AMASHINと戦慄

~STARLESS & AMASHIN BLOG~
日々ブログレッシヴに生きる

オカルトエロマンガ

2008年06月23日 | 二酸化マンガ
近所の中古本屋に、手塚治虫先生の読み切り連載漫画『ばるぼら』の大都社版を発見したので、久々に読み返してみたくなり購入。

この作品は手塚先生が好きなオッフェンバックのオペラ『ホフマン物語』を現代風に漫画化しようと書き始めたものだそうで、サスペンス性もあり、手塚先生の博識な文学趣味、芸術趣味、そしてオカルト趣味がフンダンに盛り込まれた傑作です。
ヒョウタンツギもオムカエデゴンスも出てこない、大人向けのいわゆる“黒手塚”作品のひとつですね。

それにしてもこの話、変態エロ趣味もハンパない!よい子は読んじゃいけません!
マネキン人形愛、獣姦、近親相姦、秘密SMクラブ、黒ミサ式のヌーディスト結婚式と、とにかくやたら乳房が頻出する狂気のエログロ世界が展開しとります。
まぁ物語の語り手である売れっ子耽美主義小説家の美倉洋介が、いわゆる性欲倒錯者という始末に終えない困ったチャンなのですから。




謎のフーテン娘“ばるぼら”は、見た目はみすぼらしいのですが、芸術の女神ミューズ姉妹の一番末っ子であり、魔女でもあります。
彼女は様々な芸術家にまとわりついてはインスピレーションを与え、翻弄、そして破滅に追いやっていく魔性の女なのです。




ちなみに母親の名前は“ムネーモシュネ”といって、見た目は妊婦土偶そのもの。



彼女の実家にはピカソの行方不明の作品なんかもころがってましたので、ひょっとしたら彼女は時空を越えて、そういった昔の芸術家たちの家にも居候していたのかも知れません。そして彼らに恍惚と狂気、そして絶望を振り撒いていたのではないでしょうか。
確かに著名な芸術家には、破滅的な人物が多かったように思います。

この作品は中盤にさしかかると、ブードゥー・カルト的な物語へと発展していき、手塚先生の絵のタッチもいよいよ古賀新一の『エコエコアザラク』ばりのグロテスクな描写になっていきます。“アスモデウス”の実に写実的な悪魔像のイラストなんかも出てきたりと。
この悪魔は欲情と激怒の魔人といわれてますので、ひょっとしたら手塚先生は美倉洋介とこの悪魔とをダブらせたのではないか(美倉もすぐ激情して人をぶんなぐります)・・・というのは私のいきすぎた想像でしょうか。




いや、それにしても、手塚先生の作品主演の中年男性はやはりしぶといっちゅーか、その生命力には毎回感心させられる。
どん底に突き落とされても泥水すすってでも這い上がってくるっていう。
『きりひと賛歌』の小山内桐人しかり、『アドルフに告ぐ』の峠草平しかり。


しかし、この『ばるぼら』なんか映画化するのにいい題材になると思うんやけど。
最近の実写化されるつまらない作品よりか絶対イケると思う。
そういえば、黒手塚作品の代表作のひとつ『MW(ムウ)』がとうとう実写映画化されるのだとか!?(これも神父と凶悪犯がホモるエゲツない物語です)
マジですか!


今日の1曲:『VOODOO PEOPLE』/ PRODIGY

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6 コメント

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どえーっ(^^;; (あっこ)
2008-06-26 00:55:39
手塚さんも結構幅広く色々描いていたんですね~
知らなかったです!!
かなり子供向けと大人向けと分けて描いていたということですかね~。
「アドルフに告ぐ」は弟の荷物にあったので、
読みましたのでわかるんですが・・・
いや。。。
かなりすごいですね・・・
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>あっこさん (あましん)
2008-06-27 00:12:49
>かなり子供向けと大人向けと分けて描いていたということですかね~。
それはあったと思いますよ。なんか江戸川乱歩みたいな作家ですよね。
まぁ子供向けのおもしろくもなんともないマンガも結構ありましたね~「ジャングル大帝」とか・・・・
でもダークサイドのを描かせると、探偵小説家顔負けの推理サスペンスを描く超一流の作家なんですよ!手塚先生は!知識が半端じゃないっすからね~。
黒手塚モノでは『きりひと賛歌』、『奇子(あやこ)』なんかは傑作で超オススメっすよ!


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Unknown (シュマリ)
2014-02-18 07:18:49
まさか、手塚先生のばるぼらを取り上げてくれる方が、
いらっしゃったとわ!
手塚作品と言うと、直ぐに人類愛・自然保護・反戦平和だけで語りたがる評論家先生方が多いですが・・・
チャンと原作を読まず、他人の評論のマタ聞き・引用も多い気がいたします。
ばるぼらは、仰るとおり大人向けの黒手塚作品です。
中学時代、初めて読んだ時、アトムの医手塚先生の別な一面に面くらい、ドキドキしながら貪り読んだものです。
ここから、他の黒手塚作品、アイエル(IL)・鳥人体系・
人間昆虫記・きり人賛歌に進みましたね。

ばるぼらの実写化、大賛成ですが・・・
現在魔女と言うと、魔女の宅急便ですので・・・
ドロドロ暗黒カルト系は、一般受けしないのではないでしょうか?
懐かしい作品の紹介、本当にアリガトウございました。
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>シュマリさん (あましん)
2014-02-21 00:36:03
コメントありがとうございます。和人の方ですよね?
いやぁ、ばるぼらの記事に食いついていただいたことの方がびっくりですよ!

しかし、手塚治虫の特番とか、周年企画って、ほんとつまらないものばかりですよねぇ。
手塚プロダクションも根幹が腐ってますよ。でなきゃ映画『ブッダ』があんなおかしなことにはなりませんて。
まぁばるぼらを映画化しろ!っていうのは冗談ですが、でもあの『MW』が映画化されたくらいですから(ホモ設定は見事にハショられてましたが)、わかりませんよ。
ハリウッドとか『ドラゴンボール』実写化してるヒマがあったら『鳥人体系』を実写化せいって思うのは僕だけでしょうか?
鳥版『猿の惑星』とか、あっちですごくウケるとおもうのですが・・・・
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Unknown (シュマリ)
2014-02-22 20:40:08
四国在住のシャモです(笑)
シュマリは、中学時代読んだ最初の手塚時代劇モノで
思い出が深いので、名を借りました
関の5本松にしようかとも思いましたが・・・(笑)
仰るとおり、手塚先生に対するメディアの扱い方には、かなり不満ですね。
手塚先生の特番は、正直見飽きてますね。
(反戦・平和、人権・フェミニズム、自然保護と動物愛護ets)に利用する為だけのオベンチャラ番組!
コレって、メディアが手塚マンガを自分達の思想に利用しているだけだし・・・
シュマリはアイヌ問題が絡むから・・・特番では絶対触れない作品ですね。
メディアが絶対、べた褒めできない頃作品の中にこそ、本当の手塚マンガの面白さがあると思います。
黒手塚・・・言いえて妙です。
『MW』確かに、ホモシーンは・・・無理でしょう!
少年同士のヤバイシーンも有りましたから・・・

ネオ・ファウストをチャンと書ききって欲しかったですね。
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>シュマリさん (あましん)
2014-02-25 23:33:35
どうもです。
シュマリさんにコメントもらってから、ここ数日『シュマリ』を読み返しておりました。(笑)
やっぱ傑作ですね!峯と弥七とシュマリの絶妙な愛憎関係がたまりません!

しかし、なぜか私のまわりの同世代、若い人で手塚作品について語れる人がなかなかいないんですよね。
まぁ『アトム』や『ジャングル大帝』などの幼児向けレトロマンガというイメージが強くて、敬遠されがちなのでしょうが。絵のタッチも今の若者向けではないし。
NHKのような堅っくるしい特番ではなく、アメトーークなどが取り上げたら、そこそこ興味持ってくれる人が増えると思うのですが・・・・

『ネオ・ファウスト』、当時ワクワクしながら読んでて、未完ってなったときはほんまショックでした。
あと、『ルードヴィッヒ』も『グリンゴ』も・・・・
これらの未完作品を、手塚先生ばりに天才的な想像力の持ち主が続きの脚本かいて、アニメーション化してくれたらなぁ・・・・って思う今日この頃であります。
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