ヴァン・デ・コーク教授のペンギンブックは、よく売れているらしい。Amazonでもベストセラーだったしね。
Paul Frewen , Ruth Lanius (2015) , Healing the Traumatized Self consciousness, neuroscience, treatmet 『トラウマを負わされた自分に対する囚われから自由になること 意識、脳科学、治療』の翻訳。発達トラウマ障害(DTD)=愛着障害の子ども、大人。
最終章の第7章。キムさんのお話は昨日でおしまい。今日は、p.293から。
対人関係を知ることと、相手の意図をくみ取る立場
哲学で言われているように、「相手の意図をくみ取る立場」は、「普通の自覚的な意識」(NWC)が前提としているもので、人も意識的な存在で、自分と本質的に似た感じで、心、頭、身体を働かせると考えます。ですから、人も、自分の体験とそんなに変わらない形で、時間、考え、身体、気持ちを感じていると思うのが普通でしょ。まさにこの基盤に立つて、私どもは、立ち居振る舞いから、男であろうと、女であろうと、相手の意識状態や内容が分かります。すなわち、人の行動に関する「こころの理論」です。
発達トラウマ障害(DTD)の人の行動の分からなさを、哲学から解こうという感じですね。やっぱり、ハーバードの人なんでしょう、ラニウス教授らも。「相手の意図をくみ取る立場」は、やっぱり、ハーバード出のダニエル・デネットさんの哲学だということです。私は知りませんでしたが。
発達トラウマ障害(DTD)の人の行動は、自閉症の子どものやることくらいに、不可解です。何故勉強しないのか、教室にいるのが嫌なのか、提出物を出さないのか、ロッカーや机の上がだらしないのか…。普通は「怠惰」「いけないこと」だと考えられてしまいます。しかし、それが、全て、「風邪を引いた時のコンコンとやる咳き」みたいに、発達トラウマ障害(DTD)の症状だとは分からない。「風邪」を知らない人は稀ですが、「発達トラウマ障害(DTD)」は知っている人の方が圧倒的に少数派でしょ。誰も、「なまけに見える行動」が「病気の症状」とは考えません。
すると、すべての間違いが、この「見間違え」から始まってしまう…、という訳ですね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます