イオンは、母親がアテネ人と分らなくては、パレーシアの権利がもてません。パレーシアは特権だったようですね。
それにしても、このパレーシアの人が、何故にパレーシアの権利を奪われているのでしょうか?なぜなら、アポロ神は人間たちに真実を話すのが務めなのに、自分の落ち度を打ち明けて、パレーシアステスとしてふるまう勇気がないからなのです。イオンが自分の本音に正直に、アテネでパレーシアステスの役割を果たすためには、何か別のものが必要です。それは、イオンには欠けていることですが、この劇の中で別のパレーシアステスの人、すなわち、母親であるクレウサがイオンにプレゼントしてくれる何かです。そして、将来、クレウサは、イオンに本当のことを話して、自分の倅が生まれながらに持っているパレーシアを発揮できるように自由にしてくれることでしょう。
いつの時代も男の方がだらしないのかしらね。アポロは神様なのに、しかも、本当のことを言うのが務めなのに、自分の落ち度を話せません。神様なのに(神様だから?)自己義認にこだわるところがありますね。キリストの神様とそこが違います〔「キリストは神の身分でありながら、神と等しいものであることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分となり…(フィリピの信徒への手紙2:6-8)」〕。その点、クレウサは大胆ですね。クレウサがイオンに本当のことを告げる場面が今から楽しみですね。
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