以前は「旧いメルセデスの電機屋」。。。現在は、、、「隙間風産業の超零細企業」の業務日報。。。

旧いメルセデスの電機屋のニッチな仕事のお話。。。http://jun3104.shop19.makeshop.jp/

今年も需要期に。。。

2018-05-19 01:06:50 | 日記
気温の上昇と共にウチの人気商品の受注が増えております。。。



低速電動補助ファンコントローラー、、、で御座居ます。

W124全車種、W126の後期モデルの全車種に対応するユニットで御座居ます。


ノーマルのW124、W126ではラジエーター前に装着されている電動補助ファンは水温が107℃に達した際に全開で回転する高速モードとエアコン作動時にエアコンの高圧側が規定の圧力に達した場合にのみ低速で回転する低速モードの2ステージのみの動作条件となります。

よって、水温が107℃に達するまでは水温の上昇によって電動補助ファンが動作するモードは存在せず、エンジン側に装着されているカップリングファンの冷却に頼るのみとなっています。

このカップリングファンのカップリングも劣化しますので劣化すると冷却効率が落ちて水温がどんどん上昇するので定期的なチェックを要します。
カップリングが劣化していたら無条件で交換はマストになります。

で、、、カップリングが正常であっても季節が夏に向かう頃から水温は高めになるので電動補助ファンが高速回転するシチュエーションも増える事になります。

特に気温の高い時に渋滞路で走行風が得られないシーンでは水温が107℃に達するなどあっという間で電動補助ファンの高速回転が必須となります。。。

ですが、、、水温が上昇しちゃあ電動補助ファンが高速で回って取り敢えず100℃以下まで水温を下げて、、、電動補助ファンが停止して走行風が得られなければまた100℃を突破しての繰り返しで水温を平均100℃以下で抑えて安定させる事はノーマルのシステムでは出来ません。

そこで、過去には水温が90℃になるとサーモスイッチが入って低速電動補助ファンリレーのリレーがONになって低速電動補助ファンを回転させると言うシステムも考案された知恵のある先人の方がいらっしゃいました。
但し、そのシステムにはサーモ周辺の冷却水経路にサーモスイッチを追加する等の改造を要し結構な手間がかかっていました。

そこで弊社では電気的に水温を検出し、予め設定した水温で低速電動補助ファンを回せないかと思案に暮れたのが現在から10年前。。。

で、、、メーターの水温計のセンサーから電気信号を取り出し、予め設定した水温になったら低速電動補助ファンを回転させて設定された低速電動補助ファンの動作水温まで冷却されたら設定水温-5℃前後で低速電動補助ファンの動作を停止させる回路を組んでみて自社で試用を開始したところ水温90℃付近での安定制御が可能になり渋滞時のエアコンの効きも安定する事が判りました。

水温の激しい上下を抑える事が可能だと言う事はラジエーターに入るATのATFクーラーでの温度上昇も抑えていると言う事になるのでATミッションのATF温度上昇によるダメージ軽減にも繋がると言う事にもなります。。。

で、、、弊社では平成20年から低速電動補助ファンコントローラーを商品化し市場にリリースした後も様々な改良を施しリーズナブル且つ比較的安価な工数で安定した水温制御システムが装着出来る様にマイナーチェンジを繰り返して参りました。

又、ユニットの装着場所をボンネット内のヒューズBOX周辺と言う条件を想定し小型のケース内に基盤を収め低速電動補助ファンの動作水温の設定調整も簡易に行える仕様に拘りました。
動作水温の設定調整は一度決めてしまえば早々に弄るトコではありませんが設定を変更したくなったらツマミドライバー一本で設定を変更出来る方式としてあります。

この様な仕様で現在まで約10年間、夏の人気アイテムとしてW124,W126ユーザーさんより需要の高い製品となっておりますが、、、今年もマイナーチェンジを施して更に安定した制御が行える改良を行い需要期を迎えるに至りました。。。(笑)

但し、先述のエンジン側のラジエーターカップリングファンのカップリングが劣化している場合や冷却水経路等に問題を抱えている個体ではこのコントローラーによる水温制御は不可能となりますので冷却系のメンテナンスを怠る事なく好調な状態である事が本製品による水温の安定制御化への必須条件となります。

カップリングがイカれているにも拘らず電動補助ファンに依存してラジエーターを冷却させようと電動補助ファンに過負荷をかけた挙句に電動補助ファンの定格外使用によって補助ファンが溶けて焼き付いた事例も御座居ます。
その時に電動補助ファンのシャフトの軸受けが歪んでファンがエアコンコンデンサーのフィンを突き破り、ラジエーターまでやっつけ高額な修理代と言う代償を支払う羽目になったケースも実際に御座居ます。

弊社で御提案差し上げるどの様な製品も現車の不調を誤魔化す為の製品では御座居ませんので先ずはベースである個体の不調をキチンと解消された上で性能を発揮するとお考え下さいませ。。。

猛暑を迎える前に現車の状態をキチンと把握しておきましょうね。。。(笑)