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関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
戸倉・片品エリアの源泉
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【 戸倉・片品エリアの源泉 】
ついでなので、ナゾの多い?戸倉・片品エリアの源泉について整理してみます。
〔 戸倉温泉 〕
takayamaさんの「群馬の温泉ページ」に掲載されている県薬務課作成の温泉統計(平成11年度温泉利用状況)によると、戸倉温泉で源泉総数3(内 利用源泉3)となっています。
また、「片品川上流域の温泉」(群馬県衛生環境研究所 酒井幸子、小島一郎 1992、以降「文献1」)によると、戸倉温泉として「水芭蕉の湯」、「尾瀬の湯」、「小梅の湯」の3源泉が揚げられています。
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【写真 上(左)】 尾瀬戸倉温泉街と富士見旅館の日帰り看板
【写真 下(右)】 休館中の「尾瀬温泉センター」
現在休業となっている「尾瀬温泉センター」は、「小梅の湯」、または「小梅の湯」と「水芭蕉の湯」の混合泉使用だったとの情報があります。
これまで入った戸倉のお湯(マルイ旅館、旅館みゆき、かもしか村、ふきあげ)および今回の「尾瀬ぷらり館」はいずれも”戸倉の湯”という源泉名で、温泉台帳や文献1と一致しません。
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【写真 上(左)】 かもしか村
【写真 下(右)】 旅館 みゆき
ちなみに、文献1に記載されている源泉スペックは下記のとおり。
<水芭蕉の湯>(1990.12.6)
pH=10.0、蒸発残留物=0.22g/L、Na^+=58.2mg/L、Ca^2+=2.8、F^-=3.0、Cl^-=18.9、SO_4^2-=51.8、HCO_3^-=67.1、メタけい酸=69.6、メタほう酸=3.3
<尾瀬の湯>(1990.12.6)
pH=10.3、蒸発残留物=0.24g/L、Na^+=62.3mg/L、Ca^2+=3.2、F^-=2.0、Cl^-=18.6、SO_4^2-=65.0、HCO_3^-=67.1、メタけい酸=61.2、メタほう酸=4.0
<小梅の湯>(1988.10.13)
pH=9.3、蒸発残留物=0.12g/L、Na^+=19.0mg/L、Ca^2+=8.4、F^-=0.78、Cl^-=6.9、SO_4^2-=32.7、HCO_3^-=51.9、メタけい酸=37.3、メタほう酸=1.1
これに対して「尾瀬ぷらり館」掲示分析書(源泉名:戸倉の湯)は
アルカリ性単純硫黄温泉 43.8℃、pH=9.82、湧出量不明、成分総計=0.29g/kg、蒸発残留物=0.28g/kg、Na^+=81.4mg/kg、Ca^2+=2.69、F^-=2.9、Cl^-=35.3、SO_4^2-=64.4、HCO_3^-=0、CO_3^2-=30.3、HS^-=2.3、陽イオン計=85.1、陰イオン計=141、メタけい酸=59.8 <H12.1.26分析> (源泉名:戸倉の湯)
「かもしか村」掲示分析書(源泉名:未定)は
アルカリ性単純硫黄温泉(Na-SO4・(CO3)・Cl型) 43.8℃、pH=9.6、304L/min動力揚湯、成分総計=0.29g/kg、蒸発残留物=0.28g/kg、Na^+=81.4mg/kg (95.55mval%)、Ca^2+=2.69、F^-=2.9、Cl^-=35.3 (26.37)、SO_4^2-=64.4 (35.54)、HCO_3^-=0.0、CO_3^2-=30.3 (26.74)、HS^-=2.3、陽イオン計=85.1 (3.71mval)、陰イオン計=141 (3.77mval)、メタけい酸=59.8、硫化水素=0.0 <H12.1.26分析> (源泉名:未定)
また、戸倉の多くの施設で掲示されているmval%値記載のみの分析書は、
アルカリ性単純硫黄温泉(Na-SO4・(CO3)・Cl型) 泉温・pH・成分総計不明、Na^+=95.55mval%、Cl^-=26.37、SO_4^2-=35.54、HCO_3^-=0.00、CO_3^2-=26.74、HS^-=1.82 <H12.12.15分析>
それぞれ微妙にちがうものの、ほぼ同一です。
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【写真 上(左)】 ふきあげ
【写真 下(右)】 片品村の浴室の特徴「尾瀬の花のタイル絵」
結局のところ、”戸倉の湯”というのは、「水芭蕉の湯」、「尾瀬の湯」、「小梅の湯」3源泉の混合泉の愛称で、そうなると「尾瀬ぷらり館」も含め、多くの(すべての?)温泉施設が混合泉使用ということで決着がつきます。
「尾瀬ぷらり館」スタッフの方との話しの内容からもそんな感じがしたし、3源泉の混合比は状況によって変えているらしい。
これで、これまで入った戸倉のお湯の微妙な浴感のちがいも説明がつきます。
でもって、湯めぐりマニアは、泉源にちかく源泉かけ流しの「尾瀬ぷらり館」ひとつ入って、尾瀬戸倉温泉一丁あがりということになります。さてさて、どうでしょうか。
〔 片品温泉 〕
戸倉とちがって、片品エリアには自家源泉のお宿がけっこうあって、バラエティに富んでいます。
ふつう、土出(つちいで)地区にあるものは”土出温泉”とよばれ、越本地区のものが”片品温泉”とよばれているようです。
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【写真 上(左)】 片品温泉街
【写真 下(右)】 旅館 美里
takayamaさんの「群馬の温泉ページ」に掲載されている県薬務課作成の温泉統計(平成11年度温泉利用状況)によると、片品温泉で源泉総数9(内 利用源泉9)となっています。
また、文献1によると、片品温泉として「新井の湯」「萩の湯1号」「萩の湯2号」「市山の湯」「釈迦の湯」「釈迦の湯2号井」「閑野湯」の7源泉が揚げられています。
整理してみると、
■新井の湯 「千代田館」(日帰り可、入湯済)、「ホテル尾瀬」(日帰り可、未湯)
■萩の湯1号 利用施設不明
■萩の湯2号 「こしもと旅館」(日帰り可?、入湯済)
■市山の湯(土出) 「尾瀬岩鞍リゾートホテル」(日帰り可、入湯済)
■釈迦の湯(1号) 「水芭蕉の宿 ひがし」(日帰り可、入湯済)、「東明荘」(未湯)、「ペンションZAKOJI」(未湯)
■釈迦の湯2号 「みよしの旅館」(日帰り可、入湯済)、「うめや」(日帰り可、入湯済)
■閑野湯(土出) 「旅館 美里」(日帰り可、入湯済)、「旅館 こばやし」(日帰り可?、未湯)
ここまでの7源泉は文献1と合致します。
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【写真 上(左)】 尾瀬岩鞍リゾートホテル
【写真 下(右)】 千代田館
温泉台帳からするとあと2源泉ですが、
確実に自家源泉なのは
■ホテルしおじり源泉 「ホテルしおじり源泉」(日帰り可、入湯済)、「かねよ志」(日帰り可、入湯済)
つぎに自家源泉っぽいのが
■すわや源泉 「旅館すわや」(廃業)
以上で9源泉で温泉台帳に合致。
このほか、やませみさんに提供いただいた資料にあるのが
■辰巳源泉(越本) 「辰巳屋旅館」?(日帰り可?、未湯)
■天狗の湯(越本) 利用施設不明
とまあ、ここまで解明するのに、何回片品村まで通ったことか・・・(^^)
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【写真 上(左)】 しおじり
【写真 下(右)】 こしもと旅館
ところで、片品村&片品村観光協会が出した「温泉・宿泊ガイド」で日帰り可となっているお宿はこんなにあります。
〔戸倉〕
マルイ旅館、旅館金龍、温泉やど四季亭、玉泉、ホテル玉城屋、尾瀬の宿いさ、山の鼻荘、ロッヂまつうら、龍宮旅館、平人旅館、戸倉旅館、旅館わかば、ふきあげ、ペンションゆきみち、ふじや旅館、若松旅館、旅館山びこ、シャレーおぜとくら(かもしか村)、旅館みゆき
〔片品〕
うめや、尾瀬岩鞍リゾートホテル、旅館みさわ、旅館すわや、旅館みよしの、民宿清涼館、旅館あたご、尾瀬かんの、しおじり、尾瀬山どん、旅館尾瀬の里、辰巳屋旅館
「うひょ~、源泉いっぱいあるし、これは稼げそうじゃ」と千湯系温泉マニアは思うでしょう。
じゃが、そんなに甘くはない。これまで、歴戦のなかで日帰り突入撃沈ロストしたのが赤字のお宿(^^;)です。
まずは、どの宿がどの源泉をつかっているかという情報が、一部の宿をのぞいてほとんどありません。
それに、吾妻や北毛のようにわざわざ温泉に入りにくる人もすくなく、受け手側もあまり期待(というか想定)していない感じ・・・。
春~秋にいくと、昼間はお湯を入れていないことが多いし、それ以前に呼べど叫べど誰も出てこない、TELしても誰もでない。
オン・シーズンの冬場なら人もいるだろうと思って攻めると、こんどはテンパってて、とても日帰り受け入れどころじゃない状態になってる(笑)
たとえば、「富士見旅館」(戸倉)のように、「入浴1人500円」と国道沿いにデカデカと看板出しておきながら、いざ行ってみると、まだ午前中なのに「スキーのお客さんがそろそろ帰ってくるから・・・(お湯は張られていたみたい)」とあっさり断られたりします。
たぶん群馬のなかではもっとも湯めぐり難易度が高いエリアかと・・・。
これにくらべると、丸沼、白根、鎌田、花咲あたりは日帰り施設もあるし、お宿も日帰り受け入れに積極的なので、ぜんぜん楽になります。
そのなかでわりに積極的なのが、
戸倉では「かもしか村」と「マルイ旅館」。
片品・土出では、「千代田館」「うめや」「尾瀬岩鞍リゾートホテル」で、今回これに「尾瀬ぷらり館」が加わったことになります。
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