goo

■ 野栗沢温泉 「すりばち荘」 〔 Pick Up温泉 〕



<野栗沢温泉「すりばち荘」> (群馬県上野村野栗沢乙506、11:00~20:00(時間確認要)、500円、027-459-2161)
オフィシャルHP
紹介ページ (求人ジャーナル社「群馬の温泉宿」)

利根川支流、神流(かんな)川流域は”多野エリア”とよばれ、その最奥にあるのが上野村です。
奥多野の名山、天丸山の山麓にある野栗沢温泉は、とても行きにくいところにあるので入湯が遅れていました。
これは2006年4月に、上野村の温泉4湯を一気に攻めたときのレポです。

奥多野のメインルートR299の向屋地区から野栗沢沿いに分岐する山道を数km走ると到着。
下流の鬼石方面から入るとやたら長いので、下仁田IC経由で平成16年3月開通した湯の沢トンネルを通って、上流からアプローチしたほうがぜんぜん楽です。


【写真 上(左)】 看板
【写真 下(右)】 旧館?の看板

野栗沢沿いにあるしずかな一軒宿。
周辺には西毛らしい南画風の岩山がそびえています。
訪れたときは人気がなく、何度も声をかけていたらしばらくすると2階から宿の人がおりてきました。


【写真 上(左)】 フロント
【写真 下(右)】 浴場入口

浴場は廊下の奥、右手が男湯、左手が女湯でした。
総木づくりの山の宿らしい脱衣所。


【写真 上(左)】 脱衣所から浴室
【写真 下(右)】 浴室からの眺め

浴場はやや暗めですが、窓の外に野栗沢が流れるなかなかのロケ。
天井の高い湯屋づくりのなかなか風格ある浴室です。
左手に4人ほどの檜づくりのメイン浴槽とそのよこに1人用の檜づくりの源泉水風呂。
源泉水風呂は非加温の源泉槽らしいですが、このときは底にすこし溜まっていただけで入浴できず無念。


【写真 上(左)】 天井の高い湯屋
【写真 下(右)】 浴槽-1

メイン浴槽は木樋の湯口から30L/minほどを投入で、底面吸湯ありオーバーフローなしの循環仕様。
カラン4、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜16時で独占。


【写真 上(左)】 浴槽-2
【写真 下(右)】 湯口

やや熱めのお湯はきもち黄色がかった透明で、茶色の浮遊物がたくさん。
ほぼ無臭で微塩味+僅微重曹味。
浴中はよわい重曹泉系のツルすべがあり、浴後はすべすべ感となにか粉っぽいような感触が同居する面白い浴後感のお湯です。
浴感はたしかにありましたが、総計=6.87g/kgほどの濃度は感じられなかったので、やはり掲示どおり加水があると思います。
カルキが感じられないのは銀イオン殺菌のせい?


【写真 上(左)】 源泉水風呂-1
【写真 下(右)】 源泉水風呂-2

源泉水風呂の底に溜まっていた水はさすがに味見できませんでしたが、えらく冷たい透明の水からは、西上州のお湯特有のセメント臭&磯の香がはっきりとただよい、ツルすべもあってそうとうに濃そう。
イメージ的には八塩磯部にちかい泉質だと思います。


【写真 上(左)】 浴槽の湯色
【写真 下(右)】 源泉?で変色した岩肌

帰りしな、泉源の場所、源泉槽に入れるタイミングや”アオバト”について話しを伺おうと思っていましたが、ちょうどハイカーの団体チェックインで番頭さんはてんやわんや。
確認できずに宿をあとにしました。
周辺を走っていると何ケ所かの岩肌が黄茶色に変色していたので、ここらへんは源泉湧出地帯なのかもしれません。

メイン浴槽はいまいちインパクトがありませんでしたが、源泉水風呂はそうとうによさげなので、こんどは源泉水風に入れるときに攻めてみたいです。

〔アオバト〕
本来は海岸でみられる全身緑色をしためずらしい渡り鳥ですが、野栗沢温泉の泉源地にも訪れるそうです。
オフィシャルHPには『群馬県多野郡上野村の野栗沢の谷底にある水場に「アオバト」が吸水に訪れます。8月初旬には80羽の群れを観察した方もいるそうです。この場所はすりばち荘の温泉の源泉になっております。野栗沢温泉は「子宝の湯」「神水湯」などと言われ、効能の高い温泉です。このように湧出地に集まるアオバトが、野栗温泉の高いミネラルを証明していると言えます。』とあり、宿の名物となっています。

〔名物〕
この宿は名物料理で有名。
上野村特産のイノブタ肉を温泉に浸した「イノブタ鍋」や「イワナの刺身」、地粉を温泉でこねあげご主人が手打ちする「温泉うどん」、温泉でさらしたニンニクを使った「自家製からみそ」など、もりだくさん。

Na-塩化物温泉 21.9℃、pH=6.8、湧出量不明、成分総計=6.87g/kg、Na^+=1900、Mg^2+=63.3、Ca^2+=272、Fe^2+=0.07、Cl^-=2970、SO_4^2-=17.3、HCO_3^-=1120、陽イオン計=2350、陰イオン計=4110、メタほう酸=137、遊離炭酸=247 <H7.11.16分析> (源泉名:子宝の湯)

<温泉利用掲示> 加水:あり 加温:あり 循環濾過装置使用:あり 塩素薬剤及び銀イオン殺菌装置使用:あり
「水風呂は源泉です飲用できます。」(館内掲示より)

〔 2009年8月15日UP (2006年4月入湯) 〕



〔参考〕<上野村の温泉>



西上州も奥まった上野村は、周囲を山々に囲まれた自然ゆたかなところです。
以前はどこから入るにも厄介なアプローチでしたが、平成16年3月、下仁田から入る湯の沢トンネルが開通し、下仁田ICから約30分と便利になりました。
ハイキングコースや滝、関東一の規模を誇る鍾乳洞「不二洞」など見どころも多く、まいたけにしいたけ、十石みそ、いのぶたなど特産品もたくさん。


【写真 上(左)】 黒瀧山不動寺
【写真 下(右)】 上野村の山々

また、下仁田からの途中、南牧(なんもく)村には普茶料理で有名な黄檗宗の名刹、黒瀧山不動寺もあります。
エリア的にはうどん文化圏ですが地粉蕎麦もあって、道の駅の前にある「福寿庵本店」の蕎麦はかなりのレベルでした。


【写真 上(左)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-1
【写真 下(右)】 伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」-2

上野村には現在4つの温泉入浴施設があります。(かつては伝説の名湯、浜平温泉「奥多野館」がありましたが、いまは休業しているようです。」)

1.塩ノ沢温泉「国民宿舎 やまびこ荘」
(上野村楢原塩ノ沢887/TEL0274-59-2027、日帰り入浴12:00~17:00 火休 600円)
含鉄-二酸化炭素-Na-塩化物・炭酸水素冷鉱泉 11.6℃、pH=6.2、成分総計=10.81g/kg


【写真 上(左)】 「国民宿舎 やまびこ荘」の外観
【写真 下(右)】 「国民宿舎 やまびこ荘」の内湯

2.向屋温泉「ヴィラせせらぎ」
(上野村大字勝山684-1/TEL0274-59-2585、日帰り入浴12:00~20:00(月・木は15:00~)、600円)
Na-塩化物冷鉱泉 15.2℃、pH=10.4、成分総計=1.70g/kg


【写真 上(左)】 「ヴィラせせらぎ」の外観
【写真 下(右)】 「ヴィラせせらぎ」の露天

3.野栗沢温泉「民宿 すりばち荘」
(上野村大字野栗沢506/TEL0274-59-2161、日帰り入浴12:00~20:00頃 不定休 500円)
Na-塩化物冷鉱泉 21.9℃、pH=6.8、成分総計=6.87g/kg


【写真 上(左)】 「民宿 すりばち荘」の外観
【写真 下(右)】 「民宿 すりばち荘」の浴槽

4.浜平温泉(浜平の湯・湯ノ沢の湯)「しおじの湯」
(上野村楢原3487-2/TEL0274-59-3955、日帰り入浴10:00~21:00(冬季~18:00) 第2・4火休 500円)
規定泉(メタけい酸)(Ca・Mg-SO4型) 11.6℃、pH=4.1、成分総計=0.52g/kg


【写真 上(左)】 「しおじの湯」の外観
【写真 下(右)】 新設された浜平源泉槽


いずれも冷鉱泉ながら、いかにも西上州らしいクセもの系のお湯です。
ただ、温泉利用掲示は4軒とも、加水(1.4はなし)、加温、濾過循環、殺菌処理ありでした。4はスペック以上の浴感がありましたが、他の3湯はスペックほどの浴感は感じられず。

個人的感想ですがお湯的には、
浜平 > 塩ノ沢 > 野栗沢 > 向屋 かな
ただし、野栗沢の源泉槽に入れるときは(底に少したまっていた源泉?はよさげだった)、
浜平 = 野栗沢 > 塩ノ沢 > 向屋 になるかも・・・

午後からのお湯があるので、4湯一気に制覇するにはくふうがいります。
下仁田から入り、鬼石(or秩父)へ抜けるルートだと
浜平 →(昼食)→ 塩ノ沢 → 向屋 → 野栗沢 の順かな
ただ、これだと浜平-塩ノ沢の往復が余計になるのと最後にまた浜平に入りたくなる(笑)のが難点です。鬼石ルートなら、白寿の湯で仕上げるのもいいかも。

帰路ですが、下仁田に戻るのがいちばん楽。つぎが志賀坂峠を越えて秩父に抜けるルート。鬼石~本庄のルートは道幅狭くカーブの多い道が延々とつづくので、運転に不慣れな方にはあまりおすすめできません。

上野村では「しおじの湯」の開設にあわせ湯巡りスタンプラリーが導入されていますが、温泉で村おこしするなら、もう少し湯づかいを改善してほしいところ。(現在はもっとよくなっているかもしれません。)

いまいち地味で温泉好きのあいだでもなかなか話題にならないエリアですが、ひとつの村でこれだけバラエティあるお湯を揃えているところはめずらしく、各施設が非加水源泉槽をととのえれば、温泉好きにはたまらないエリアになるのでは?
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ■ 寺山鉱泉 〔... ■ 湯王温泉 「... »