いつもながら、高橋源一郎さんは痛快ですね。今月の論壇時評もとても良いですね(朝日新聞 4.30,2015. 12版▲ 13面)。
ことばは自由を得るためにあることがハッキリ分かります。したがって、ことばを贈ることは、その相手に自由を手にしてもらいたいからです。
「真理はあなたたちを自由にする」(ヨハネによる福音書第8章32節)。国立国会図書館にもこの聖句から出た言葉「真理はわれらを自由にする」が掲げられているくらい。真理は言葉によって表され、また、伝えられます。
高橋源一郎さんも指摘しているように、日々の生活の中では、その生活、仕事の現場に埋没しがちでしょ。「埋没」というのは、考えないこととイコールです。ルーティーン・ワーク、いつもやってることは、馴れてますから、いちいち考えずとも、身体が覚えていますよね。だから、間違いも少ないし、能率もそれだけいい。しかし、それは1つの頑強な枠組み、縛りにもなって、その生活、その仕事を別の視点から考え、工夫し、新たなものにつくりかえることに対する足かけにもなりやすい。とってもアンビバレント、良い面と悪い面とがありますもんね。
そこで役立つのが、ことばですね。言葉には真理と精神が宿る。ことばは神様でもありうる。その真理、その精神、ことばにまします神様と、今の生活、今の仕事、今の自分とを照らし合わせ、対話をする。そのようにすることが、今の生活、今の仕事、今の自分を生き返らせることに繋がることが少なくない。
安倍晋三首相は、アメリカの国会で、「戦争で一番傷つくのは女性でした。私どもの時代にあっては、女性の人権が尊重されるような社会を実現しなければなりません」と言いました。良いことですね。しかし、「戦争がない」と言われた敗戦後70年、特にこの「失われた20年」で、果たして女性の人権がどれだけ尊重されているのでしょうか? シングルマザーの萩野小雪さんが言う通り、近くの保育所も見つからない、幼子を抱えた母親は仕事もなかなか見つからない、住む家さえなかなか見つからないんですね。見つかったとしても、なかなか借りるだけのお金がない…。全く、安倍晋三首相の想像力の貧困は大したものですね。
こんな権力批判ができるのも、ことばのおかげでしょ。私どもは、「閉塞感」がますます強まる時代の空気の中で、それにもかかわらず、自由でいるために、正気でいるために、ことばが必要です。
ことばをふたつ
「個人は、社会全体よりも価値がある。」
「1人の命は、地球よりも重たい。」
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