エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

きわどいお話

2016-03-16 02:34:20 | ブルース・ペリー教授の『犬』

 

 

 代理によるミュンヒハウゼン症候群の母親は、自分を生きられずに来る時、人を蹴落とし、殺しても、生きたいと思うようになってしまう私どもの暗部を、教えてくれている、と私は考えますね

 ブルース・ペリー教授の The boy who was raised as a dog より、p.212、下あたりから。

 

 

 

 

 

 残念ですが、代理によるミュンヒハウゼン症候群に対して社会の注目が次第に集まったために、子どもが、本当に乳児突然死症候群で亡くなった母親までも、告発される事態になってしまいました。ありがたいことに、乳児突然死症候群で、一つの家族で立て続けに子どもがなくなることも、代理によるミュンヒハウゼン症候群も、双方ともに、とってもレアケースで、データが少ないですから、この2つの死の原因を区別するのは、きわどいことになります。イギリスの小児科医で、ミュンヒハウゼン症候群の名付け親のロイ・メドウは、乳児突然死に関するメドウの法則として有名になったことの基礎研究をした人です。その法則とは、「1人の突然死は悲劇、2人の突然死は疑わしく、3人の突然死はそうでないと証明されないかぎり殺人」というものです。ところが、最近になって、ロイ・メドウは医師免許を剥奪されてしまいました。というのも、ロイ・メドウは、自分の法則に関する専門的な証言がデータに合致しないと分かったのです。この「法則」に基づいて有罪とされた多くの母親のケースは、再検討されて、メドウの医師免許は戻されました。少なくとも3件の有罪判決が取り消されました。

 

 

 

 

 

 ウソがウソを呼ぶ、とでもいうのでしょうか? ミュンヒハウゼン症候群という難しい病は、同時に、その患者さんを弱い立場にもしますね。自分の子どもを殺さなければ生きていけない、と思うほどの、弱い立場でしょ。そういう弱い立場の人のまわりには、神様ではないかしらと思うほどの人もいます。例えば、マザーテレサや野村實先生、本田哲郎神父です。しかし、そこには、同時に、悪魔か詐欺師ではないかしら、と思うような人も来ます。誰かとは申しません。

 私どもに必要なのは、玉石を見極める眼ですね。きわどいことですが、出来ないことではありません。

 

 

 

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