これから私が語ろうとすることは、ある種の原初的できわめて困惑させられる神話体系に照らして考察したある考えのことである。
私が今まで封印してきた、南極での一部始終のこと。そこで起こった慄然たる出来事。未知との遭遇。
あの氷の世界に閉ざされているものには、絶対触れてはならないのだ。
トラップト・アンダー・アイス!
私がミスカトニック探検隊の調査団の一員として南極圏に渡ったのは20××年9月12日のことだった。
我々はそこで、人類誕生以前のものと思われる、悠久の太古からの恐るべき残存物・・・・・ヒマラヤ山脈をはるかに凌ぐ、踏破あたわざる黒々と聳える狂気的な未知の山脈、海星状の頭部と樽状の胴体を備えた高さおよそ8フィートにおよぶ先住種族の氷漬けの標本を目にし、慄然たる原初の神話に思いを巡らせ、その計り知れない太古からの宇宙的恐怖にすくみあがったのであった。
詳細については、当時の地元誌『アーカム・アドヴァタイザー』を参照されたし。
そして、私を心底震え上がらせたのが、その狂気の山脈の奥地に広がるありえざる人口都市を目にした時であった!
悠久の太古に死に絶えた、その原初の建築物の、洞窟にも似た蜂の巣状の内部には、壁一面を覆う精緻な彫刻が施されていた。
そこには、何語ともつかぬ凶々しくも忌まわしいスラッシュメタルバンドのロゴが、ところ狭しと刻まれていた!
そして私は、今は亡き近所のワルツ堂で、あのすさまじい『METALLION VOL.3』を立ち読みしたことを心から悔むのであった。
いや、それでも、私にブラックメタル趣味がなかっただけ、まだマシだったかもしれない。あの、あまりにも冒涜的なブラックメタル勢の判別あたわざるバンドロゴを目にしていれば、その場で発狂していたことはまず間違いない。
これは、思春期より「スラッシュ・ティル・デス」という信念を誇示しつづけてきた私にとっては、あまりにも衝撃的な発見であり、脳内でモッシュサークルが渦巻く意識の中で、かつて忌まわしい『METALLION VOL.3』を読み、不快なほどに博識なスラッシュ評論家のアッサン氏と高校でよく話しあっていたことを悔むのであった。
しかし、本当の恐怖はこれからであった!
その時、氷に覆われた開口部の深淵から、あの広範囲に響き渡る慄然たる笛を吹くようなリズムが聴こえてきたのであった。
それはあらゆる奇怪な調べや不気味な調べより空恐ろしい、まったく思いがけないものだった。
宇宙の調和に対する我々の概念をことごとく、新たに覆すものだったのだ。
その響きは、かつて私がミスカトニック大学の付属図書館で閲覧した『ネクロノミコン』に掲載されていた“死霊秘法”にしたがって、バルザイの偃月刀とズカウバの薫香を用いて、三角連続体の彼方から召喚したアトランティスの大女官カシュ=カと対峙した時、彼女が私に繰り返しほのめかしていた「テケリズム」なる謎めいた言葉に恐ろしくも似通っているようだった。
それは地球上で知られるどんなリズムとも異なる狂おしいリズムを繰り返していた。
そう、「テケリ・リ、テケリ・リ」と・・・・・・
テクノ大女官カシュ=カ
この狂おしいリズムのせいで、私と南極探検に同行していた同僚の段呆介は、「た、大切なのはマカロニだ!オオオ・・・OMAJINAI☆‰⊿ペロペロ、ペロリ太郎ォォォ~~・・・・・チュチュチュッ!」などと、意味不明の言葉をわめき散らしながら発狂してしまった。現在はアーカム郊外の精神病院で療養中だ。
気の毒な段呆介・・・・・・
事実、彼は、大学の付属図書館で、相原コージが著したあの虫食いだらけの『神の見えざる金玉』を最後まで読みとおしたごくわずかな者のひとりとして知られているのだ。
私は狂気山脈から帰還した後、インターネットラジオを応用したSNS、last.fmに加入し、(普段PCで音楽を鑑賞する習慣はなかったが)所持している音源をPCにかたっぱしから取り入れて、lastfmlogosという自動バンドロゴ生成機にかけまくることに没頭した。それは、もう寝る暇も惜しんで。
するとどうだ。そこに生成されたあまりにも混沌とした、あまりにも冒涜的なロゴが列挙されたこの構図を目の当たりにして、私は正気を保つことにかなりの神経をすり減らさねばならぬ事態に陥った。
と、同時になんだかノスタルジックで満たされたような幸福感、恍惚感もが全身に込み上げてくるという、なんとも名状し難い不可思議な心理状態にあった。
そこで、私の音楽に対するがんじがらめの固定観念が根底から覆されたような気がした。
ロックだとかメタルだとか、そんなことはもうどうでもよくなった。偏狭なロック愛好家が忌み嫌うエレクトロやヒップ・ホップまでをも甘受することによって、混沌とした異世界が開け、窮極の高みへと成就する。
音を楽しむと書いて「音楽」。サンプリングされた電子音であれ、非人間的なガテラルヴォイスであれ、その音の響き、フレーズの心地よさを全身で感じるのだ!古い固定観念をかなぐり捨てよ!テケリズムの反復する音に身を委ね、フォックストロット、ジダンダ、ステップせよ!
それにしても、「テケリズム」という言葉の響きには、どことなく聴覚を鋭敏にさせる、ある種のアルカロイドを含んだ薬草を噛んだ時のような幻惑的な作用が含まれているように思われてならない。
同じ空間にて、異なる性質の音楽を共存させること。すなわちこれが「テケリズム」であると!
この音楽に対する考えは、飽きっぽくて冷めやすい私の性格に恐ろしくもピッタリと符合しているようであった。
この神をも恐れぬ冒涜的な考えに至った時、大いなる三角連続体の彼方から、大女官カシュ=カが、オートチューンがかった声でほのめかしていた、あの慄然たる詩が再び私の脳裏に甦るのであった・・・・・
くり返す このテケリズム
あの衝動は まるでコスだね
くり返す ショゴスみたいな
あの形状が 甦るの
くり返す このテケリズム
あの叛乱が うそみたいだね
くり返す このテケループ
いにしえのものみたいな声だ
またくり返す このテケリズム
テケリズム テケリズム テケリズム テケリズム テケリズム・・・・・・・・
テケリ テケリ テケリ テケリ テケリ・・・・・・・・・
リ・リ・リ・リ・リ・リ・リ・リ・・・・・・・・・
今日の1曲:『いにしえより』/ Morbid Angel
私が今まで封印してきた、南極での一部始終のこと。そこで起こった慄然たる出来事。未知との遭遇。
あの氷の世界に閉ざされているものには、絶対触れてはならないのだ。
トラップト・アンダー・アイス!
私がミスカトニック探検隊の調査団の一員として南極圏に渡ったのは20××年9月12日のことだった。
我々はそこで、人類誕生以前のものと思われる、悠久の太古からの恐るべき残存物・・・・・ヒマラヤ山脈をはるかに凌ぐ、踏破あたわざる黒々と聳える狂気的な未知の山脈、海星状の頭部と樽状の胴体を備えた高さおよそ8フィートにおよぶ先住種族の氷漬けの標本を目にし、慄然たる原初の神話に思いを巡らせ、その計り知れない太古からの宇宙的恐怖にすくみあがったのであった。
詳細については、当時の地元誌『アーカム・アドヴァタイザー』を参照されたし。
そして、私を心底震え上がらせたのが、その狂気の山脈の奥地に広がるありえざる人口都市を目にした時であった!
悠久の太古に死に絶えた、その原初の建築物の、洞窟にも似た蜂の巣状の内部には、壁一面を覆う精緻な彫刻が施されていた。
そこには、何語ともつかぬ凶々しくも忌まわしいスラッシュメタルバンドのロゴが、ところ狭しと刻まれていた!
そして私は、今は亡き近所のワルツ堂で、あのすさまじい『METALLION VOL.3』を立ち読みしたことを心から悔むのであった。
いや、それでも、私にブラックメタル趣味がなかっただけ、まだマシだったかもしれない。あの、あまりにも冒涜的なブラックメタル勢の判別あたわざるバンドロゴを目にしていれば、その場で発狂していたことはまず間違いない。
これは、思春期より「スラッシュ・ティル・デス」という信念を誇示しつづけてきた私にとっては、あまりにも衝撃的な発見であり、脳内でモッシュサークルが渦巻く意識の中で、かつて忌まわしい『METALLION VOL.3』を読み、不快なほどに博識なスラッシュ評論家のアッサン氏と高校でよく話しあっていたことを悔むのであった。
しかし、本当の恐怖はこれからであった!
その時、氷に覆われた開口部の深淵から、あの広範囲に響き渡る慄然たる笛を吹くようなリズムが聴こえてきたのであった。
それはあらゆる奇怪な調べや不気味な調べより空恐ろしい、まったく思いがけないものだった。
宇宙の調和に対する我々の概念をことごとく、新たに覆すものだったのだ。
その響きは、かつて私がミスカトニック大学の付属図書館で閲覧した『ネクロノミコン』に掲載されていた“死霊秘法”にしたがって、バルザイの偃月刀とズカウバの薫香を用いて、三角連続体の彼方から召喚したアトランティスの大女官カシュ=カと対峙した時、彼女が私に繰り返しほのめかしていた「テケリズム」なる謎めいた言葉に恐ろしくも似通っているようだった。
それは地球上で知られるどんなリズムとも異なる狂おしいリズムを繰り返していた。
そう、「テケリ・リ、テケリ・リ」と・・・・・・
テクノ大女官カシュ=カ
この狂おしいリズムのせいで、私と南極探検に同行していた同僚の段呆介は、「た、大切なのはマカロニだ!オオオ・・・OMAJINAI☆‰⊿ペロペロ、ペロリ太郎ォォォ~~・・・・・チュチュチュッ!」などと、意味不明の言葉をわめき散らしながら発狂してしまった。現在はアーカム郊外の精神病院で療養中だ。
気の毒な段呆介・・・・・・
事実、彼は、大学の付属図書館で、相原コージが著したあの虫食いだらけの『神の見えざる金玉』を最後まで読みとおしたごくわずかな者のひとりとして知られているのだ。
私は狂気山脈から帰還した後、インターネットラジオを応用したSNS、last.fmに加入し、(普段PCで音楽を鑑賞する習慣はなかったが)所持している音源をPCにかたっぱしから取り入れて、lastfmlogosという自動バンドロゴ生成機にかけまくることに没頭した。それは、もう寝る暇も惜しんで。
するとどうだ。そこに生成されたあまりにも混沌とした、あまりにも冒涜的なロゴが列挙されたこの構図を目の当たりにして、私は正気を保つことにかなりの神経をすり減らさねばならぬ事態に陥った。
と、同時になんだかノスタルジックで満たされたような幸福感、恍惚感もが全身に込み上げてくるという、なんとも名状し難い不可思議な心理状態にあった。
そこで、私の音楽に対するがんじがらめの固定観念が根底から覆されたような気がした。
ロックだとかメタルだとか、そんなことはもうどうでもよくなった。偏狭なロック愛好家が忌み嫌うエレクトロやヒップ・ホップまでをも甘受することによって、混沌とした異世界が開け、窮極の高みへと成就する。
音を楽しむと書いて「音楽」。サンプリングされた電子音であれ、非人間的なガテラルヴォイスであれ、その音の響き、フレーズの心地よさを全身で感じるのだ!古い固定観念をかなぐり捨てよ!テケリズムの反復する音に身を委ね、フォックストロット、ジダンダ、ステップせよ!
それにしても、「テケリズム」という言葉の響きには、どことなく聴覚を鋭敏にさせる、ある種のアルカロイドを含んだ薬草を噛んだ時のような幻惑的な作用が含まれているように思われてならない。
同じ空間にて、異なる性質の音楽を共存させること。すなわちこれが「テケリズム」であると!
この音楽に対する考えは、飽きっぽくて冷めやすい私の性格に恐ろしくもピッタリと符合しているようであった。
この神をも恐れぬ冒涜的な考えに至った時、大いなる三角連続体の彼方から、大女官カシュ=カが、オートチューンがかった声でほのめかしていた、あの慄然たる詩が再び私の脳裏に甦るのであった・・・・・
くり返す このテケリズム
あの衝動は まるでコスだね
くり返す ショゴスみたいな
あの形状が 甦るの
くり返す このテケリズム
あの叛乱が うそみたいだね
くり返す このテケループ
いにしえのものみたいな声だ
またくり返す このテケリズム
テケリズム テケリズム テケリズム テケリズム テケリズム・・・・・・・・
テケリ テケリ テケリ テケリ テケリ・・・・・・・・・
リ・リ・リ・リ・リ・リ・リ・リ・・・・・・・・・
今日の1曲:『いにしえより』/ Morbid Angel
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