エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

個人の独立が、民主化と国家の独立の要

2014-08-13 06:14:17 | アイデンティティの根源

 

 ユダヤには、様々な地政学的な意味があったといいます。それは地政学的な意味にとどまらないところが不思議ですね。それが心の地政学的な意味にも転化するんですね。そうすると、それは、その人が「どう生きるか?」「何を良しとして生きるのか?」などと言う根源的な問い、最深欲求と、意識するしないにかかわらず、結びついちゃうんですね。

 p334下から3行目から。

 

 

 

 

 

 しかし、一世紀の間、すなわち、紀元前2世紀半ばから紀元前1世紀半ばまで、ユダヤ民族は独立して暮らしてしました。これは、ユダス・マカベウスとその兄弟たちが、占領するシリアに対する反乱を起こした後のことです。占領するシリアの王様は、神殿を冒涜し、ギリシャ式の宗教を広めようとしました。マカベウスは、高位の聖職者を王にしましたし、併合した国土をダビデとソロモンのころの国土と同様になるくらいまで再興しました。しかし、1世代後、ハスモン朝の治世(それは、彼らの苗字でした)は、権力闘争の中で停滞したように思われます。しかし、ローマは紀元前63年まではユダヤを乗っ取ることはありませんでしたが、この年、ポンペイが、パレスチナ派閥に招かれてのことですが、エルサレムを占領し、今度は自分が、至聖所に入りました。ヘロデがユダヤの王様になったのは、まさにその時でした。ヘロデは宗教的にはユダヤ人でしたが、生活様式ではギリシャ人、忠誠の点ではローマ人、人格的には、口では言い表せないくらい残忍でした。建物に異常に関心を持ち、神殿を紀元前20年に立て直しました。その神殿は、イエスの時代にもありましたし、紀元70年まではありました。その年は、次の民衆蜂起が起こったの後で、古代ユダヤ民族と宗教的中心地の終焉となりました。

 

 

 

 

 

 ユダヤの独立と被占領。それは民族の独立であり、占領されることなんですが、それが、ユダヤ人ひとりびとりの独立と、「占領されること」と非常に深く関係するんですね。丸山眞男教授の番組で丸山眞男教授が言っていましたね。「デモクラシーの精神的構造 まづ人間一人一人が独立の人間になること」が、社会が民主化していくためには、なくてはならないんですね。いつも上司の顔色ばかり気にしていたんじゃあ、自分が独立している、とは言えません。個人の独立が、社会や国家の独立に直結するんですね。

 私どもは、自分が独立することが、所属集団ばかりではなくて、社会の民主化に結びつくんだという、民主主義を支えるトータルなヴィジョンを、この際、日々思い起しつつ、生活していけたらと思いますね。

 

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