関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 芦之湯温泉 「きのくにや」 〔 Pick Up温泉 〕
箱根七湯のひとつ芦之湯温泉の「きのくにや」は創業1715年(正徳五年)、約三百年の歴史をもつ老舗宿です。
昨年暮れ、今夏(みしゅらんオフ)と2度宿泊し、社長ともお話する機会がありました。
なお、湯づかいの変更を検討中(オフでも参加者の勝手な意見が飛び交いました ^^;)で、近々このレポ内容とは違ったお湯になるかと思われます。
<芦之湯温泉「きのくにや」>(箱根町、12:30-15:00/2h、1,000円、0460-3-7045)
「きのくにや」には「正徳の湯」、「枯淡の湯」、「家族風呂 鶴」、「家族風呂 亀」の4つの貸切風呂と「湯香殿」(男女別、内湯・露天)、「貴賓殿」(同)の2つの浴場があり、「湯香殿」「貴賓殿」は日帰り入浴できます。順にいきます。( )は入浴した季節。
<貸切風呂>
1.「正徳の湯」(冬・夏)
本館「春還樓」の前、道をはさんだ資料館の右手にあり、江戸時代の浴室を再現したという温泉好きには見逃せない浴場。仙液湯(芦之湯第1号泉)という由緒ある自家源泉をつかっています。
階段を下って向かう風情ある湯屋で、前庭(道からも見える)にはおなじ源泉を湛えるモニュメント「無量の湯」(入浴不可)があります。泉源はこの無量の湯の脇です。
脱衣所から一段低く、総木造2人くらいの小ぶりの浴槽2つを配置。浴室自体がGL(グランドレベル)より低くなっています。
お湯に浸かるだけの施設なのでアメニティ類はありません。
浴槽横にそれぞれ3本の湯量が調節できるパイプがあります。右が真水の沸かし湯、中央が仙液湯源泉、左が町営揚湯泉です。仙液湯の泉温が低いので、揚湯泉を混合、加温しています。左と右、冬と夏でそれぞれお湯のイメージが違ったのでわけて書きます。
<左手浴槽・冬>
熱めで黄色がかった緑白色のうすにごり湯(透明度50cm)。弱いしぶ焦げイオウ臭で揚湯泉の比率が高い感じ。温まり感あって悪くはないが硫黄泉の面白みにはやや欠ける。
<左手浴槽・夏>
ややぬるめ(だったと思う)、きもち懸濁し茶とクリームの湯の花多数。濃度感弱くイオウ一本で攻めてくる感じは秩父あたりの硫黄泉のイメージ。先客が真湯で薄めたかも。
<右手浴槽・冬>
かなりのぬる湯で青味がかったにごり湯(透明度30cm)にはクリーム&黒い浮遊物少量。色味は左手浴槽より弱いのに透明度が低いのが不思議。しぶ焦げイオウ臭+ラムネ臭。とろみを帯びて肌に染み入るような絶妙なお湯は、温まりが弱いのでいくらでも入れる。
イメージ的には奥蓼科の渋御殿湯に近いか?。湯温や浴感からみて、ピュアに近い仙液湯源泉が入っていたと思う。
<右手浴槽・夏>
ほぼ適温(だったか?)、ねず色のにごり湯(透明度25cm)で甘い感じのイオウ臭。濃度感あり、ベースに硫酸塩がしっかりとあって、そのうえにイオウが乗っている感じのお湯。
というように、かなり違います。
基本的に源泉パイプは常時開で、ぬるいときに”町温泉”(揚湯泉)を開、それでもぬるいときには”沸かし湯(真湯)”を投入するよう掲示があるので、ぬる湯が苦手な人の後は、仙液湯の源泉はうすまってしまいます。前客の湯づかい(?)でお湯が変わってしまうので、なるべく早い時間に予約するのが正解です。
冬・夏とも、なぜか源泉から遠いはずの右手浴槽の方がいいように思いましたが、給湯ルートが微妙に影響しているのかもしれません。
【使用源泉 / 仙液湯(芦之湯第1号泉) ※町営揚湯泉にて適宜加温調整】
単純硫黄温泉(硫化水素型) 37.9℃、pH=6.6、成分総計=0.833g/kg、Na^+=47.0mg/kg 、Mg^2+=35.6、Ca^2+=71.5、Fe^2+=0.05、Al^3+=0.09、Cl^-=6.31、HS^-=11.9、SO_4^2-=344、HCO_3^-=66.7、メタけい酸=179、硫化水素=33.8 <H12.8.15分析>
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環:なし 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
2.「枯淡の湯」(夏)
「正徳の湯」の山側にある半露天で、ここも仙液湯使用。「正徳の湯」よりこぢんまりしてお籠もり度は高いです。木造1.2人の小浴槽。木箱の湯口のなかに3本のパイプ。うち左と中が出ていて、左がぬるいイオウ泉系、中が適温で量が多く単純温泉系(町営揚湯泉?)。
ややぬるめのお湯は透明度20cmの乳白色にごり湯。弱いしぶ焦げイオウ臭で、ヌルすべがあります。濃度感はうすいですが、かなりの温まり感があります。ただ、お湯的にはややとりとめのない感じ。お湯よりも貸切露天を楽しむ浴場かな?
【使用源泉 / 仙液湯(芦之湯第1号泉) ※町営揚湯泉にて加温調整?】
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環:なし 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
3.「家族風呂 鶴」(夏)
別館「遊仙観」寄り、「湯香殿」の前にある別棟の家族湯。鶴と亀がほぼシンメトリに並んでいます。ここはてっきり町営湯ノ花沢造成泉と思っていましたが、なんと幻の湯ノ花沢町営揚湯泉を単独使用。
脱衣所から一段低く石造2人の入り心地のいい小さな湯船。窓が小さく暗めながら趣のある浴場です。
石から突き出た石膏の析出つきの木の湯口から少量投入で、槽内注排湯はなく全量をしずかにオーバーフローのかけ流し。
ほぼ無色透明の熱湯には、茶クリーム&こげ茶の湯の花が盛大に舞っています。かすかな石膏風味に焦げ臭をまじえた心地よい湯の香。掲示によると塩素系薬剤投入ですが、カルキ気はまったく感じられませんでした。
明瞭なとろみと肌になじんでくるような石膏泉系の絶妙な湯ざわり。力感と温まりのあるお湯は、上毛あたりのお湯を彷彿とさせます。これは箱根でもかなり上位にランクされるお湯かと・・・。
いまのシステムだと、温泉好きはよんどころなく「正徳の湯」を選択するので、この上質なお湯が陰にかくれたかたちになっているのは残念です。
【使用源泉 / 箱根町揚湯井2号】
単純温泉 52.7℃、pH=8.0、成分総計=908.1mg/kg、Na^+=82.1mg/kg 、Mg^2+=25.1、Ca^2+=98.3、Fe^2+=痕跡、Al^3+=0.1、Cl^-=4.9、HS^-=0.1、SO_4^2-=387.0、HCO_3^-=159.0、メタけい酸=138.1、硫化水素=0.01 <H5.2.8分析>
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 循環:なし 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
<湯香殿>
メイン浴場。男女別でそれぞれ内湯と露天があります。男湯の露天が「芦ノ湖周遊風呂」、露天源泉風呂が「神遊風呂」、女湯の露天が「美肌の湯」と名づけられています。
4.「湯香殿男湯内湯」(冬・夏)
ここは主力と思われる「底無しの湯、黄金湯(2番)混合泉」をつかっています。
黒みかげ石枠石タイル貼7.8人の浴槽ひとつ。湯口はなく、熱湯の底面注入のみでかなりの量をオーバーフローしていてコンディション良好。
カラン8、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
お湯は42℃(夏)~44℃(冬)と熱め。青味がかったうす白濁~乳白色で味不明。かなり強いしぶ焦げイオウ臭ととろみのある入り心地のいいお湯で悪くありません。(ただ、冬場は熱すぎてほとんど誰も入っていなかった ^^; )
掲示では循環濾過となっていますが、他の循環浴槽にくらべて格段にお湯がいいです。
【使用源泉 / 底無しの湯、黄金湯(2番)混合(芦之湯第3号、6号混合)】
単純硫黄温泉 34.7℃、pH=7.6、成分総計=627mg/kg、Na^+=41.0mg/kg 、Mg^2+=19.7、Ca^2+=65.5、Fe^2+=0.01、Al^3+=0.01、Cl^-=6.79、HS^-=21.2、SO_4^2-=266、HCO_3^-=43.1、メタけい酸=150、硫化水素=6.00 <H10.1.19分析>
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環濾過:あり 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
5.「湯香殿男湯露天-芦ノ湖周遊風呂」(冬・夏)
富士山の絵が掲げられた露天風呂でマスコミによく登場します。
岩枠タイル貼8.9人の浴槽に岩の湯口から投入+大量底面注入でオーバーフローなし。
人気浴槽のうえにぬるめなので、グループ客がとぐろをまいていてお湯はなまり気味。
透明度50~60cmくらいのうす白濁で、冬はイオウがなまった燻し臭、夏はカルキ臭がありました。個人的にはあまり感心しないお湯でした。
【使用源泉 / 不明(底無しの湯、黄金湯(2番)混合?)】
6.「湯香殿男湯露天源泉風呂-神遊風呂」(冬・夏)
これはすばらしいです。逸品です。
1人用の瓶風呂で、竹樋の湯口から38℃くらいの源泉が少量注がれオーバーフロー。温度は夏場で20℃台、冬場はあまりに冷たくて一瞬浸かっただけでした。で、じっくり浸かった夏のレポです。
やや青緑がかった透明で白クリーム色の湯の花がただよいます。絶妙のぬる湯はしっかりとした甘+しぶ焦げイオウ臭にたまご味+微苦味。イオウが強く塩味がまったく感じられない味臭は「黄金湯」の”十三番の湯”に似た感じかと。とろみに加えスルスルとしたイオウ系の湯ざわりと硫酸塩泉系のキシキシが拮抗し、抜群の入りごこちになっています。ひょっとして「正徳の湯」よりいいかも・・・。
ここは朝にも入りましたが、湯の花少なくにごり気味でいまいちでした。投入量が少ないので、浴客が多いとすぐになまってしまうのかもしれません。
湯香殿の露天は23時で閉まりますが、ここは夜通しでも入っていたいお湯でした。
こうしてみると、主力の混合泉(底無しの湯、黄金湯(2番)混合)も仙液湯に負けず劣らずすばらしいお湯に思えます。
【使用源泉 / 底無しの湯、黄金湯(2番)混合(芦之湯第3号、6号混合)】
<貴賓殿>
別館「遊仙観」寄りのサブ浴場。男女別でそれぞれ内湯と露天があります。男湯の内湯が「黄金湯」、露天が「山風の湯」、女湯の露天が「華の湯」と名づけられています。
本館からの渡り廊下に飲泉所があり、豊潤なたまご味の源泉を味わうことができます。
また、手前廊下には歴代(?)の源泉(→黄金湯、底無しの湯、仙液湯、達磨湯)の古い温泉分析書が掲示されています。
7.「貴賓殿男湯内湯-黄金湯」(冬・夏)
赤みかげ石枠タイル貼7.8人の浴槽で、5本の竹の湯口から投入し底面吸湯+切欠からの上面排湯。カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
ごくわずかに懸濁したお湯はほぼ適温で、弱いしぶ焦げイオウ臭。よくあたたまりますが、なんとなくのったりした浴感で、はっきりいってたいしたお湯ではありません。
ここで楽しめるのは、なんといっても奥の壁面から突き出ている5本の竹樋で、左から”底なしの湯””十三番の湯””だるま湯””仙液湯””黄金湯”と名づけられています。
浴場手前に”十三番の湯”以外の温泉分析書が掲げられ、それぞれお湯の感じが違うので、てっきり「すべて別源泉投入?、きのくにや恐るべし!」と思っていましたが、数本の源泉の混合比率を変えて投入しているようです。それでもけっこう楽しめるので、温泉マニアは”利き湯”を楽しんでみてください (^^)
こんな感じでした。
投入量 : だるま湯 > 黄金湯 > 底なしの湯 > 仙液湯 > 十三番の湯
湯 温 : 仙液湯 > だるま湯 > 黄金湯 = 底なしの湯 > 十三番の湯
硫黄気 : 十三番の湯 > 仙液湯 = 黄金湯 > 底なしの湯 > だるま湯
硫黄臭の質 : 十三番の湯(甘系)、仙液湯(しぶ焦げ系)、黄金湯(しぶ+ラムネ系)
ふつうに考えると、湯量のある「町営揚湯泉」と「底無しの湯・黄金湯混合泉」を混合していて、だるま湯は揚湯泉系、十三番や底なしの湯は混合泉系なのだと思います。
【使用源泉 / 底無しの湯、黄金湯(2番)混合(芦之湯第3号、6号混合)】
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環濾過:あり 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
7.「貴賓殿男湯露天-山風の湯」(冬・夏)
屋根つき岩枠鉄平石敷4.5人の浴槽で中庭に面しています。
竹樋が3本あり、うち2本からの投入で切欠からの上面排湯。
ややぬるめのお湯は、きもち翠がかって(?)微濁。弱いしぶ焦げイオウ臭。鮮度感が弱く、個人的にはあまり好きなお湯ではありませんでした。
【使用源泉 / 不明(底無しの湯、黄金湯(2番)混合?)】
<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:あり 循環濾過:あり 塩素系薬剤(錠剤)使用:あり
と、いろいろ書いてきましたが、お湯的に気に入ったのは、
正徳の湯(冬) >= 神遊風呂(夏) > 鶴の湯 > 湯香殿内湯 の順かな?
ただし、イオウ泉は変化が激しいので、再訪したらまた変わるかも・・・(笑)。
みしゅらんオフでは、ほぼ全員が源泉混合使用の見直しを提案していました。すばらしい源泉をもっているので、どのように変わるか楽しみです。
〔 2006年12月23日・24日レポ 〕
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■ 芦之湯温泉 「山形屋」 〔 Pick Up温泉 〕
名湯の誉れ高い芦之湯温泉には、松坂屋本店、きのくにや、山形屋、民宿 葦の4軒の宿がありますが、前3軒の源泉はそれぞれ違います。(民宿 葦は不明)
ここは町営源泉の引湯ということであまり話題にならないですが、行ってみました。
とてもこぢんまりとした宿ながら、館内はメンテが行き届いていて居ごこちがよさそう。
声掛けしても誰も出てこないので、「入浴料500円、恐れ入りますが御投函下さい。」という置き紙があるミニポストに500円を投入して入館。箱根とは思えない敷居の低さです。(^^ 奥まった別棟に男女別の浴室があります。
こぢんまりとした浴室に玉石敷きの岩風呂(3人位)がひとつ、女湯のはやや小ぶり。じっくりとお湯に浸れそうな落ちついた湯船です。カラン2、シャワー・シャンプーあり、ドライヤーなし。週末14時で独占でした。
黄色い硫黄系の析出の出た岩の湯口からの投入+熱湯の底面注入で、槽内排湯はなく全量をオーバーフローのかけ流し。
【写真】 女湯
適温のお湯はややにごりを帯びて、黄色の湯の花が舞っています。弱いたまご味+微苦味に焦げイオウ臭。成分をあまり感じない非常に軽い浴感のお湯で、イオウ成分だけが際だっているイメージは、強羅の早雲山造成泉に似ています。で、イマイチかというとけっしてそんなことはなく、入りごこちはすこぶるよく芯からなごめます。
松坂屋やきのくにやに比べるとさすがにインパクトには欠けますが、鮮度感のあるやさしいお湯はなかなかのおすすめ。
【写真 上(左)】 男湯
【写真 下(右)】 男湯の湯口
ここは箱根町営温泉を使っているのはわかっていましたが、てっきり揚湯泉のほうかと思っていました(給湯図)。
が、分析書をみると「箱根、元箱根、大芝系列」とあるので、元箱根地区で使っている湯ノ花沢蒸気造成泉(第7号蒸気井)のようです。
ただ、こちらは大芝中継槽を経由しておらず、引湯距離も短いので、元箱根(芦ノ湖温泉)よりは鮮度が高いのでは? 近いうちに芦ノ湖温泉を攻めて確認してみます。
単純硫黄温泉(硫化水素型) 94.1℃、pH=6.4、成分総計=147.8mg/kg、Na^+=5.0mg/kg、Ca^2+=7.8、Fe^2+=0.01、Cl^-=3.4、HS^-=7.5、SO_4^2-=9.3、HCO_3^-=17.7、陽イオン計=15.9、陰イオン計=38.2、メタけい酸=46.8 <H5.2.18分析> (源泉名:箱根町供給温泉(箱根、元箱根、大芝系列))
<温泉利用掲示> 加温なし 加水なし 濾過循環なし 消毒処理なし
〔 2006年7月20日レポ 〕
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■ 鶴巻温泉 「ゆたか」 〔 Pick Up温泉 〕
<鶴巻温泉「ゆたか」> (秦野市、11:00~20:00、火曜日・第二水曜休(祝日の場合は翌日)1,050円、0463-77-1778)
この日、鶴巻は予定外で下調べなしの突入だったので、「るるぶ 首都圏日帰り温泉」で”源泉かけ流しマーク”がついていたここにしました。
小田急線「鶴巻温泉」駅から徒歩5分の交通便利な場所にあり、周辺にはマンションが点在し、温泉街の風情はありません。
ここは以前は旅館でしたが、数年前に経営者が替わり日帰り施設に業態変更したそう。きれいな本館で受付し、奥の浴場へ向かいます。
途中の中庭に源泉らしきものが流されていて、味見すると強苦味弱塩味のなかなか凄味のある味。これは期待できそう・・・。
浴場棟はたぶん旅館時代のまま。適度に古びて味の出た脱衣所が渋いです。
浴場も中央手前に内湯(みかげ石造7.8人)と奥にジャグジー槽(同1.2人)を配したシンプルで好ましい佇まい。
露天は25人は優に行けそうな岩組鉄平石敷の大きなもので、まわりに茂るヤシ?の木がちょっとミスマッチかな?
カラン19、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜17時台で5人程度。一時15人くらいの団体が入り混雑しましたが、ふだんはさほど混まないのでは?
【写真】 内湯
内湯は、石の湯口から投入+ジェット槽からの流し込み+側面注入、槽内吸湯がありますが引きは弱く、浴槽フチ全面から潤沢にオーバーフローしています。
露天は岩の湯口から大量投入+底面注入で底面吸湯があるものの、浴槽端の排湯口から大量に流し出し、湯川になって流れていきます。
露天脇には掛樋があって冷水が注がれています。無味無臭でしたがまわりの岩には石膏らしき析出が出ていました。
無色でかすかに微濁したお湯には少量ながらクリーム色の浮遊物がただよいます。
強苦味弱塩味の個性的な味で苦味が舌に残ります。味的には、山梨の十谷温泉「源氏荘」に似ているかと。
石膏臭を強めたような甘い温泉臭がありますが、これが石膏臭なのか塩化土類による臭いなのかは不明です。
キシキシとヌルすべが複雑に入りまじる湯ざわりと、肌に食い入るような力強い浴感があってとてもあたたまります。
浴後は土類泉らしく肌がペトペトしっとりしますが、これは好き嫌いが分かれるところか・・・。
【写真】 露天
巨大露天は当然希釈かと思いましたが、内湯とほとんど変わらない浴感で湯口でも強苦味弱塩味がしたのには正直びっくり。
帰りしなにフロントで訊くと、37℃の自噴自家源泉で相当な湧出量があるので、かけ流しにしているそう。
とても温まり感の強いお湯なので、夏場は非加熱かけ流しにしてもいいのでは?
丹沢山麓のお湯というと薄めで素直なヌルすべ湯のイメージがありますが、さすがに”世界一のカルシウム含有量”を謳う温泉地だけのことはあり、意表をついて濃厚で個性的ないいお湯でした。ここはおすすめです。
Ca・Na-塩化物泉 37.1℃、pH=9.2、湧出量不明、成分総計=8.281g/kg、Na^+=1050mg/kg、Ca^2+=1960、Fe^2+=0.09、Cl^-=5050、SO_4^2-=584.8、HCO_3^-=18.8 <H15.3.25分析>
〔 2004年6月12日レポ 〕
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■ (仮)青根の湯 「青根緑の休暇村 いやしの湯」
オフィシャルHP
2005年5月、青根の緑の休暇村内にオープンしたセンター系施設。神奈川や多摩方面から距離的には近いですが、このあたりは道があまりよくないので意外に時間がかかります。近くを走る道志みちR413は山中湖と相模原を結ぶ抜け道なので、山中湖方面からの帰り道に寄るのが正解かもしれません。おかざきさん&恵比寿さんのレポがあったかな?
少し開けたような川沿いにあるピカピカの施設は、このあたりの温泉施設ではいちばん立派です。
正月2日に行ったので館内はごったがえし。岩風呂と檜風呂があって男女週交替制。この日の男湯は檜風呂でした。脱衣所は施設規模のわりに狭くて使いづらいもの。窓の広い明るい浴場はゆったりとして天井も高いですが、あまりに通気&換気がいいうえに天井からポタポタとしずくが落ちてくるので、洗い場はえらく寒いです。
内湯ゾーン窓ぎわに大浴槽(檜+赤みかげ石枠石貼25人以上)、手前にぬる湯源泉槽(檜枠伊豆石貼7.8人)、サウナ、水風呂。露天に檜枠伊豆石貼15人以上東屋付きの浴槽がひとつ。前景は山肌で風が通るきもちのいいロケーションです。
カラン17、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。正月2日の昼ごろで40~50人とスパ銭なみの盛況。
源泉槽以外は木の湯口から熱湯を大量投入&底面吸湯。お湯の感じからして循環かと。
さて、本題の源泉槽です。木の湯口から10L/min弱の少量投入で、槽内注排湯はなく全量をオーバーフローのかけ流し。34℃のぬる湯はやや懸濁し、こまかな白い粒子が密度濃くただよっています。弱石膏味+薬味+僅微苦味+なぜか重曹?味が混じるえらく個性的な味。弱い石膏臭。
かなりの濃度感と硫酸塩泉系のキシキシがありますが、あまりに混んでいるのでお湯はなまり気味。濃いめでなまった硫酸塩泉は、「やまなみの湯」の源泉槽とイメージがだぶります。温まり感は弱いものの、浴後微妙に温もるのはさすがに硫酸塩泉か。
その他の浴槽は無色透明強カルキ臭(味見する気になれず味不明)。非常に硬い湯ざわりで出るとすぐに冷めるお湯からは、温泉らしさを感じることはできませんでした。
とにかく混んでいて、とくに源泉槽はほとんどイモ洗い状態。このエリア名物?の泳ぐお子様多数出現(^^;)で、どうにも落ち着かなかったのは残念でした。
「やまなみの湯」とおなじく、週末の午後を避ければ実力派の源泉の真価を味わえるかも。
Ca・Na-硫酸塩泉 38.1℃、pH=9.2、73.11L/min(1,310m掘削揚湯)、成分総計=3.504g/kg、Na^+=478.1mg/kg (41.38mval%)、Ca^2+=584.9 (58.08)、Fe^3+=2.7、Cl^-=63.1 (3.52)、SO_4^2-=2325.6 (95.75)、陽イオン計=1070.6 (50.26mval)、陰イオン計=2401.1 (50.57mval) <H14.4.25分析> (源泉名:(仮)青根の湯)
■SO_4^2-=95.75mval%とすこぶる純度の高い硫酸塩泉です。なぜかFe^3+が2.7mg/kgもありますが、金気はほとんど感じられなかったので除鉄があるかも。
〔 2006年3月27日レポ 〕
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■ 平塚グリーンサウナ温泉 「湘南ひらつか太古の湯 グリーンサウナ」 〔 Pick Up温泉 〕
公式HP
平塚駅から徒歩5分の便利な立地にある温浴施設。Pは有料(100円/2hだったか?)。
「●かの●梨」の看板やら懸垂幕やらが目立ちどことなくB級チックな外観。玄関前には成分で茶色くなった口から源泉を吐く天然温泉の守護神「レオ」が鎮座していて笑えます。
フロントで完全に男女分離され、男湯は1F、女湯は3階。(エレベーターは女性専用)
館内もどことなくB級入っていていい感じ(B級好きです ^^)
けっこう広い浴場には、ひのきバス(檜造5.6人)、白湯ジャグジー(真湯)、源泉ジャグジー(石枠タイル貼4人)、サウナ、水風呂(同5.6人)、露天(同10人)。観葉植物がおかれた洋風イメージの浴場で、あちこちにデッキチェアがおかれ、トドがなごんでいます (^^;
露天は展望はないものの風通しはいいです。
カラン16、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜13時で15人くらい。
ひのきバスは、檜の湯口から投入し槽内注排湯不明でオーバーフローなし。
源泉ジャグジーは、カラン×2からたぶん源泉を少量投入+ジャグジー注入?で槽内排湯不明、わずかにオーバーフローあり。ここが一番人気。
露天は、ローマ風呂風人面彫刻の湯口から投入で、底面注吸湯ありのオーバーフローなし。
ひのきバスと露天には「濾過湯」という掲示あり。
ひのきバス&露天と源泉ジャグジーではお湯の感じがちがいます。
ひのきバス&露天は、ほぼ適温でかすかに翠がかった微濁。味不明で弱タール臭+微アンモニア臭に弱いキシキシ。露天よりひのきバスの方がお湯が新鮮な感じがしましたが、女湯の露天ではけっこうなアワつきがあったらしいので男女湯で湯づかいがちがうのかも。
源泉ジャグジーのお湯は逸品です。ほぼ無色のぬる湯はジャグジーで白く泡立ち、湯面からはツンとくる明瞭なアンモニア臭+甘い微モール?臭が香ります。
これほどアンモニア臭が前面に出ているお湯も珍しいのでは?
湯口では塩味+強苦味の個性的な味。ここも弱めのキシキシ感があり、ジャグジーによるものかもしれませんが弱いながらアワつきがあります。
溶存物質計=12.21g/kgと高張性の濃い塩化土類泉ですが、なぜかあまりほてらずすっきりとしたイメージのお湯で、とくに源泉ジャグジーはぬる湯なのでいくらでも入れそう。
水風呂は井水使用でうす麦茶色透明で無味無臭、特別な肌ざわりはないですがかなりの量のアワつきがあってびっくり。こいつも侮れません。
ちょっと変わった感じのお湯で、クセモノ好きにはおすすめかと。いろいろとお楽しみポイントがあるので、1,575円払ってゆっくりするのもいいかも。
Ca・Na-塩化物温泉 35.0℃、pH=8.55、135.5L/min(1,300m掘削揚湯)、成分総計=12.21g/kg、Na^+=2375mg/kg (49.15mval%)、Ca^2+=2132 (50.62)、Fe^2+=1.1、Cl^-=7560 (99.44)、HS^-=0.3、CO_3^2-=22.2、Br^-=22.7、I^-=2.5、陽イオン計=4526 (210.2mval)、陰イオン計=7616 (214.4mval)、メタけい酸=45.0、メタほう酸=25.8 <H11.3.5分析>
●HPで天然温泉表示看板が公開されています。
〔 2004年6月8日レポ 〕
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■ 湯楽の里 相模原温泉 「相模・下九沢温泉 湯楽の里」
オフィシャルHP
何度かこの掲示板で話題となった新顔の施設です。めがねさん、恵比寿さんのレポあり。
橋本駅の南西にある相模原北公園の西側、県道508厚木城山線沿いにあり、看板もたくさんでているので迷うことはなさそうです。
ここも絵にかいたような”T岡仕様”の和風スパ銭。このたぐいの金太郎飴的施設はかなり食傷気味ですが、スペックを共通化してコスト削減を図るのがチェーン店経営の要諦ですから、やむなしかな?
脱衣所はゆったりめで、セパレートされた洗面所や中庭に喫煙所があります。
浴場は内湯ゾーンに機能浴槽群、サウナに水風呂ですべて強カルキ臭の真湯。うち”シルク風呂”は、ミクロの気泡で白濁していてかなりのアワつきがありきもちいいですが、強カルキ臭は残念。
露天ゾーンに大露天(岩枠石敷20人以上、東屋つき)、源泉槽(石造円形4.5人)、壷湯(陶製1人)×2と奥に寝ころび湯。パンフにはどれも”天然温泉かけ流し”との説明書きがあります。
カラン30位、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。日曜18時で60~70人くらいと盛況。大露天ではお子ちゃま達が泳ぎ回ってプール状態。
源泉槽は、石の湯口から大量投入で大露天への流し出し。湯口ではかすかな湯の香があっておそらく加熱源泉かと・・・。ぬるめのお湯は薄紅茶色(夜だったので自信なし)透明で微重曹味に薬剤系とおぼしきうがい薬臭。湯口と浴槽のお湯の感じが違うので、どこからか薬剤投入湯の注入があるかと思いますがゲキ混みで確認できず。
明瞭なツルすべ&ヌルすべがあり、湯口そばでは少量ながらアワつきがあります。お湯は埼玉大井の真名井の湯に似ている感じかな?
大露天は、大量の底面注入+源泉槽からの流し込みで、浴槽奥の上面排湯口からの排湯、槽内排湯は不明ですがお湯の感じから循環を想像しました。ほぼ無色透明で適温のお湯は強カルキ臭と強いなまりが感じられ、10秒で退散。
壷湯は、檜の樋からの投入+たぶん底面からの熱湯注入でかるくオーバーフロー。無色透明のお湯はほぼ適温で、ごくわずかなアワつきと弱ヌルすべがあり悪くはないですが、湯面から立ち上る強カルキ臭が邪魔。
源泉槽の湯ざわりはなかなかですが、うがい薬臭が鼻につき、どうにも面白くないので洗いに徹しました (^^;
めがねさんのレポによると当初は源泉槽湯口でイオウ臭が香るほどのコンディションだったらしいですが、だんだんにお湯が悪くなってきているようで、その状態が継続しているのかも? 今のコンディションでは、わざわざ遠くから入りにいくようなものではないようにも思えます。
源泉の素性はよさそうなので、湯づかいの改善がされるといいですね。
アルカリ性単純温泉(Na-HCO3・Cl型) 30.0℃、pH=9.3、163L/min(1,700m掘削揚湯)、成分総計=785.6mg/kg、Na^+=224.1mg/kg (95.83mval%)、Fe^2+=0.6、F^-=4.4、Cl^-=108.2 (27.46)、HS^-=0.02、HCO_3^-=332.6 (49.08)、CO_3^2-=42.0、BO_2^-=40.4、陽イオン計=231.4 (10.17mval)、陰イオン計=528.8 (11.10mval) <H17.3.22分析>
●パンフには強食塩泉系の化石海水型のような解説がされ「熱の湯」とありますが、重曹泉系の「冷の湯」「美人の湯」の表現のほうが妥当かも・・・。
〔 2005年9月30日レポ 〕
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■ 縄文天然温泉 「志楽の湯」
オフィシャルHP
工場跡地を再開発し2005/4/20にオープンした日帰り温泉施設。かの黒川温泉の後藤哲也氏がプロデュースしたことで注目を集めています。コンセプトは”縄文時代”。
JR南武線「矢向」駅から徒歩4~5分の住宅地にあります。
広いPはジャリ敷き(たぶん意図的)で、まわりに木を植えこんでいます。レストラン棟と浴場棟が別棟であり、とくにレストランのファサードのセンスの良さにはおどろきました。
木造でダーク調の足廻りと白壁づかいのシックな館内。コンセプトは違いますが、フロントまわりの質感は、埼玉小川の「花和楽の湯」に似ている感じがしました。ロビーには、岡本太郎氏の彫刻「縄文人」が展示されています。
浴場へは、スノコ敷きの長い曲がり廊下を渡ってのアプローチ。脱衣所は木の床で足ざわりやわらかなスグレもの。
浴場に入り、右手に洗い場(カラン32)。この空間は白地の壁&天井と、洗い場まわりの石貼り&木のダーク系の色合いがコントラストを織りなし、木塀を使った通路”縄文道”とともにいい見せ場になっています。なんとなく古い蔵元か醸造所のような雰囲気かな。
入ってすぐ、露天入り口脇には赤錆びたピットが逆さに立てておいてあり、縄文土器のようでかわいいです。
冷水機は脱衣所にありますが、よく発汗しノドが乾く泉質なので浴場内にあったほうがありがたいです。
平日18時で10~15人と拍子抜けするくらいに空いていました。
洗い場の奥に味噌樽風呂(1.2人、真湯、強カルキ臭)、水風呂(1人、カルキ臭あり残念、ホテる泉質なので、もっと大きくてもよかったのでは?)とサウナ。
そのよこに、露天の木々を眺めるように内湯(石造で優に30人以上)。さすがにこれは大きすぎかな。巨大浴槽は身のおきどころがなくて意外に落ちつかないものですが、ここはところどころに大ぶりの自然石や柱があるので、そこが寄りつき場になっていい具合。
竹筒の湯口からの投入+側面注入、2ケ所からの上面排湯+側面吸湯。
話題の露天は、まわりに木々を植え込んだ石枠コンクリ?造20人以上で東屋付。よこをながれるせせらぎの音に和みます。
全体におおらかにつくられていて、”造り込み”という視点からみると足立の大谷田温泉「明神の湯」の方が手が込んでいるかと思います。
塩気にやられたのか、大分の山から持ち込んだという雑木が何本も葉を落としているのが痛々しいです。(また芽吹くのかな?)
入り口の踏石が斜めに傾斜しているので、第一歩から要注意 (^^; 。浴槽中央にも唐突に石が盛り上がってたりするので、にごり湯だとかなりキケンかも・・・。
でも、浅めなので、天神の湯やリバートピア吉岡の露天にくらべれば入りやすいかな。
ここに限らず、内湯ゾーンの踏石なども面取りされていない自然石なので足元要注意です。
露天は自然石の組み上げなのでポイントがハマれば至って居ごこちがいいですが、探すのがひと苦労。見つかってもほてほて湯につき長湯できないのが悲しい(笑)。どちらかというとぬる目うす湯向きのつくりのような気がしました。
竹筒の湯口から投入+側面注入で、上面排湯口からはほとんど流れ出しがないので他に槽内排湯があるかと思います。
ほぼ適温のお湯は、赤味がかったビール色透明で露天のほうが赤味が強いです。(たぶん恵比寿さんが最初に体験したパインジュースバージョン(これって除鉄してなかったのでは?)じゃないと思う。)
強塩味+微苦味(湯口、内湯も露天もほぼ同じ)で、うがい薬系のタール臭(循環の強食塩泉でよくあるやつ、あまり好きじゃない)が強いですが、これが源泉起源か薬剤起源かは不明。内湯ではヘアートニックっぽい臭い?が混じっていたような気もします。
土類入った強食塩泉らしく、ほてほてにほてる凶暴湯でややペトペトします。HCO_3^-=433.2ながら、ツルすべはなくむしろキシキシ系。濃度感はしっかりあるものの、鮮度感は感じられませんでした。
長湯できるお湯ではなくトドが発生しますが、露天の縁石は八ヶ岳産安山岩でザラザラ、座ると痛くて落ちつかないのが難か。ベンチがあるといいかも。「そんなの気にせずワイルドにトドになるのが縄文流」といわれればそれまでですが・・・(笑)
たしかに巷にあふれるスパ銭とは一線を画すこだわりのある施設かと思いますが、個人的にはお湯に感動するものはありませんでした。
Na-塩化物強塩温泉 38.5℃、弱アルカリ性、湧出量不明、成分総計=27.75g/kg、Na^+=9586mg/kg (88.62mval%)、NH4^+=137.7、Mg^2+=181.8、Ca^2+=472.3 (5.01)、Fe^2+=5.5、Cl^-=16460 (98.25)、Br^-=68.6、I^-=26.4、HCO_3^-=433.2、陽イオン計=10660 (470.6mval)、陰イオン計=16990 (472.6mval)、メタけい酸=58.1、メタほう酸=15.8 <H14.5.17分析>
*NH4^+(アンモニウムイオン)=137.7は、新潟の”異臭湯”「西方の湯」(129.2)を上回っています。
〔 2005年7月1日レポ 〕
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■ 「ゆめみ処ここち湯 海老名店」
<「ゆめみ処ここち湯 海老名店」> (海老名市、10:00~25:00、平日650円(土日祝750円)*会員各50円引、0120-14-0265)
オフィシャルHP
2004/10/5にオープンした相鉄グループの温泉スパ銭。相鉄線「かしわ台」駅の改札を出て左に行き、セブンイレブンの角を右に曲がり坂を下っていくと左手にある相鉄ローゼンの奥。徒歩3分位。T岡設計による典型的な和風スパ銭。シックな色調の落ち着いたつくりで、全体にオープンエアの空間が広くとられていて気分がいいです。
浴室は、内湯ゾーンに機能浴槽群(真湯、強カルキ臭)、サウナ、水風呂(カルキ臭)となごみの湯(温泉、みかげ石枠石タイル貼7.8人)。たちこめるカルキ臭に辟易し早々に露天に避難。
露天ゾーンは塀に囲まれていますが広々として居心地がいいです。寝湯群・歩行浴槽・眺望湯は真湯で強カルキ臭。右手奥に洞窟風の薬草スチームサウナ。
温泉浴槽はすべて鉄平石造で、源泉槽のここち湯(一部岩造4.5人、縦長の一辺出入り)、ぬくもりの湯(7.8人、東屋付)、まどかの湯(10人以上)、涼みの湯(3人)と壺湯(1人×3)。
カラン31(一部セパレート式)、シャワー・シャンプーあり、ドライヤー有料(10円/3分)。平日18時で40人以上と盛況ながら、キャパがあるのでゆったりと入れました(とくに源泉槽が空いていたのはラッキー)。
ここちの湯は岩の湯口(奥に金属パイプ)からかなりの量を投入で脇の排湯槽への上面排湯。たぶん槽内注排湯はなく、”源泉かけ流し”の掲示があります。
なごみの湯は石の湯口から投入+側面注入で側溝への上面排湯+オーバーフロー。
ぬくもり、まどか、涼みはこの順で流し込み、おのおの湯口、側面注入、底面吸湯などがある循環仕様。壺湯は底面注入+檜湯口からの少量投入でオーバーフロー。
ここちの湯以外はいずれも”循環”の掲示があります。
ここちの湯は、泉温37.7℃に対し、投入45℃位、浴槽41℃位なので加熱はあるかと。浴槽まわりは赤茶に変色し、温泉臭からしても除鉄・濾過なしの源泉かけ流しかと思います。
ここちの湯と他の温泉槽ではお湯が全然ちがいます。
他の温泉槽は、うす茶色(?)ほぼ透明で味不明、くどい感じのうがい薬臭+タール臭(消毒剤臭?)。淡泊で軽めの浴感ですが、ツルすべはここちの湯より強いです。
ここちの湯は、たぶん緑がかった茶色のささにごり。湯口でしっかりとした塩味(重曹分のせいかややまろやか)+弱金気味+α(このαがくせもので、めがねさんが”ポテトチップス味”と表現したのも判る気がします (^^;)。明瞭な金気臭+微焦げ臭+弱アンモニア臭+糊臭+微泥臭+微臭素臭?+僅微イオウ臭?+αと複雑なもの。湯面ではやや金気臭が弱まり相対的にアンモニア臭が強まっています。水海道の「きぬの湯」から糊臭と泥臭を弱めてアンモニア臭を強めたような感じで同系かと。
食塩泉らしいしっかりとした浴感とほてり感がありよく発汗しますが、重曹泉系のツルすべもあります。さらに何となく肌に染み入るような奥深さも感じられるいいお湯です。(メタほう酸=198.5mg/kgが効いてるのかな?) けっこうさっぱりとする重曹泉系寄りの浴後感。浴感は、YEBISUさんご指摘のとおり柏・ゆの華のイメージが若干かぶるかと思います。
はっきりいって、循環槽はたいしたことないですが、ここちの湯はかなりのすぐれもの。このお湯に入るだけでも訪れる価値は充分あるかと思います。ただし、適温のうえに狭いので週末など入浴待ちの行列ができるかも・・・ (^^;;
神奈川方面では「いこいの湯多摩境店」とともに評価の高い温泉スパ銭で、鮮度とパワーで攻めるいこいに対してこちらは濃度感と個性的な温泉臭がポイントかな?
料金も手頃だし施設のバランスもいいので、今後ますます人気が上がっていくお湯かと思います。
Na-塩化物温泉 37.7℃、pH=7.7、130L/min(約1,301m掘削揚湯)、成分総計=10.99g/kg、Na^+=3932mg/kg (94.16mval%)、NH4^+=41.5、Fe^2+=2.8、Cl^-=6094 (95.87)、Br^-=20.5、I^-=8.2、HCO_3^-=424.7、陽イオン計=4166 (181.6mval)、陰イオン計=6552 (179.3mval)、メタけい酸=72.9、メタほう酸=198.5 <H16.6.30分析>
〔 2004年11月19日レポ 〕
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■ ふじの温泉 「東尾垂の湯」
オフィシャルHP
医療法人社団清伸会ふじの温泉病院が以前より「ふじの温泉病院」で利用していた源泉を使い、新規オープンしたものです。
場所は、神奈川CC入口の少し西(山梨)寄りから分岐する枝道を1kmほど北側に入った「ふじの温泉病院」手前の丘の上です。
JR中央本線「藤野」駅から無料送迎バスも出ています。
こぢんまりとした施設にみえますが、2階には緑の山々が見渡せるけっこう広い休憩所があります。
男女別の浴室は、内湯(黒みかげ石枠伊豆石貼7.8人)、ミストサウナ(樽風呂×4・打たせ湯付)に露天(鉄平石造6.7人、屋根付き)。
露天ゾーンは石庭風の庭が広くとられ、開放感があり、チェアーもあって和めます。
カラン6、シャワー・ドライヤーあり、シャンプーなし。入湯料650円なのでシャンプーは置いて欲しいところです。連休16時で4~7人とわりあい空いていました。
熱めの内湯は、石の湯口からかなりの量の熱湯を投入で、上面排湯口からの排湯が追いつかず、けっこうな量がオーバーフローされています。
適温の露天は、石の湯口から20L/min程度を投入し、槽内注排湯はなく、たぶん全量をオーバーフローのかけ流し。
ミストサウナは入らなかったので内容不明です。
お湯は、無色透明で湯中には細かな気泡が舞っています。微薬味に弱いながら樹脂系 or タール系のアブラ臭があり、内湯ではこれが湯面でも香ります。
露天の湯面では、紙のような乾いた感じの臭いがあります。
ツルすべとキシキシが入りまじり、少量ながらアワつきがあってビシっとくる鮮度感の高いきもちのいいお湯。
浴後は爽快感が出てお肌スベスベとなる、なかなかに優れもののお湯かと。
受付の人によると、お湯は源泉を非加水のかけ流しで使用し、泉温は気温によって変動するがだいたい47℃くらい出ている。女湯の方が泉源に近いので熱いとのこと。パンフにも「天然100%かけ流しのお湯」との記載があります。
”東尾垂”という風変わりな名前は、パンフによると「富士火山帯(火山脈)東端に位置し、その地名を藤野町小津久地区内の「尾垂(おだれ)」と言い、同火山帯の最終地点であると言われております。以上その土地・地域の由来等を考慮し名づけました」とのこと。
近場ながらこぢんまりとした施設で鮮度の高いお湯が楽しめるおすすめ湯かと思います。
「ふじの温泉病院」の駐車場のよこに温泉スタンドもあります。
アルカリ性単純温泉(Na・Ca-SO4型) 44.9℃、pH=9.73、湧出量不明、成分総計=0.892mg/kg、Na^+=169mg/kg (57.74mval%)、Ca^2+=107 (41.95)、Cl^-=76.2 (16.96)、SO_4^2-=439 (72.08)、CO_3^2-=12.2、陽イオン計=277 (12.7mval)、陰イオン計=588 (12.7mval) <H14.7.24分析>
〔 2004年8月20日レポ 〕
※なお、2005年5月9日から2005年11月末日までリニューアル休業中です。
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■ 姥子温泉 「秀明館」
箱根七湯には入っていないものの、目を痛めた坂田公時(金太郎)がこれを癒したという伝説をもつ歴史ある姥子温泉。温泉ファンには何かと噂の高い「秀明館」に初入浴しました。
2005/5に経営が替わり、軽くリニューアルをかけています。現在は日帰りのみですが、宿泊再開の予定もあるようです。
以前2,000円だった入浴料は1,800円になりましたがそれでも高い。台風の大雨後の平日というチャンスだったので、清水の舞台から飛び降りる心境 (^^; で一気に突入。日帰り料金最高額更新。
県道からの入口は狭いですが懐は広く、敷地内には、箱根権現社、薬師堂、山姥堂などが祀られています。頭上はるかにロープウェイをのぞむ箱根らしい風景。古い湯治宿とデザイナーズ旅館のエッセンスがないまぜになった面白い雰囲気で、居ごこちはすこぶるよさそうです。
男女別の大浴場(岩風呂)と家族風呂(別料金)があり、今回は岩風呂のみ入りました。
リニューアルされたらしい浴場まわりはシックで落ち着いた空間。脱衣所の向こうに、高い天井の総木造の浴室が扉もなくつづいています。
手前にみかげ石枠岩&玉石敷き6.7人の浴槽と、その奥に注連縄の張られた源泉の岩盤と湯溜め槽(といっても浴槽より広い。以前はここにも入れたらしいが、いまは入浴不可)。薄暗い浴室はなにか神々しささえ感じます。
カラン、シャワー、シャンプー、ドライヤー等一切なし。平日11時で独占。
岩盤の中腹あたりからは、源泉が白糸の滝のごとく流れ落ち、湯溜め槽と浴槽のしきいを乗り越えてざんざん流れこんでいます。浴槽からも全面ザコザコのオーバーフローで、浴槽外の床面も川状態。湯溜め槽側から2本の金属パイプが立ち上がり、「岩盤湧出高温の時、加水せず適温に保つため、左端の管から熱交換装置で配湯しています」「岩盤湧出涸渇の時、低層からのポンプ揚湯によって中央の管から源泉を配湯しています」との掲示。この日は左手のパイプのみから、ややぬるめのお湯が 100L/min近くも投入されていました。以前は湯量のピーク期には熱すぎてキビシかったようですが、今は熱交換システムが導入されているので入れないことはないと思います。
かなり熱めのお湯は、きれいに澄み切ってうす茶の湯の花がたくさんただよっています。(父の話によると、昔は”日本一透明なお湯”として名を馳せていたらしい)
酸性泉らしい明瞭なレモン味に焦げ明礬臭の特徴ある味臭。酸性泉系の弱いヌルヌルと、明瞭なとろみはメタけい酸=233.00(239.00)のシワザか?
硫酸塩泉特有の染み渡るような湯ざわりと身体の内側から温まるような力強い浴感は、総計700mg/kg弱の単純温泉とはとても思えません。
驚いたのは湯あがり感で、めがねさんも指摘されていましたが、ただならぬ爽快感が出てきます。
帰りしなにフロントの方と少し話をしました。
・先月末の台風の大雨(箱根で400mm以上降っている)で、このところ湯量が増えている。
・ふつう3月頃から湧出を始めて、晩秋くらいまで湧出が続き、厳冬期は湧出が止まる。
・夏場から秋にかけて湯量が増えるが、時季よりはむしろ降水量に影響を受ける。
・岩盤から出ていなくても湯溜め槽の底から湧出している。(こちらの方が量が多い)
・休憩所の横を流れる川や駐車場前の池も温泉。(たしかに湯気があがっていた)
温泉に興味のない人は、この内容で1,800円は納得いかないでしょうが、温泉ファンは一度はトライしてみてもいいかも。私も個人的にお湯が非常に気にいったので (^^ 、今度は2,300円で個室を借りてゆったりとこの名湯を楽しみたいです。
姥子温泉 元箱根第20号 (主力源泉)
単純温泉 (Ca・Na・Mg-SO4型) 42.4℃、pH=3.7、湧出量不明、成分総計=0.688g/kg、H^+=0.20mg/kg、Na^+=34.60 (22.11mval%)*、Mg^2+=18.20 (22.00)、Ca^2+=65.80 (48.24)、Al^3+=1.55、Fe^2+=0.0、Cl^-=4.01 (1.66)、SO_4^2-=321.00 (97.87)、陽イオン計=125.96、陰イオン計=326.77、メタけい酸=233.00 <H16.9.13分析>
姥子温泉 元箱根第4号
単純温泉 (Ca・Na・Mg-SO4型) 48.4℃、pH=3.3、湧出量不明、成分総計=0.6768g/kg、H^+=0.51mg/kg、Na^+=31.90 (20.23mval%)、Mg^2+=16.80 (20.15)、Ca^2+=59.60 (43.36)、Al^3+=3.89、Fe^2+=0.0、Cl^-=3.44 (1.47)、SO_4^2-=312.00 (98.24)、陽イオン計=119.28、陰イオン計=316.56、メタけい酸=239.00 <H16.9.13分析>
*) mval%は筆者にて算出したもの、有効桁数等考慮していないので概数です。
大湧谷のそばなのにイオウ気も金気もない清澄なお湯が湧出するのは不思議。やませみさんの 「温泉の化学」によると、”酸性硫酸塩泉”の代表格とのことです。
「秀明館」から大湧谷に登る遊歩道があります。
いかにも箱根らしいしっとりと落ちついた道で、傍を流れる沢は硫黄を含んで白濁しています。途中、いくつかの源泉櫓も見ることができます。
〔 2005年8月5日レポに加筆 〕
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■「秀明館」の謎
昨年9月上旬、小田原市付近に上陸した台風9号の影響により、箱根は650ミリを越す記録的な豪雨となり、道路は各所で寸断されました。
その数日後、どうにか通行が確保されていたR138御殿場口から登り「秀明館」にいってきました。
豪雨による湯量増加を狙ってか、10時前から客が押しかけ、10時の段階で安い部屋は満室となっていました。
前にいったとき(箱根で400ミリ以上)より雨量が多く、岩盤からわき出す湯量もすごいものがありました。スタッフの話では「ここ数日でいちばん多い」とのこと。
でも、正直いって前回のような”すごみのあるお湯”ではなかったような気がします。
このことをY師匠に話したところ、いくつかの示唆をいただきましたので、それをふまえて整理してみます。
なお、これはあくまでも筆者の勝手な推測です。
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前にも書いたとおり、ここの浴槽にはつぎの3系統の配湯ルートがあります。
A.奥の岩盤と岩盤下の底から自然湧出する源泉を、しきいの上から浴槽へ流し込み - (湧出量豊富なとき)
B.左端の金属パイプから熱交換装置経由で湯温を落として配湯 - (岩盤湧出高温時)
C.中央の金属パイプから低層からのポンプ揚湯泉を配湯 - (岩盤湧出涸渇の時)
今回、Cはありませんでした。
ほんとうはAをそのまま流し込むのがベストですが、熱くてとても入れません。(湯量が増えるほど湯温もあがるらしい) そこで、Bで温度調節をするわけです。
今回、思い返してみると、Aの流れはほとんど木板で浴槽の外へ逃がされ、Bがメインとなっていました。
前回は、Bもあったものの、Aはほとんど全量浴槽へ流れ込み、Aがメインでした。
Bは、すくなくとも熱交換装置を通しています。また、ひょっとするとポンプ揚湯泉をつかっているのかもしれません。
そうだとするとあまりに湧出湯量の多いときは、浴槽のお湯はほとんど熱交換装置経由のもの(&ポンプ揚湯泉?)になってしまいます。
これで、Aがメインだった前回より、湯質が劣っていた(?)理由の説明がつきます。
そうすると、ここの湯質がベストなのは、湧出量と湯温が適度に落ちついてAのみを利用しているときということになります。
「大雨のあとに『秀明館』」というのは定説ですが、ひょっとしてじっくりかまえておもむろに突入したほうがベターなのかもしれません。
〔 2007年9月の状況を2008年4月7日レポ 〕
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