AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

マンガで読む『パノラマ島綺譚』

2009年01月17日 | 二酸化マンガ
とうとう丸尾末広作品に手を出してしまった・・・


いやいや、以前からなんとなくその画風には惹かれてはいたけれど、目ん玉ペロペロな丸尾末広の超エログロ世界に足を踏み入れようなどという勇気はこれまで全くなかったんですが、江戸川乱歩の名著『パノラマ島綺譚』を彼のエログロセンスな画力でもってして完全リメイクしたとなりゃあ、買うなという方が無理というものです。

乱歩の世界をロックで表現するに一番相応しいバンドが人間椅子であるように、乱歩の怪奇幻想世界を漫画でヴィジュアル化するにあたって、丸尾末広ほど相応しい描き手はいないということなど、彼の作品を読んだことのない私でもわかることですから。




いやしかし、想像通りだったとはいえ、丸尾ワールドは凄まじいなぁ~
乱歩が想い描いていたであろう、目くるめくパノラマ世界が、その圧倒的な迫力でもって読み手に迫ってきます。
本作はもちろん丸尾氏の独創性がフンダンに盛り込まれてはおりますが、ストーリーそのものは原作にかなり忠実に描かれていて(といっても原作は十代の頃に2回ほど読んだっていうくらいずいぶん昔のことだけど・・・)、本来の丸尾作品に比べるとエログロはかなり抑え気味なんじゃないだろうか。
なんせウブなこの私が最後まで読みきれたくらいですから。


大正から昭和に移り変わる時代背景などが本当に木目細かく描かれていて、さり気に背景を彩る看板の字体とか、屏風に描かれているふた口女やお歯黒べったりとかの猟奇絵など、視覚的にもの凄く刺激的でエログロ楽しい。
パノラマ島では、現代の水族館顔負けの海底トンネルとか、ヒエロニムス・ボッシュ画の『快楽の園』そっくりの景色が(さり気に)出てきたりと、遊び心が利いていて楽しいことこの上ないんです。
まぁ一種のエログロヴィジュアルアート本といってもいいでしょう。




もし、ひょんなことから一生かかっても使い切れないぐらいの巨万の富を得たなら、ひと島買い取って自分が子供のころから思い描いていたユートピアを作ってみたい・・・
誰でもそういった妄想にかられたことが一度はあるかと思います。

それを欲望のなすがまま「ははははは」とやっちゃうのがこの物語の主人公なのですが、その幻想世界を圧倒的な表現力でもって想うがまま小説化したのが江戸川乱歩であり、またそれを漫画でやりたい放題エログロにビジュアル化したのが丸尾広末であり、それを購入して怪奇趣味のコレクション棚に加えて、ひとり「ケヘヘ・・・」とほくそ笑んでいるのがこの私です。




今日の1曲:『パノラマ島へ帰る』/ 筋肉少女帯
コメント
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