Merry Christmas Ⅲ
この話は、最も新しい、
去年と、今年のクリスマスの話になる。
昨年、一人の女性と知り合った。
病気がちの主婦さんだが、
娘さんのために、身体を張ってパートに出ている。
家庭の状況が思わしくなく、
彼女は、娘さんのために働き、
娘さんを守っていくことで必死。
しかし、真面目でしっかりした彼女には、
私も励まされ、また癒されてきた。
真の友達と呼べる人でもある。
娘さんの名は、Tちゃん。 小学4年生。
とても明るい、ハキハキした子だ。
私は、一度も会ったことがないのだが、
よく電話口で、元気な声が聞こえてくる。
一度、電話に出た時、
『こんにちはー!』と、大きな声で挨拶をしてきた。
彼女とともに、
この娘さんも、私にとっては元気の素である。
昨年のクリスマス。
彼女は、『Tには今年、何もプレゼントできない』
と、寂しそうに言った。
彼女の、去年の家計は苦しかったのだ。
しかし私は、小学生の子供には、
せめて、クリスマスを楽しんでほしいと思った。
プレゼントという、物だけが全てではないけれど、
イヴの夜、夢は見させてあげたいと思ったのである。
私は、
Tちゃんが好きな、キティちゃんのぬいぐるみと、
綺麗なチョコレートを買い、
クリスマスの前日、彼女に渡した。
彼女は、とてもクールな性格だ。
変に有難がることなく、
変に遠慮することなく、
『ありがとうございます』と言って、静かに受け取った。
彼女は、イヴの夜Tちゃんに、
『靴下ぶら下げときなさい』と言った。
Tちゃんは喜んで、枕元に下げた。
深夜、彼女は私があげたぬいぐるみとチョコを、
そっと靴下の中に入れた。
翌朝彼女は、
Tちゃんの、「わぁーっ」という歓声で目が覚めた。
そして、
「お母さん、サンタが来たよ」と嬉しそうに伝えたという。
彼女は、『良かったね』と答えた。
いや、それしか答えられなかった。
夜、メールが届いた。
『昨日はありがとうございました。
Tは、朝からキティちゃんを離しません。
私もチョコレート、一緒に戴きました。
Tの前で、泣きながら食べました・・』
私は、メールを読んで、
(私のした事は、正しかったのかな・・)と思った。
同情したつもりではなかったが、
出しゃばったかな・・という思いを持った。
しかし、メールの最後にあった。
『カノンさん・・本当にありがとう。
来年は私、頑張ります。
Tのために、来年はいいサンタになります・・』
そして今年。
彼女は、毎日のようにパートに出て働き、
Tちゃんのために、とにかく頑張った。
家計が苦しいのは、変わらない。
しかし彼女には、去年なかった明るい表情があった。
そして、先日言った。
『今年のクリスマスは、何か買ってあげます。
去年の、Tの嬉しそうな顔が忘れられなくて・・』
今年のTちゃんのサンタクロースは、
Tちゃんの一番近くにいる人である。
24日の夜、
今年は彼女も、去年と同じ言葉を、
まったく違った思いで言うだろう。
『靴下ぶら下げときなさい』と・・。
この話は、最も新しい、
去年と、今年のクリスマスの話になる。
昨年、一人の女性と知り合った。
病気がちの主婦さんだが、
娘さんのために、身体を張ってパートに出ている。
家庭の状況が思わしくなく、
彼女は、娘さんのために働き、
娘さんを守っていくことで必死。
しかし、真面目でしっかりした彼女には、
私も励まされ、また癒されてきた。
真の友達と呼べる人でもある。
娘さんの名は、Tちゃん。 小学4年生。
とても明るい、ハキハキした子だ。
私は、一度も会ったことがないのだが、
よく電話口で、元気な声が聞こえてくる。
一度、電話に出た時、
『こんにちはー!』と、大きな声で挨拶をしてきた。
彼女とともに、
この娘さんも、私にとっては元気の素である。
昨年のクリスマス。
彼女は、『Tには今年、何もプレゼントできない』
と、寂しそうに言った。
彼女の、去年の家計は苦しかったのだ。
しかし私は、小学生の子供には、
せめて、クリスマスを楽しんでほしいと思った。
プレゼントという、物だけが全てではないけれど、
イヴの夜、夢は見させてあげたいと思ったのである。
私は、
Tちゃんが好きな、キティちゃんのぬいぐるみと、
綺麗なチョコレートを買い、
クリスマスの前日、彼女に渡した。
彼女は、とてもクールな性格だ。
変に有難がることなく、
変に遠慮することなく、
『ありがとうございます』と言って、静かに受け取った。
彼女は、イヴの夜Tちゃんに、
『靴下ぶら下げときなさい』と言った。
Tちゃんは喜んで、枕元に下げた。
深夜、彼女は私があげたぬいぐるみとチョコを、
そっと靴下の中に入れた。
翌朝彼女は、
Tちゃんの、「わぁーっ」という歓声で目が覚めた。
そして、
「お母さん、サンタが来たよ」と嬉しそうに伝えたという。
彼女は、『良かったね』と答えた。
いや、それしか答えられなかった。
夜、メールが届いた。
『昨日はありがとうございました。
Tは、朝からキティちゃんを離しません。
私もチョコレート、一緒に戴きました。
Tの前で、泣きながら食べました・・』
私は、メールを読んで、
(私のした事は、正しかったのかな・・)と思った。
同情したつもりではなかったが、
出しゃばったかな・・という思いを持った。
しかし、メールの最後にあった。
『カノンさん・・本当にありがとう。
来年は私、頑張ります。
Tのために、来年はいいサンタになります・・』
そして今年。
彼女は、毎日のようにパートに出て働き、
Tちゃんのために、とにかく頑張った。
家計が苦しいのは、変わらない。
しかし彼女には、去年なかった明るい表情があった。
そして、先日言った。
『今年のクリスマスは、何か買ってあげます。
去年の、Tの嬉しそうな顔が忘れられなくて・・』
今年のTちゃんのサンタクロースは、
Tちゃんの一番近くにいる人である。
24日の夜、
今年は彼女も、去年と同じ言葉を、
まったく違った思いで言うだろう。
『靴下ぶら下げときなさい』と・・。