
ボードウオークでセイルを張り波打ち際まで歩く。
サーファーの位置を確認してセットを確認して板を水に浮かべる。
一番好きな瞬間だ。
ワクワクする。
ブレークを抜けて始めて走る1本目。
このとき凄く不思議な感覚になる。毎回だ。
実に毎回。なんでだろう。オレだけなのかな。
自分がこの世に生まれてこなかったような気分になる。
全てのことを陸地において去っていくみたいで世捨て人みたいだ。
実は海自体も存在しない世界で、
その中では 'いない誰か' のために何をしようか考えてる '存在しない自分' がいる。
何の見解も持たず、どこに行くか知る由もない。
ちょうど、君みたいだね。
何を失ったかもわかっていない。
どうだろ、そこでは世界は意のままだ。
見えてしまうものは見えなくて、見たいものだけ見える。
オレには君が見えるかな?