土曜日の昼前,久しぶりに佐々木正美先生の「子どもたちのための医療福祉 : コミュニケーションへの希望を求めて」(2007)(http://www.kawasaki-m.ac.jp/soc/mw/journal/jp/2007-j17-1s/06_sasaki.pdf)を読みました。エリクソンのライフサイクルの心理学のまとまった解説書になっています。すでに10年前に,佐々木正美先生は
「われわれは健康な個人主義を大きく逸脱して,病的な利己主義や自己中心主義に陥っている。健康な人間関係を機能できなくなっているのである」
と述べています。
また,
「こんにち,わが国では,児童精神に関する全ての臨床最前線の主題について,発達障害の問題は回避できなくなっているのである」
とも述べておられます。
2007年当時は,ヴァン・デ・コーク教授が,発達トラウマ障害(DTD)の概念を思いついてはいても,それを広く世に問うことはしていませんでした。それは,この2年後,2009年のことでしたから。
佐々木正美先生が「発達障害の問題」としているのは,本当は「発達トラウマ障害(DTD)の問題」と言い換えることができるわけです。
発達トラウマ障害(DTD)がパンデミックであることを,日本で言っているのは,残念ながら,私1人の様です。しかし,ヴァン・デ・コーク教授が,The body keeps the scoreの中でハッキリと指摘しているように,発達トラウマ障害(DTD)は,目に見えない形ですでに流行している訳です。
パンデミック。
ニッポンでは,アメリカ以上に,発達トラウマ障害(DTD)がパンデミックなのです。
この状況に対応しきれずにいる,学校制度,医療体系,福祉体系は,すでに完全に行き詰っているんです。
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