エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

他の人を自分の思い通りにする悪魔

2014-06-03 05:34:21 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 相手のことを知り尽くすことなどできないからこそ、人に対して寛容にならざるを得ませんし、人を知る際に、謙虚な心にならざるを得ないません。今日は、p28冒頭から。

 

 

 

 

 

 

 その秘密を知るためには、一つの方法、一つの死に物狂いの方法があります。それはつまり、他の人を完全に支配する、という方法です。それは、他の人を自分の思い通りにする力ですし、自分の思い通りと感じた通りにすることですし、自分が思い通りと考えた通りにする力でもあります。この力によって、その相手の人は一つのモノに、自分のモノに、自分の持ち物に化けます。相手のことを分かろうとする究極形は、極端なサドですし、一人の人を苦しめることを願うことであると同時に、一人の人を苦しめることができることでもあります。つまり、一人の人を激しく責めたて、苦しめる中で、自分の最深欲求にウソをつかせることになります。「相手の秘めた思いなどお見通し」、したがって、自分たちの秘めた思いなど「そんなものよ」と言いたいときは、非常に深く、しかも、強烈に残酷で破壊的な気持ちが根っこにありますよ。とっても簡明なやり方で、この考え方を、アイザック・バベルは言葉にしています。バーベルは、ロシア内戦の時に、一人の仲間の兵士の言葉を引用して言います。その兵士は昔の上司の死に地団太を踏んで言います。「銃を撃っても(私はこのような言い方をしますが)、銃を撃ったって、あなたはひび割れにならずに済むのが関の山で…魂のことが分かるわけではありませんし、仲間のどこに魂があり、魂がどのように現れるのかも分かりりません。ところが、自分を惜しまずに与えると、繰り返し、一人の敵を一時間以上も、無視し続けることができます。ご承知の通り、人生の真実とは何かを私は知りたいと思いますし、どんな人生だと自分らのように、弱り切っとしまうのか も知りたいと思います」と。

 

 

 

 

 

 

  人を支配したのでは、人生の謎や、人生の真実は分からないのですね。人生は自分次第。人生はあくまで自分持ち。「武器」なんぞを人生で使うのではなくて、「自分」を人生に放り込むことによって、人生は展開していくのでしょうし、人生の秘密や人生の真実を知ることができるものらしいですよ。

 ですから、「難しい言葉」や「強い語気」や≪にらみ≫を子どもに利かすのではなくて、「優しい言葉」「穏やかで、楽しいトーン」、≪微笑み≫で子どもに対したいものですね。

 

 

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