エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

ミラノコレクションの服を着た殺人鬼

2015-08-22 09:28:09 | エリクソンの発達臨床心理

 

 rejectivity リジェクティヴィティ 「大事にする相手の仲間から、仲間はずれにしたい、底意地の悪い気持ち」と「人間を上下2つに分けるウソ」が結びつく時、悪魔の働きが始まります。その自覚もなく…。

 The life cycle completed 『人生の巡り合わせ、完成版』、p69の 下から9行目途中から。

 

 

 

 

 

コンラッド・ローレンツは、「人間を上下2つに分けるウソ」を「Quasi Artenbildung クウォージ・アルトンビルドゥング 実際に人間を上下2つに分け隔てすること」とピタッと来る訳語で翻訳しています。つまりそれは、別種の人々、別の集団の人々が、生まれながらに、あるいは、歴史的に、あるいは、神の意思によって、自分達とは違うし、人類そのものにとって、危険な存在だ、という確信(であり、その確信に支えられた衝動であり、行動)ですが、「人間を上下2つに分けるウソ」が、組織に対する忠誠と勇猛果敢、組織への協力と創意工夫の点で、一番真実で、しかも、一番良いものをもたらす一方で、別々の人間集団同士が、歴史的に、憎しみ合い、殺し合うことにもなるのが、人間の最大のジレンマです。

 

 

 

 

 

 「人間を上下2つに分けるウソ」の恐ろしさは、それが、最高の服装が出来る、ということです。ミラノコレクションの服装をした殺人鬼、それが、「人間を上下2つに分けるウソ」です。最高の顔をして、現実には最悪をもらたします。

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