人は九死に一生を得ることを本当に死ぬまでに1度や2度は経験する。
経験しない人は最大のピンチのときに本当に死を迎える人だ。
その男はアウトでオーバーヘッドのときにブームから手を離してしまった。
道具と離れ離れになり、遥か沖で文字通り孤独になった。
次から次へと襲ってくる大波で体力を消耗し、やがて日は暮れて、
江ノ島の灯台の灯りを最期に脳裏に刻んで意識を失うとあきらめたらしい。
漂流すること2時間。
その男は最愛の彼女の名前を絶叫したという。
パニックに陥った男はあきらめとともに冷静さを取り戻し、
そのゲレンデ特有の潮の流れを思い出した。そしてその流れに乗り命からがら生還した。
男はその彼女と結婚し、今は人がうらやむような幸せな生活を営んでいる。
どうだい?素晴らしい話じゃないか!
好きとか愛してるなんて言葉の問題であって、その真意性なんか相手は計れない。
「愛してるって言ってるけど行動が伴ってないじゃないの!」っていつも言われてないか?
そいつは死をもって自分の愛を確認したんだ。
色あせない永遠の愛っていうやつだ。
こういう男は信頼に値する。男も女も信頼できる男だ。
進んでしたくはない経験だけどね。プッ!