私は大学生時代「地震予知」につながるかもしれない研究をしていました。
「地震」にはおおきく二つの種類があります。「内陸型」と「プレート境界型」です。
「プレート境界型」は東日本大震災に代表される、海で起こるタイプの地震が圧倒的に多くなります。地球の表面は緩やかに動き続けるプレートにおおわれており、そのプレート同士がぶつかり合う境界において、押し合った際にたまっていく「歪み(ひずみ)」エネルギーを放出するときにおこります。
海底が沈んだり持ちあがったりするので、それに伴い海水の大きな移動が起こり、津波となって海岸に押し寄せます。
「内陸型」でみなさんの記憶に新しいのは「阪神・淡路大震災」だと思います。簡単に言えば「断層」が動く(活動するとも言います)際に発生する振動がもとになって起こるタイプの地震です。
今から数十年前には、地震の予知を目標として様々な研究がなされていました。私がしていた研究は、土器の年代測定を活断層(主に今から数千年前以内に活動し、近い将来に地震を伴う活動をするであろうと予測される断層)に応用して、一番最近でいつ活動したかを測定しようとするものでした。結果的には、この手法は断層に応用することは極めて困難であることが分かり、私はあきらめたのですが、できればすごいことだと研究に励んでいました。この研究をしている学生時代に阪神・淡路大震災が起こり、わりとよく知る後輩が帰らぬ人となりました。こんな悲劇が少しでもなくなればと、より一生懸命研究に励みましたが、できないものはできないという結果に残念な思いを持ちました。
でもこの研究の過程で、仮説を立てて実験し考察してくという自然科学の考え方を身に付けることができました。そして既知の知識から、未知の事実に向き合うためには、既知の事実を深く知り、その既知の知識をどう応用していくかを考えることが一番大切であるということも知りました。
今、子どもたちに教えていることがらの中には、大学時代の研究を通して学んだ「順序立てて整理していくこと」「基礎的な知識の積み上げがなければ、未知の事柄には到底太刀打ちできないこと」を含んでいます。
わりざんマスターや漢字・暗算の宿題は、小学生時代を通して身に付けておくべき基礎脳力と学習習慣を身に付けることが主眼になっています。毎日の反復練習という一見簡単であり、そしてめんどくさいこの課題ですが、将来に絶対に実を結ぶと確信を持って指導しています。
さて、話を戻して、地震予知は現在の科学の知見では「ピンポイントの予測」は恐らく無理であろうという考え方が大勢を占めています。現実的には「地震予知を完璧に行う防災」から、「地震予知は無理でも、少しでも地震に付随する被害を減らす減災」に科学は向かっています。
そしてこの「減災」の考え方を持って、現在気象庁が運用している「緊急地震速報」は、このどちらのタイプの地震も「地震動」として観測網で捉え、地震の際に発生する二種類の揺れの到達速度の差を利用して、大きな揺れの数~数十秒前に、警報を発して大きな地震動に備える仕組みになっています。
しかしながら、この「緊急地震速報」には
二つ以上の地震が同時に起こった場合でも、「1か所」で起こっていると認識するので、たとえばそれほど離れていない二つの場所で同時に中程度の地震が発生した場合は、その付近でのより大きな地震と認識する可能性がある(緊急地震速報が誤報となる可能性が極めて高くなる)
断層の活動領域が「面上」に伸びているくらい巨大なものでも震源を「点」として認識してしまうので、広範囲に大きくなる揺れが発生しても、その全範囲をカバーできない(緊急地震速報が発信されていない地域でも、大きな地震動になる恐れがある)
などの問題点があります。
気象庁はこのほど、京都大学地震研究所と共同で、より正確なデータ解析の方法を開発していくと発表しました。プレスリリースを読むと、実は既知の知識の組み合わせであって、今までとは着眼点を変えて考えることにより、的中率が76%→88%に向上するということです。
なが~くなりましたが、つまるところ、科学の進歩は既知の知識の組み合わせによることがほとんどだというお話で、だからこそ、小学生の間は、その既知の知識を理解するために必要な基礎能力読み・書き・そろばん(計算)をしっかりと身に付けようという、まあなんともありきたりなオチに着地する秋の夜長のお話でした。
いまやっているめんどくささは、将来必ず実を結びます。たゆまぬ努力を持って積み上げた反復練習は必ず身となり骨となって、下支えします。毎日の少しの努力を絶対に軽視しないでください。
「中学生になればできるようになりますから、今はのびのびと」←間違いです。今のびのびすることのみをしていれば、中学生になってものびのびすることがデフォルトになります。
「今のうちから積み上げることを覚えておけば、中学生になってもできるはず」←正解です。中学生になってできるのであれば、今からでもできるはずです。
っていうか、今できない人は中学生になってもやっぱりしません。何百人とみてきましたが、例外はほぼ0です(記憶では二人ほどいましたが、それでもパーセンテージでいえば、全体の1%未満です。特例です)
「地震」にはおおきく二つの種類があります。「内陸型」と「プレート境界型」です。
「プレート境界型」は東日本大震災に代表される、海で起こるタイプの地震が圧倒的に多くなります。地球の表面は緩やかに動き続けるプレートにおおわれており、そのプレート同士がぶつかり合う境界において、押し合った際にたまっていく「歪み(ひずみ)」エネルギーを放出するときにおこります。
海底が沈んだり持ちあがったりするので、それに伴い海水の大きな移動が起こり、津波となって海岸に押し寄せます。
「内陸型」でみなさんの記憶に新しいのは「阪神・淡路大震災」だと思います。簡単に言えば「断層」が動く(活動するとも言います)際に発生する振動がもとになって起こるタイプの地震です。
今から数十年前には、地震の予知を目標として様々な研究がなされていました。私がしていた研究は、土器の年代測定を活断層(主に今から数千年前以内に活動し、近い将来に地震を伴う活動をするであろうと予測される断層)に応用して、一番最近でいつ活動したかを測定しようとするものでした。結果的には、この手法は断層に応用することは極めて困難であることが分かり、私はあきらめたのですが、できればすごいことだと研究に励んでいました。この研究をしている学生時代に阪神・淡路大震災が起こり、わりとよく知る後輩が帰らぬ人となりました。こんな悲劇が少しでもなくなればと、より一生懸命研究に励みましたが、できないものはできないという結果に残念な思いを持ちました。
でもこの研究の過程で、仮説を立てて実験し考察してくという自然科学の考え方を身に付けることができました。そして既知の知識から、未知の事実に向き合うためには、既知の事実を深く知り、その既知の知識をどう応用していくかを考えることが一番大切であるということも知りました。
今、子どもたちに教えていることがらの中には、大学時代の研究を通して学んだ「順序立てて整理していくこと」「基礎的な知識の積み上げがなければ、未知の事柄には到底太刀打ちできないこと」を含んでいます。
わりざんマスターや漢字・暗算の宿題は、小学生時代を通して身に付けておくべき基礎脳力と学習習慣を身に付けることが主眼になっています。毎日の反復練習という一見簡単であり、そしてめんどくさいこの課題ですが、将来に絶対に実を結ぶと確信を持って指導しています。
さて、話を戻して、地震予知は現在の科学の知見では「ピンポイントの予測」は恐らく無理であろうという考え方が大勢を占めています。現実的には「地震予知を完璧に行う防災」から、「地震予知は無理でも、少しでも地震に付随する被害を減らす減災」に科学は向かっています。
そしてこの「減災」の考え方を持って、現在気象庁が運用している「緊急地震速報」は、このどちらのタイプの地震も「地震動」として観測網で捉え、地震の際に発生する二種類の揺れの到達速度の差を利用して、大きな揺れの数~数十秒前に、警報を発して大きな地震動に備える仕組みになっています。
しかしながら、この「緊急地震速報」には
二つ以上の地震が同時に起こった場合でも、「1か所」で起こっていると認識するので、たとえばそれほど離れていない二つの場所で同時に中程度の地震が発生した場合は、その付近でのより大きな地震と認識する可能性がある(緊急地震速報が誤報となる可能性が極めて高くなる)
断層の活動領域が「面上」に伸びているくらい巨大なものでも震源を「点」として認識してしまうので、広範囲に大きくなる揺れが発生しても、その全範囲をカバーできない(緊急地震速報が発信されていない地域でも、大きな地震動になる恐れがある)
などの問題点があります。
気象庁はこのほど、京都大学地震研究所と共同で、より正確なデータ解析の方法を開発していくと発表しました。プレスリリースを読むと、実は既知の知識の組み合わせであって、今までとは着眼点を変えて考えることにより、的中率が76%→88%に向上するということです。
なが~くなりましたが、つまるところ、科学の進歩は既知の知識の組み合わせによることがほとんどだというお話で、だからこそ、小学生の間は、その既知の知識を理解するために必要な基礎能力読み・書き・そろばん(計算)をしっかりと身に付けようという、まあなんともありきたりなオチに着地する秋の夜長のお話でした。
いまやっているめんどくささは、将来必ず実を結びます。たゆまぬ努力を持って積み上げた反復練習は必ず身となり骨となって、下支えします。毎日の少しの努力を絶対に軽視しないでください。
「中学生になればできるようになりますから、今はのびのびと」←間違いです。今のびのびすることのみをしていれば、中学生になってものびのびすることがデフォルトになります。
「今のうちから積み上げることを覚えておけば、中学生になってもできるはず」←正解です。中学生になってできるのであれば、今からでもできるはずです。
っていうか、今できない人は中学生になってもやっぱりしません。何百人とみてきましたが、例外はほぼ0です(記憶では二人ほどいましたが、それでもパーセンテージでいえば、全体の1%未満です。特例です)