土佐レッドアイ

アカメ釣りのパイオニアクラブ

高知新聞 連載「釣りという幸せ-高知のアングラーリレーエッセー」No.108 「人生を変える魅力-アカメ」

2018-05-25 10:46:44 | 土佐レッドアイ

2018年5月24日(木)、高知新聞の釣りのページに連載中の「釣りという幸せ-高知のアングラーリレーエッセー」のNo.108に私のエッセー「人生を変える魅力-アカメ」が掲載されました。掲載枠の都合で辻本さんたちの画像が載りませんでした。
 記事の一部と私の原稿を紹介します。






人生を変える魅力
アカメ

 名古屋市在住の柴山益行さん(68歳)が、初めて手にしたアカメは110センチの大物だった。舞台は浦戸湾。それも初挑戦の蒸し暑い2008年7月20日の夜。
 「竿(さお)を立ててっ!」
 その場にいた私は、思わず叫んだ。静寂の中、リールのドラグがジィーと鳴る。強烈な力で竿が押さえ込まれていた。
 柴山さんはブログにこう書いた。
 〈急いで竿尻を左腿(もも)の付け根に追っ付け、左手で竿を立てて(魚の)突っ込みに踏ん張った〉
 〈少しずつではあるが、やつも岸に寄ってきた。5㍍ほど沖で最後の反転突っ込みを試みた後、ついに水面に姿を現した。ライトに照らされた双眸(そうぼう)は、不気味に赤く輝いている〉

      110センチのアカメを抱く柴山益行さん

 名古屋からの遠征は往復1300キロ。アカメを狙う緊張と運転の疲労で、帰り付くと「ヘロヘロ状態」だったという。
 以来、柴山さんは毎年、奥様と来高するようになった。高知に向かう彼の脳裏にはいつも、あの夏のアカメがいたことだろう。
 彼が2匹めを手にしたのは2017年8月15日。最初の1匹から9年がたっていた。
 取り込みを手伝った私が、魚の下あごを専用のグリップではさむと同時に針が外れた。間一髪。ひたすら追い続けた1匹に、毎年付き添ってきた私の目も潤んだ。
 大阪府岸和田市に「アカメ」という名の居酒屋があった。
 店主は、釣り仲間の間でヒラスズキの神様と呼ばれている辻本隆さん(65歳)。現在は須崎市に住む彼も、アカメに魅せられ人生が変わった1人だ。
 1987年、初めてのアカメを奈半利川で釣った。当時は遠征組で、この1匹をきっかけに所属クラブの仲間達とともに、年に何回も高知に通う生活が始まる。
 高知の豊かな自然と、おおらかで温かい土佐人気質、そして何よりアカメに魅せられた彼は、8年前にとうとう高知に移住した。今では仲間たちの羨望(せんぼう)の的。夏になると、彼の住みかに釣り師が集い、さながら梁山泊と化す。影響されて、本気で高知移住を考える人もいる。

 須崎市でアカメを釣った辻本 隆さん(右)と名本国正さん(愛媛在住)

 アカメは人を虜(とりこ)にする。
 光り輝く高知の宝と言っていい。
 全国の釣り師が続々と高知を目指し、その数は増え続けている。
 今シーズンは、どんなドラマが待っているだろう。
 「アカメと自然を豊かにする会」代表=安芸市穴内)