抱いている一体感から解放して差し上げて、本当の自分に上手に気付けるようにして差し上げることだ、ということだとも、申しましたよね。
今晩は、その「本当の自分」がどうやって育つと、ユングが考えていたのか?を、皆さんと一緒に考えてみたいと思ったんですね。これは、昨日と同様、ユング著作集の第17巻(The collected Works of C.G.Jung, Vol.17)にある 「本当の自分の発達」The development of personality という文書を読んで、考えてみたい、ということなんです。なぜなら、エリクソンの著作以外で、本当の自分が育つことを、これほどクリアーに描いている文書はない、と私は常々考えているからです。
ユングは別の文書で、親が子どもにもたらす心理的影響力は猛烈で、時には破壊的に作用する、と言ってんですね。それが、無意識裡に子どもが親との一体感を感じていることです。先の文書でユングは、「この一体感は、無意識であるがゆえに、猛烈な慣性(a tremedous inertia)があって、あらゆるスピリチュアルな発達を妨げる最悪のものとなります」と言ってんですね。ですから、その一体感から子どもを解放することが、子どもと関わる大人にとっても何よりも大事なことになる訳ですね。
ユングは「本当の自分」を育てようっていう人は、それほど多くないと言います。なぜなら、「本当の自分」を育てることは、シキタリに反することだからです。逆に申し上げると、シキタリに従っている限り、「本当の自分」を育てることは、出来ないんですね。
それじゃあ、どうすれば「本当の自分」は育つんでしょうか? 誰が「本当の自分」を育てるように、人を誘うのか? それについてユングは「それは普通、vocation 『天の声』と呼ばれます」と言ってます。さらには「『本当の自分』はいつでも、『天の声』に従うことですし、神様を信頼するように、『天の声』を信頼することです」とも言うんですね。ですから、いつでも、組織の意向、強者の都合を考えて、外ばっかり見ている人、付和雷同の日本人にはできない話ですね。なんせ、「天の声」は「心の声」だからです。なんか、『青年ルター』の話に似てきましたね。しかも、その「天の声」について、「普通の人は、そんなの『単なる気分でしょ』と言います」と言うんですね。ユングは続けます。「『天の声』は神の掟みたいに、そこから逃げることなどできない話です。多くの人が自分勝手なことをしてみじめな結末を迎えるという事実は、『天の声』に従ってる人とは何の関係もありません。その人は自分自身の掟に従わ『なくてはなりません』。まるでそれは、悪魔のささやきみたいに、『新しい、素晴らしい道に行け』と囁くんですね」。
ですから、内省して、自分の内なる声「天の声」に忠実に従うことが何よりも大事になりますね。自分の内なる声に従うものだけが、「本当の自分」になることができます。ユングはそれを次のように言います。
「この内なる声の力に、意識的に同意できる者だけが、本当の自分になれますよ」(p.308)と。
あなたも、自分の内なる声を見つけて、『本当の自分』になってくださいね。
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