平常心を保つのって、けっこう難しい臨床の相手を理解するために 性理論はタブーから自由までになるんですね。人の評価に一喜一憂してはいけないことが、ここからも分かります。 The ......
東日本大震災,神戸大震災と,大きく違いました。私は,3つの点で,大きく異なると思います。
私は,偶然ですが,神戸大震災の時には,1ヶ月後,東日本大震災の際には,11か月後に,支援に入りました。
1つ目は,東日本大震災は,津波被害が大きかった点です。そのテレビ映像のインパクトは非常に大きかったと思います。
2つ目は,東日本大震災は,原発事後が大きかった点です。原発事故は,いまだ収束せず,実際に解決できるのか,いまだその見通しすら,私どもは持ち合わせていない,というのが現実です。
この2つは,わりに理解しやすいのですが,私どもサイコセラピストにとって,日々の仕事に関わるものですが,一般の理解を得るためには,工夫か必要な点です。
3つ目は,発達トラウマ障害(DTD)の子どもだらけ,大人だらけのところでの震災(家・家族・故郷などの喪失)だった,ということです。
1997年の神戸大震災と,2011年の東日本大震災の間には,24年のタイムラグがありましでしょ。1997年は,すでに1991年にバブルが崩壊して,不景気になりつつある時代です。1993年には,55年体制,自民党一党支配が終わり,細川内閣が誕生しています。その後,社会保障,社会福祉,教育などの市民サービスの点で,大きく後退していました。その悪影響が,労働市場の崩壊と,低賃金・長時間労働の蔓延でした。その割を食ったのが,子ども等と高齢者と障害者でした。
子どもに対する悪影響は,0歳,1歳の時にも,特に母親が赤ちゃんの眼の前にいる時間が,なかなか取れない,すなわち,ネグレクトになる,ということに現れます。いま,「軽度発達障害の子ども等が激増している」と言われています。しかし,それは日本の特異現象のことだと言われています(岡田尊司『発達障害と呼ばないで』幻冬舎新書,ほか)。しかし,それは発達障害ではないのです。正確には,ヴァン・デ・コーク教授が提唱している発達トラウマ障害(DTD)がパンデミック(大流行)なんですね。それは,通常考えられているような虐待や,ご飯をまともに上げないようなネグレクトによるものではありません。それよりも,母親たちは,個人としては,できる限りのことはやっているのにもかかわらず,低賃金・長時間労働が蔓延する,「病んで不毛な社会(impoverished society)」であるために,真面な愛着関係が築けない程,養育環境が劣悪化している結果なんですよね。
先日,テレビ番組「久米書店」の最終回で,ゲストの国谷裕子さんが,ホストの久米宏さんと対談している時に,「映像のインパクトの強さ」の前に,それしか現実がないように見える錯覚を起こしがちなこと,それに対して,キャスターは言葉の力を信じて,言葉を発し続けること,問いを発し続けることの大切さを語っておられましたでしょ。ご覧になった方もおられると思います。
津波の映像を見てしまうと,津波被害の悪影響の方が,「病んで不毛な社会」の悪影響よりも大きく見えてしまっています。低賃金・長時間労働のゆえに,親が知らず知らずのうちにネグレクト(と心理的虐待)に陥っていて,発達トラウマ障害(DTD)がパンデミック(大流行)になっているという現実が見過ごしにされていることに,なかなか気づきません。
私はこのブログで,言葉の力を信じて,発達トラウマ障害(DTD)がパンデミック(大流行)であることを,繰り返しお知らせしているんですね。そして,秋葉原殺傷事件,釧路イオン無差別事件,小金井のアイドル傷害事件,津久井やまゆり園事件,名古屋大生殺傷事件などの事件の度に,発達トラウマ障害(DTD)の子ども等の苦難と無理解について,ブログで述べている訳です。
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