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■ 小渋温泉 「赤石荘」 〔 Pick Up温泉 〕



<小渋温泉 「赤石荘」>
(長野県下伊那郡大鹿村大河原1972、11:30~19:00(要事前確認)、不定休、500円、0265-39-2528)
オフィシャルHP
紹介ページ (じゃらんnet)
紹介ページ (温泉みしゅらん)

長野県大鹿村は、南北朝、後醍醐天皇の第八皇子宗良親王ゆかりの地、大鹿歌舞伎も伝わる歴史の香りゆたかな山間の村で、南アルプスの登山口としても知られています。
ふかい山中にもかかわらず強い塩分をふくむ鹿塩温泉も大鹿村の名湯としてふるくから知られています。

ここは、鹿塩温泉とははなれた湯場で、「南北朝時代、宗良親王の家臣渋谷三郎が大鹿村を訪れた際に、一匹の鹿がこの湯に浸りながら傷を癒していた。そこで自分の傷にこの湯をひたしたところ傷が治癒した。」(大鹿村観光情報HPより抜粋)という古い開湯伝説をもっています。
また、「明治25年には日本アルプスの父とも言うべきウォルター・ウェストンもこの湯を使ったことが記録されています。」(同上)とのこと。

戦前は、湯宿が何軒かあったようですが、いまは「赤石荘」の一軒宿となっています。

場所は説明しにくいので、下の地図をご覧ください。
アプローチの道は細いですが舗装で険路というほどではないです。
それよりときおりでてくる集落内の分岐が複雑なので看板を見落とさないように・・・。
Pは広いので問題なし。


【写真 上(左)】 外観
【写真 下(右)】 周囲の風景

「赤石荘」という山小屋的ネーミングからしょぼい建物を想像していましたが、思いのほか立派。
玄関左手のフロントで受付、右手別棟の露天風呂へ。
ここは本館に内風呂もあるようですが、日帰りで入れるのは露天だけのよう。


【写真 上(左)】 看板
【写真 下(右)】 浴場棟

湯小屋の手前が男湯、おくが女湯。
ウッディな脱衣所はさして広くなく人が多いとごったがえします。駅においてあるようなコインローカーがやや無粋。

外の浴場に出ると思わず息をのみます。
正面、右手が吹き抜けた高台にある絶景の露天です。
未確認情報ですが、この露天からは南アルプス赤石岳と中央アルプス宝剣岳の両名峰がのぞめるそうですが、入ったときは雨降りにつき確認できませんでした。
眼下はるかに蛇行する小渋川の流れが銀色に光っています。
屋根はあるものの、高い木組みで、なにより眺めがすばらしいので開放感は抜群。

檜枠石タイル貼7-8人の浴槽ひとつとシンプル。
カラン3、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
雨の多い土地柄なので、洗い場にも屋根がかかっているのは親切。
カランは温泉とはちがうものだと思いますが、ほのかにミシン油臭が香っていました。

日曜15時で入ったときは8人くらい。その後も3~5人とけっこうな盛況。
絶景露天はどこも人気がありますね。

木樋の湯口から適温のお湯の投入&側面注入で左手側溝への上面排湯。
なんとなくかけ流しではないような感じがしましたが、お湯の鮮度はかなりのもの。


【写真 上(左)】 浴槽&景色
【写真 下(右)】 浴槽

ややぬるめのお湯は、うすく翠がかって白と灰色の浮遊物がただよいます。
湯中の指先がよわいながら青白く発光しているので、微量ながら硫酸塩も存在を主張しているかと思います。

明瞭な重曹味+収斂渋味+α。セメント臭+シャープな樹脂臭+渋っぽい臭いのうらでかくし味のように効いているほのかなイオウ臭が渋い。
成分の複雑さを感じさせる、複雑かつデリケートな味臭です。

はっきりとしたツルすべととろみ、やたらにあとを曳きまくる浴感は重曹泉特有のもの。
ぬる湯ということもあって出るに出られず、長湯モード全開。で、浴槽はたいてい混んでいます。
浴後の爽快感は、F^-=10.3mg/kgのしわざかと思います。

お湯のイメージは、南アルプスをはさんで反対側の雨畑湖温泉「VILLA雨畑」(ここもよい!)に似たものを感じました。

モロに好みのお湯で満足。絶景を差し引いても充分にいいお湯です。
鹿塩とはぜんぜんキャラのちがう(対照的な泉質だと思う)お湯は、鹿塩とはまったくちがう湯脈のお湯なのだと思います。
絶景露天だし、お湯は個性的だし、ゲキ混みしていなければすばらしい湯あみが楽しめるおすすめ湯です。

Na-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉 18.3℃、pH=8.4、湧出量不明掘削揚湯、成分総計=1996mg/kg、Na^+=618.1mg/kg (95.72mval%)、Fe^2+=0.7、F^-=10.3、Cl^-=593.2 (59.31)、HS^-=0.3、SO_4^2-=1.2、HCO_3^-=664.5 (38.60)、メタほう酸=56.8、硫化水素=0.01 <H17.4.12分析> (源泉名:大河原三正坊)

↓の地図では、小渋川のさらに上流、大河原あたりに”小渋温泉”とありますが、そこから引湯しているのかもしれません。

〔後日追補〕
手持ちのふるい資料によると、
大河原の”小渋温泉”は旧源泉のあったところで、以前はここにも湯宿があった。
昭和45年湯量UPのためにボーリングを実施、大量の湯が出たので、それを約7km下流の現「赤石荘」に引湯することになったとの由。

〔 2009/12/19 (2009/11入湯) 〕


E138.3.46.074N35.32.25.313
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■ 下諏訪温泉 「高浜温泉旅館」 〔 Pick Up温泉 〕



<下諏訪温泉 「高浜温泉旅館」>
(長野県諏訪郡下諏訪町高浜6335、(10:00~15:00、500円/「諏訪湖パスポート」)、0266-27-6543)
紹介ページ (るるぶ.com)

下諏訪温泉には、主力源泉「旦過の湯」「綿の湯」のほかにもいくつかの泉源があります。(諏訪の温泉はたいてい集中管理されていて、配湯施設ないしは源泉を「源湯」とよぶ。)

高浜源湯もそのひとつで、外来客の入れる施設では、おそらく「高浜温泉旅館」でしかつかわれていません。
いちどTELでトライするも「いまは日帰りのみの入浴はやっていない。」とのことで、あきらめていたところ、なんと2009年の「諏訪湖パスポート」(諏訪市観光課発行/2009/4/1~2010/3/31有効・無料配布)に日帰り入浴施設としてエントリーされていたので、すかさず突入。

下諏訪市街の東のはずれ、高浜公園のよこに赤屋根が連なる構えはなかなか絵になります。
帳場で受付、以前TELであっさり断られたので「高ピーな対応か?」と思いきや、ご主人、女将さんともに親切そうな方でした。


【写真 上(左)】 お約束の卓球台
【写真 下(右)】 浴場入口

古びてはいるもののきっちりと清掃された館内。
増築を重ねたのか、予想以上に懐のふかいお宿で、廊下や小階段をたどっての迷路的アプローチを女将さんが案内してくれました。(帰りに迷った・・・(笑))
最後の階段をのぼると浴場入口、手前が女湯、おくが男湯。
階段を脱衣所にくだっていく雰囲気はなかなかのもの。
浴場は内湯と露天で、細長い脱衣所から両方の浴場に行けます。


【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 女湯

内湯は石枠タイル貼7-8人の浴槽ひとつとすっきりシンプル。
浴槽の奥は岩肌、チープな建材とがっしりとした木の梁がアンバランスで不思議な雰囲気の浴室で、湯気の抜けはよくこもりはありません。


【写真 上(左)】 女湯の露天
【写真 下(右)】 男湯

熱湯源泉をパイプから10L/minほどいったん湯つぼに注ぎ込み、岩から突き出たパイプ湯口を介して投入。
湯口まわりは石膏の析出だらけ。
槽内注排湯はなく、お湯の感じからしてもかけ流しかと思います。
オーバーフロー量はさほどではないものの、身をしずめるとさわさわとあふれだし、気持ちいいことこのうえありません。


【写真 上(左)】 男湯の露天
【写真 下(右)】 かなりザコザコ

扉のむこうに露天。
まわりを塀にかこまれていますが、屋根がないので開放感ばっちり。
職人芸を感じさせる見事なタイルの内床に6-7くらい石枠タイル貼浴槽を配置。
湯底の穴から気泡とともにお湯を注入し、全量をオーバーフローのかけ流し。

カラン内湯に2、露天に4の計6。シャンプーあり。シャワー・ドライヤーなし。
メモしわすれましたが、たしかカランも温泉だったような記憶が・・・。
休日14時で男女湯とも独占。


【写真 上(左)】 男湯の湯口
【写真 下(右)】 女湯の湯口

お湯は内湯と露天でかなりちがいます。
内湯のお湯はやや熱め、ほぼ無色でわずかに懸濁し、うす茶の湯の花を大量に浮かべています。
しっかりとした硫酸塩泉らしく、湯中の指先がかなりつよく青白発光しています。
よわい芒硝味+微苦味。芒硝臭が明瞭で浴室にもほっこりとこもっていて、硫酸塩泉好きはトリップするかも・・・(^^)

キシキシとヌルすべととろみがいりまじる、いかにも硫酸塩泉的な湯ざわりと、あと曳き感をあわせもつ奥のふかいお湯です。
あたたまりがすこぶるつよく、何度も水浴びで冷ましながらの入浴。

硫酸塩泉として文句のつけようがなく、これは諏訪でも屈指の名湯かと思います。

露天のお湯は絶妙のぬる湯。おだやかな味臭はあるものの、内湯よりはるかに軽いお湯で、すこぶる入りごこちのいいもの。ただならぬお湯の軽さは湯温のちがいだけとは思えず、なんとなくかわった感じのお湯のように感じました。

分析書は2源泉掲げられ、帰りしなに尋ねたところ、やはり高温と低温の2本の源泉をつかっているらしく、内湯は高温泉、露天は低温泉がメインになっているのかと思います。

しぶ~い浴場で、趣きのちがう佳湯をじっくりと味わえるおすすめの1湯で、諏訪湖パスポ終了後も、日帰り受け入れを続けてほしいと思いました。

Na-硫酸塩・塩化物温泉 59.5℃、pH=8.5、湧出量不明、成分総計=1037.4mg/kg、Na^+=289.4mg/kg (82.50mval%)、Ca^2+=44.8 (14.68)、F^-=2.2、Cl^-=224.3 (44.52)、SO_4^2-=331.8 (48.59)、HCO_3^-=18.1、メタけい酸=77.8、メタほう酸=16.8 <H16.2.19分析> (源泉名:高浜受湯槽)

規定泉(メタけい酸)(Na・Ca-HCO3・Cl型) 23.7℃、pH=7.2、湧出量不明、溶存成分総量=275.5mg/kg、Na^+=27.0mg/kg (47.96mval%)、Ca^2+=17.0 (34.64)、Cl^-=23.0 (24.85)、NO_3^-=13.0 (8.03)、HS^-=0.5、SO_4^2-=11.0、HCO_3^-=92.0 (57.75)、メタけい酸=80.6 <H17.7.4分析> (源泉名:高浜低温)

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 貯湯槽経由で給湯かけ流し 消毒剤使用:なし

〔 2009/12/19 (2009/05入湯) 〕


E138.6.2.525N36.3.54.613
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