AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

テクノポップ解脱

2022年10月01日 | まったり邦楽
今現在、Perfumeは『PLASMA Tour』の真っ最中で、西日本を巡ってもう折り返し地点なのかな?
そんな折、今年7月に発売された約4年ぶりのニューアルバム『PLASMA 』について今頃レビューしていこうかと。


それにしても、大ブレイクしてから14年、いや15年か?こんな息の長いガールズユニットもなかなかいないんじゃないか?
彼女たちももう三十云歳。私がPerfumeを初めて聴いた頃の齢になっちゃってるじゃないか!
彼女たちは一体、どこまで走り続けるつもりなのか?




今ではPerfumeをアイドルとするのは間違いかもしれないが、少なくとも出だしはアイドルとしてのユニットだった。
今でも続いてる集団的アイドルにしろ、少人数アイドルにしろ(アイドルバンドでもいい)、オリジナルメンバーのままであるグループってのはほとんどいないどころか、オリジナルメンバーがひとりも残ってないっていう、いわゆるナパーム・デス状態のグループもあるわけで。
ある程度資金がたまって、本人が「やりたいことがあるから」といって卒業という名の離脱が繰り返される。あるいは寿脱退。その後、ソロ歌手、役者ってのがだいたいのパターン。ていうか、これはもうシステムである。
元々事務所の方針で集められたタレントユニットなので、いつまでも言われるがままやりたくないことをやってられないってのがあるのだろう。
まぁ色々な縛りから「解放されたい!」ってのがデカいと思う。

Perfumeは当時事務所の社長からよく「君たちはキャンディーズのようだ」と言われたそうだが、それは3人組ってだけで全然見当がハズれていたように思う。
だって彼女たちはいまだ、「普通の女の子に戻る」気などさらさらないのだから。
事務所側が辞めさせないのではなく、彼女たち本人がPerfumeを辞められないのだ。
そう、彼女たちがやりたいことってのは、やっぱりPerfumeなのだ。


まぁ個人的に最近ではかつてと比べてだいぶPerfume熱が冷めてきてるとはいえ、今回の作品もネットで予約してキッチリ発売日に入手。
ただ、今回は珍しく通常盤。いや、もうYOUTUBEでも観られるMVが収録されてるだけの特典DVDはいらんかなって。だいたい一度観て聴いて終わりやし。
ジャケットも通常盤が一番マシだった。


冒頭のタイトルイントロダクション「PLASMA」は、聴き手に程よい緊張感をもたらす効果抜群のプロローグチューン。
そして、間髪入れずに始まる「Time Warp」は絶妙な流れではあるんだが、この曲はシングルで出た当初からあまり馴染めず(キーの高い歌がどうもダメ)。
その後、まぁいつものことではあるが「ポリゴンウェイヴ」、「再生」と、既出ナンバーが連続するのはちょっとつまらない。

で、本作で中田氏一番の自信作と思われるリードナンバー「Spinning World」。
MVがこれまでにないくらいにアート性に富み、3人の無機質なゼンマイ仕掛けのからくり人形パフォーマンスが真に迫りすぎていて、ヤバい&ちょっとコワい(特にのっち)。
今回のジャケットやアー写は、このMV撮影時のが使われたんだな。




それにしても、また一段とオシャンティなサウンドになったもんだ。アダルティーなオシャレ感というか。
この曲は4分の曲としては後半のインストが長く、しかもそのままフェードアウトしていくってのは、Perfumeの楽曲としては珍しく、そういう曲の構成も含めて、私はなんだかドナルド・フェイゲンの「I.G.Y.」を彷彿とさせるなと思ってしまった。
AOR感のある曲としては、「Drive'n The Rain」も今までにないくらい上質で上品なナンバー。
スラッピーなベースラインにオシャレなエレピの調べ、途中ホーンの味付けなんかも加味される。
昨年の『ポリゴンウェイヴ ライブ』でラストに初披露され、謎の新曲とされていた「マワルカガミ」こそ、エレクトロ特有の厳かで緊張感あるイントロで始まるが、歌は最後まで平坦でハジけない。

これは、容姿も言動もすっかり大人になったPerfumeの必然的な進化といえよう(つまりこれが第4形態?)。
私自身、こういうアダルティーでエレガンスなPerfumeの進化を望んでいたところもあったし、この中田ヤスタカ氏、MIKIKO先生、MVを手掛ける諸監督らの芸術的ワークス、そしてそれを歌とヴィジュアル、ダンスで見事に表現する3人による総合ポップアートともいうべきクオリティの高いPerfumeの作品をもっと楽しめてもいいハズなのに・・・・

なぜかかつてのように響かんのだ。
まぁこれは個人的な感性の衰えが原因と思われる。前作の時点ですでにその兆候はあった。
そう、Perfumeマジックが解けてしまったのだ。

昨年リリースのEPに収録されてた「∞ループ」も「アンドロイド&」も結局全部入れちゃったんだね。じゃあもうあのEPいらないよねって感じなんだけど、この2曲が本作の中で一番テンション上がったりする。
ラストのアルバム『JPN』にこういう曲入ってなかった?っていう、なんか聴いたことあるような「さよならプラスティックワールド」の、この軽快なポップ感もすごくいい。

総合的にはほんと粒揃いの内容だし全然悪くない。
ただ、かつての中毒性は感じれなくなった。

私はもう終わりかもしれない。

それでもPerfumeの活動は引き続き見守っていこうかと思う。


コメント
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